- Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062776455
作品紹介・あらすじ
貧しい少女・おふくは、深川にある料理茶屋[橘屋」で奉公を始めた。江戸の情と絆の中で育まれていく、おふくの成長物語。
感想・レビュー・書評
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あさのあつこさんの時代小説を始めて読んだ。
時代物は宮部みゆきさんの物ばかりで、あまり他の作家さんのは読んだことがなかった。
宮部さんはのは、悲しい事件があったとしても、そこにほんわかとした人情面が前面に出されている感じがするが、あさのさんのは、江戸に生きる底辺層の人々の生活の厳しさや零落していく様がキッチリと描かれている気がする。
江戸時代は人情が溢れていていいなぁ、という単純な思いより、厳しくも逞しく生きる人々への尊敬の念を抱かせられる、そんな作品だ。
2018.6詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
202207/料理屋橘屋を舞台にした連作短編集。この表紙絵とタイトルが好みじゃなくあまり期待せず読んだけど面白かったし、読後はこのタイトルの重みがわかりグッときた。
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あさのあつこさんの時代小説、何冊目か?
特に、女性が主人公のものは読みやすく思う。
今回は、橘屋という料理屋にかかわる人々の物語。一周回ってうまく着地した感じの読後感。ただし、ちょっと寂しい感じはした。
またもキャスティングをいろいろ想像してみたが、書いてある年齢より、もう少し年上の人たちの方がしっくりくるんじゃないかと思ったり・・。 -
面白かった。
あさのあつこさんは時代小説も書くのか!と思いつつ手に取った一冊。
料亭橘屋をめぐる物語。
各話、切ない内容だが、芯が通ってしっかりした内容。
お多代の存在が大きい。 -
お多代がカッコよすぎる。今時あんなに男気溢れる女性はいないのでは。設定が今の自分と同年代なので余計にそう思った。軸のある人間は、それなりに苦労を重ねて生きてきたのだと思わされる。少しのことでくじけちゃいけない、と言うと薄っぺらいが、くじける暇もないほどの忙しさ、焦りに憤り、貧困と不安、そういうものを抱えて生きていた江戸の町の人々の生き様を描いている作品。登場人物が多いので一気に読みたい。
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橘屋に纏わる連作になっています。
貧しくても自分に恥じないように生きていこう。凛とした女中頭のお多代が、女たちの道しるべになっていきます。
おふくちゃんのおっかさんは、どうなんでしょう。なぜ、迎えに来てあげないのか。せつないです。 -
料理屋「橘屋」を舞台に、仲居や下働きの女達それぞれにまつわる物語。
とくに、3つの話に主人公として登場するおふくの成長譚ともなっていて、人情話として面白い。でも男達にいまいち魅力がないのが残念。 -
「じつに切ない、しかし凛とした余韻が読後にしみじみと広がっていく。読んでよかったと、心から思える一冊だ。」(解説の山前譲氏の冒頭の言葉です) 私もまったく同感です。あさのあつこさんの「待ってる」・・・、この作家、この作品を紹介いただいた読友さんに大感謝です!
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病が即、生活や人生の危機になり、お金のために女性が売られたりする時代・・・
料理茶屋「橘屋」を舞台に、交錯する人々の生き方・歩み方を描き出す連作小説。
それぞれの女性(だけじゃないけど)の哀しさの中にある凜とした強さが心に残ります。
物語の中心は、仲居頭のお多代と幼くして奉公に出たおふくだけど、本当の主人公は、彼女たちに生きる場を与えた「橘屋」そのものかも。