- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062777018
感想・レビュー・書評
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リスクをとる、すぐに行動に移す、ということは納得。他は抽象的で、明日から何をやったら良いのか分からない。私にはあまり瀧本哲史さんの本は馴染まなそう
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後半の投資についての考え方が、果たして若者に通じるのだろうか?
成功者の考え方の一つとして認識しておけばよいかも -
本書を読むのは2回目である。
以前読んだときは咀嚼しきれていないような気がしたので感想は書かなかったが、今回再読して著者の主張がよく分かった。
本書は「グローバル経済で金儲けをするための心得」が書かれている。
冷戦時代は本当の資本主義ではなかった。格差が広がると社会主義を求める人が増えるため、格差が広がらないように配慮されていたからだ。1991年ソ連崩壊とともに、「むき出しの資本主義」が世界席巻している。
本書の主張はグローバリストの主張そのものである。
変化する時代をとらえ続け、グローバリゼーションの最先端で、トップアスリートとして稼ぎ続けるには、
・英語を学べ
・イノベーションを理解しろ
・投資家であれ
と説く。
しかし、この3つが実践でき、ビジネスリーダーになれる人間は一握りである。
それ以外の人はどうすれば良いのか。「働かざる者食うべからず」と言うのか。「力なき者は死ね」と言うのか。
いや、ビジネスリーダーになることを望まない人はどうなるのか。その人たちが生きていけるための知恵は本書には書かれていない。
しかし、リベラルアーツを学ぶべきという最終盤での主張は極めて重要である。金儲けのためではなく、精神的に満たされた人生を送るために、教育が必要だ。 -
なるべくコストやリスクは少なくしたい。これは資本主義だろうと他の仕組みだろうと当然の考え方。「強い」立場だからといって自らを犠牲にしてまで「施し」を強制されるいわれはない。特に日本では弱者にやさしくない強者は非難される傾向が強いように思う。しかし、完全な「強者」「弱者」といったものがあるのかどうか。賃金を払う立場の人間にしても、それを引き換えになにかしらの労力を提供する人間がいなければ自分の仕事は成り立たない。そこをどの立場の人間であるにしても認識しておくべきである。適正なバランスが保たれていれば「労働三権」といったものを設定する必要はないはずだ。そのバランスを崩しているのはどちらかといえば労力を提供している側の「施されている」という認識ではないか。もっともそうした認識も「施している」側の教育や啓蒙によって造られているのかもしれないが。
労働組合といったものも現状の体制をみてみれば、いわゆる正規雇用という形式で雇われている人達にとっては不要であるように思う。こうした雇用形態はもともと「契約」によって自らの立場を守られた人達であり、しがらみや慣習の問題を解決すれば法的な処理が可能と思われるからである。組合のような相互扶助が必要なのはむしろ不安定な非正規雇用で働いている人達だ。最近ではそうした仕組みがあるようであるがまだ一般的ではない。本書の著者が言うような働き方を実践しやすいのは、おそらくそうした非正規雇用者に加えて自営業者であろう。自ら小規模な会社を立ち上げた人の成功例は決して多くはない。「相互扶助」の仕組みは非正規雇用の対象者とともに中小企業経営者の間でも広く一般化されてしかるべきものと思われる。
集団としての一員という立場に慣れてしまうと欠けてくるものは「当事者意識」である。その欠缺によって無責任や過剰な自己犠牲、場合によっては「人間としての自覚」すらも失ってしまうのではないだろうか。まずは株式会社などの企業を一つの「世界」としてみるのではなく、一つの「当事者」としてみることではないかと思う。本書で提唱しているような「起業家」「投資家」といった概念は「当事者」としての自覚を促す有効なツールだといえる。
形式面ではなぜか文字組のレイアウトが雑で極めて読みにくく付箋も貼りにくい。何か意味があるのかもしれないが、本書の価値を大きく減殺している要素となっている。