瓦礫の中のレストラン (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 73
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (464ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777070

作品紹介・あらすじ

みんな、腹いっぱい食わすで!戦後の大阪、闇市に立つ「くいだおれ食堂」。軍隊崩れの怪男が日本の復興と商人としての成功を目指す!

感想・レビュー・書評

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  • 戦後、明日への希望を見つけ行きていく様が、紆余曲折ありつつも、仲間で助け合い、また、大阪人としてはモデルはあの飲食店かな?と想像してみたり、ハッピーエンドで清々しい気持ちで読了しました。

    戦争でたくさんの死を見てきた心理描写や、ときおり、ほろりと、涙する台詞もありました。

    どうしても、いま、世界中でコロナに翻弄されている状態に気持ちがリンクしてしまうところがあり、コロナが収まり、もとの日常に戻れた時には、お話の中にあったように、あんなこともあったねと笑いながら美味しいものを食べて話できるよう、全ての人に笑顔が戻ってほしい。
    そう、思わせてくれる作品でした。


  • 戦争が終わり、全てが瓦礫と化した街。
    大阪の闇市で、出会ったのは戦争孤児、ヤクザの親分、五百円で売りに出されていた6歳の少女。
    無一文、正に裸一貫から商売を始める。
    徐々に復興の兆しが見え始め、経済正常化の為に闇市も解体へ向かう。
    明日を生きる為に、悪行に手を染めていた浮浪孤児達も、まともに商いに精を出し、学校へ通えるようになった矢先、またあの暗い生活に戻ってしまうのか。
    江上作品にしては、あまり悪人が登場しなかったが、人々が“生きる”ということにシャカリキになっていた様が胸を熱くする。

    現代の日本は、戦後の焼け野原の様に食べ物がなく飢えるということはないはずだが、一方、公立小学校の給食費すら払えない世帯も存在する。ネカフェ難民なんて言葉も何だか、さして珍しいものではないような感覚麻痺も否めない。

    アベノマスクで、あの金の使い方は妥当なのだろうか。有事の際は、あちらこちらで色々な発言が飛ぶ。民主主義だから当然だ。しかし、何だか難癖としか言えないような歪んだ正義漢を喚き散らすものもいるな。

    とにもかくにも、食は生きる上にはなくてはならない。食は人々に笑顔を生む。

    • anchuさん
      すごく、気になりました。
      今のが読了したら次の読書候補にします❗
      すごく、気になりました。
      今のが読了したら次の読書候補にします❗
      2020/04/14
    • 亮さん
      ぜひ、ご一読されてみてください。感じ方は、それぞれあるかと思いますが、レビュー楽しみにお待ちしております!
      ぜひ、ご一読されてみてください。感じ方は、それぞれあるかと思いますが、レビュー楽しみにお待ちしております!
      2020/04/15
    • anchuさん
      ありがとうございます✨
      ありがとうございます✨
      2020/04/15
  • なかなか面白かった!そして生きる勇気を与えられたと言ったら大げさだけど、毎日頑張って過ごせそうな気持になった!

  • 江上先生っぽくなくて面白かったな(^-^;と言うのが正直な感想。

    戦時中の話から、戦後の混乱期、そして復興期へと若者たちが奔走していく青春群像劇的な部分もあり。
    先生の得意分野でもある金融系のお話もちらっと(本当にスパイス程度!)出てきたり。 

    物事の側面は1つじゃない。
    見方を変えれば善が悪にもなりうるし、その逆もある。
    もちろん、ひたすら悪なこともあるけど…。


    夢中になって、あっという間に読み終わりました。

  • 戦後の混乱時に、孤児や仲間をまとめ上げ、パリ商会という小売業を始めるが、闇市からのルートなどにより、政府から逮捕されかねなくなる。友人の定食屋も元の店主に戻ったりと困難を極めるが、最後には人と人の繋がりにより大きなビルを建てて、店を繁盛させるようになる。人をまとめるのはとても大変な事だが、持ち前の性格により打ち勝つことができた。戦後、こういう人がいたんだろうなぁと思わせる小説。

  • 戦後の混乱期、仲間と一緒に身一つで新しい事業を立ち上げ、次々に困難も降りかかるが諦めず何とか乗り越えようとする。若く力強く快活で爽快で、若者たちの生きる!というパワーが溢れてました。実話をベース?と思ったぐらい生き生きとしてたのですが、違うのかな?

  • 丑松、いい男だなぁ。オススメの本。
    人間、一度死んだ気になればなんでもできるかっ。読んでいてそんな気になった。自然でありたいと思ってもどうしても自分を飾ったり、これは違うなぁと思っても人に合わせてしまったりする。戦争から生き残って帰って来た主人公の丑松はどこまでも自分に正直だ。
    そして自然と出会う人に恵まれていく。と言うか、真っ直ぐ人にぶつかることにより、読んでいて気持ちが高ぶった自分の様に強く影響を受け、皆情の熱い心のきれいな人間に変わって行ったのだろう。
    もうすぐ50だけど、そんな人間になりたいなあ。

  • 戦争末期から戦後の混乱期、やがて繁栄していく大阪の町に生きる人々を描く。出てくる人、出てくる人が良い人ばかりなせいで、お涙頂戴のクライマックス、オムライス勝負が今一盛り上がらず、最後は予定調和で幕を閉じるという、まあ良くも悪くもエンタメ小説。最後の債権者代表の登場も盛り込み過ぎで蛇足だと思う。面白くて一気に読めるが、さすがに薄っぺら過ぎ。

  • 人間の汚い部分が出てきても、最後はハッピーエンドになるような雰囲気があり、きちんと感のある文体なので、全体的に道徳本と言うか、童話のような印象をもってしまいました。

  • 戦後の日本の元気な若者たちの物語

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著者プロフィール

1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業。77年、第一勧業銀行(現・みずほ銀行)入行。人事、広報等を経て、築地支店長時代の2002年に『非情銀行』(新潮社)で作家デビュー。03年、49歳で同行を退職し、執筆生活に入る。その後、日本振興銀行の社長就任、破綻処理など波瀾万丈な50代を過ごす。現在は作家、コメンテーターとしても活躍。著書に『失格社員』(新潮文庫)、『ラストチャンス 再生請負人』(講談社文庫)、『我、弁明せず』『成り上がり』『怪物商人』『翼、ふたたび』(以上、PHP文芸文庫)、『50代の壁』(PHP文庫)など多数。

「2023年 『使える!貞観政要』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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