- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062777261
作品紹介・あらすじ
この世界をくれた女神を命がつきるまで愛そう。真っ白な猫タマオは、命を拾ってくれた少女に恋をした。大人のためのファンタジー。
感想・レビュー・書評
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拾われた白猫たまおは,りり子に危険が迫ると人間になって助け,寿命を削っていく。猫の飼主に対する一途な愛情が切なすぎる。読まれる事のない手紙を書き続ける黒猫イヴもいじらしい。
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ぼくはタマオ。真っ白な猫だ。生まれたばかりのぼくの命を救ってくれた理々子に恋をしている。ある日あやしい車に追いかけられた彼女を助けようとしたぼくは青年の姿になっていた。夜限定の変身、寿命も縮む。でも愛しい理々子のために…。大人気「猫弁」シリーズの著者による、せつなすぎる涙の恋物語。
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雪猫
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美しい
ラストシーンが頭から離れない。
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タマオの気持ち
イヴの気持ち
猫の気持ち
わからないけど、
このお話のような感じなのだと思う。
そう信じたい。
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猫も人間と同じような感情を持っていて、
相手を想い
想われている事を感じ、
大切な人を守る。
タマオの理々子への想い
イヴの城太郎への想い
切なくて涙が止まりません。
その想いちゃんと届いてるよね。
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人の猫への想いも、
ちゃんと届いているよね。
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「吾輩は猫である」
読み返したくなりました。
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favorite sentence
✒︎ニーチェ
「事実は存在しない。存在するのは解釈だけである。」✒︎
✒︎空気が、おいしい。
夢中になって、空気をむさぼる。
生きるっておいしい!
このときぼくは生きる意味を知った。✒︎
✒︎ぼくは決心した。
この世界をくれた女神を、命がつきるまで愛そう。
それがぼくの生きるモチベーションのすべてとなった。✒︎
✒︎「好き」という気持ちと、「噛みついて壊してしまいたい」気持ちは、同じ波長に乗ってぼくの体を駆け巡る。でもぼくは本能を抑え、精一杯、紳士的にふるまっている。なぜって、理々子の苦痛の上にあるぼくの満足は、ほんものの満足とは言えないからだ。
本物の満足は、常にどこか欠けていて、うっすらと寂しい。✒︎
✒︎人間はあのひ弱な鳥、トキが死に絶えるのは堪え難いらしく、あの手この手で守ろうと必死のようだが、ノミが死に絶えても平気なようで、どんどんノミの住処を奪ってゆく。
いったい人間にとって、守るべき生物と、見捨てていい生物のさかいめってなんだろう?✒︎
✒︎大きなお城みたいな家だってさ。譲っていただいたんだって。
理々子のあたたかい嘘がぼくの全身を包み込む。
胸がどきどきして、お腹のあたりがほかほかして、からだじゅうの血が激しくかけめぐる。
ありがとう、理々子。うそついてくれてありがとう。✒︎
✒︎おひとよしは世の中を明るく見せる。✒︎
✒︎「あなたは無駄に命を削ってる」と言われてむかついたけど、あの言葉は胸に残った。嫌な言葉って、意味があるものだ。意味があるから、ぐさりとくるんだな。 ✒︎
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1人の少女に恋をした、白猫の物語。
猫は人間の言葉が分かっているけど、分からないフリをする。これが猫の掟だ。
今日も少女を守る為にくっついていく。
とても悲しくも涙の一冊。 -
ネコが好きだから、
タマオみたいなネコに好かれたら嬉しいなぁ。
タマオの一途な愛に胸を打たれました。
たまに読み返したくなる本です。 -
一匹の真っ白な猫の視点から描かれた物語。ファンタジックでほんわかとして、哀しく美しい物語。「猫弁」とのリンクもあります。
自分を救った少女に恋をした猫・タマオ。少女を守るため、とある能力を手に入れるものの、それは彼の命を削ってしまう。同じような能力を得た猫との出会い・さまざまな事件を通して描かれるタマオの一生。
ラストはひどく哀しいけれど。それでもこの物語は、とても幸せな猫の物語だったと思えました。 -
タマオの理々子への純粋な思いに心をうたれる。
猫目線なので、人間の観点とはずれているところがあって
ユーモラスにも感じるのだけど、(漱石の『吾輩は猫である』の
真相には思わず手を打った)美しいラストが待っていた。
理々子パパとおばあちゃんも、とってもいい人。
嬉しい再会?もあったし♪ -
人間に恋した猫のお話という前振りから、主人公であるタマオと理々子の話がほとんどかと思ったら、どちらかというと花園城太郎さんとイヴの方が、それっぽかったかな。まぁイヴが好きだったのは花園夫妻だったわけですが。
猫目線で語られてますが、哲学的だったりナワバリのことだったり、猫の気持ちとか暮らしとか、作者の猫好きが伝わってくる詳しさとこだわりが面白かった。
10年立った猫は1つ能力を授かるって設定も、それで人間になりたいと願う猫は、猫として欠けているっていうのも、なんか確かにそうかもと思うのでよかった。
猫って、自分が猫に生まれたことを後悔することなさそうですし(笑)
その分、ポストの気持ちとかタマオと理々子の進展のなさとか、母親とのその後とか、諸々割と置き去りになってるままにタマオがいない形になって終わったのが不完全燃焼かなぁ。。。
少なくとも、最後にタマオが四郎として会ったのがお父さんってのはどうなんだろう(笑)母親の元に一緒に行って置きざりにしたたままで、リリコが人間のタマオに対して何を思ったのかもイマイチ伝わらないままだった。
猫の小説が好きな人なら一読の価値はありますが、できれば伏線回収をもぅ少しして頂きたい。 -
福田利之さんの個展で、いちばん惹かれた小さな絵。それがこの本の表紙。
絵が欲しくて買ったのだけど、読んでみたらとても面白くて、すきだなぁと思いながら読んで、最後は涙が出てしまった。
猫が語り手。陳腐に例えれば、現代の吾輩は猫であるでしょうか。
なんでニーチェ?となりつつも、なんかそこもすごく良くて。
家族としては、猫には長寿を獲得してほしいな。
空飛び猫って、ル・グウィン思い出して素敵なんだけどね。
しかし、タマオって笑
この作家さん一気にだいすきになってしまったので、他の作品もと、今は猫弁読んでるけど、そこにも出てくるねー、タマオ。
猫のあの、ふわふわした温かさとかしなっとした体とか、細くて鼻がムズムズしちゃう毛とか、読んでて思い出しちゃうんだ。
そういうところもすき。