ルーズヴェルト・ゲーム (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062777957

感想・レビュー・書評

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  • オーディブルで「ノーサイド・ゲーム」を聴こうとして、間違ってこちらを選んでしまった笑

    …。

    野球をこよなく愛していたフランクリン・ルーズヴェルトは「一番おもしろいゲームスコアは、8対7だ」と記している。
    毎回点が入って逆転に次ぐ逆転、ハラハラドキドキしどおしでとても心臓に悪い試合。

    そういえば、池井戸潤さんの小説は、たいていそんなルーズヴェルト・ゲームのような、ちょうどよい塩梅の乱打戦ですよね。

    この小説も素晴らしいです。
    野球部のリストラ、ライバル企業の買収攻勢。どちらも最後にどんな大逆転劇が待ち構えているのか⁉︎
    期待しながら、楽しく聴きました!

  • 「購入」
    廃部寸前の青島製作所野球部は「奇跡の逆転劇」を見せられるか。

    青島製作所野球部の安藤監督がエースと四番を引き抜き覇を争ってきたミツワ電器野球部へ移ってしまった。その後任としてデーターを重視する大道雅臣監督40才が就任した。大道監督は、チームの古いスコアブックをノートパソコンに入力し、スコアのデーターベース化を行なってこれに基づき今までのチーム編成を大幅に変更した。データーを選手一人ひとりに説明してポジションを決めていく。いままでと全く違うやり方だが。チームは、活気づく。

    そんな時に、金融危機に端を発した不況は、年商が通常時で五百億円、経常利益約四十億円の中堅メーカーである青島製作所に急激な業績不振をもたらした。対策として、各種経費削減の次に百人規模の人員整理が行われた。メインバンクである白水銀行との五十億円の融資の打ち合わせの席で銀行から年間三億円の維持費がかかる野球部の廃部が言いだされる。

    野球部は、創業者で現会長の青島毅会長の熱烈な肝煎りで設立された。青島製作所野球部の歴史は古い。かつては東京都代表の常連で、都市対抗野球で優勝したこともある社会人野球の名門だったが。いまは低迷している。

    青島製作所細川社長は、ミツワ電器坂東社長から合併の打診がある。ミツワは、青島のイメージセンサーの技術がどうしても欲しくて。坂東社長は、青島の社内をかき回して執拗に合併を持ち掛ける。細川は、青島の倍以上規模を誇る上場企業のミツワと合併すれば、青島の技術だけをとって他部門の従業員はリストラされることに気付いて合併を断る。と、坂東は、青島の社外の大株主を焚きつけて臨時株主総会で合併決議を出さそうとするが、失敗する。

    青島製作所野球部は、都市対抗の試合でミツワ電器野球部と対戦する。その対戦前に野球部の部長であり総務部長の三上から廃部が言い渡される。最後の試合となったミツワとの対戦は、手に汗を握る怨念の対決となる。色々なドラマが出た中で、8対7で青島が勝った。

    【読後】
    497頁と頁数も多く、字が小さくて、少しずつしか読めませんでしたが、散歩にも出ず、先が気になりなんとか頑張って読み切りました。野球の試合では、手を握り、振り上げ、ソ、ソコダ―と声を張り上げてお応援している自分にビックリしました。その後、会社がひとつになり難局を乗り越えて行きます。しかし、最後まで復活すると思って読んでいた野球部を本当に廃部するとは信じられませんでしたが。見事な受け皿がありました。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    ルーズヴェルト・ゲーム
    2014.03発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。
    2023.01.07~08読了。★★★★☆
    ブックオフ、66円で購入2023.01.05
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

    「参考」
    ※参考は、私のメモ書きです。本の感想ではありません。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    「ルーズヴェルト・ゲーム」とは、「点を取られたら取り返し、8対7で決着する試合」を意味し、野球を愛した第32代アメリカ合衆国大統領のフランクリン・ルーズヴェルトが1937年1月に、ニューヨーク・タイムズの記者に宛てた野球記者協会から招待されたディナーを欠席することを詫びた手紙の末尾に記された「一番おもしろいゲームスコアは、8対7だ」という言葉に由来する。
    《連載、本、テレビ》
    2009年4月から2010年2月にかけて、学芸通信社の配信により「熊本日日新聞」を皮切りに全国の地方紙に連載され、2012年2月21日に講談社から単行本が刊行され、2014年3月14日には講談社文庫版が発刊された。2014年、Yahoo!検索大賞 2014 小説部門を受賞。2014年4月27日から6月22日までTBS系で唐沢寿明の主演でテレビドラマ化。

  • 著者の作品なので大まかなストーリーは
    分かるものの、それでも十分
    面白かったです。

    ドラマやってましたが、
    映像でも映える作品かと思いました。

    内容にしては少し短いのかなぁという印象。
    空飛ぶタイヤ並みの長編でも良かったのでは?
    と感じました。

  • 池井戸さんのドラマや映画化作品は観てますが、小説を読むのはたぶん初めて。

    このドラマは観なかったですが、魅力的な登場人物が多く楽しかったです。

    個人的には笹井専務、「ミツワ電気の社長より、青島製作所の一兵卒でありたい」、廃部、廃部って嫌な人ねって思ってましたが、この件にホロッとしました。

    大道監督が凄いなって思ったのは最初の方だけで、思いの外、活躍の場面が少なかったよーな...野球部強くするスゴい人って思いながら読んでたのですが(笑)

    萬田くんは残念でした...

    会社経営と野球部の存続、池井戸さんのお話なので最後は予定通りの結末とは思いますが、楽しかったです。

  • 偶然立ち寄ったとある書店で開催されていた、
    “半沢直樹の名刺”のオマケフェアにてゲット。

    題材になるのは社会人野球と、会社経営。
    その背景には、リーマンショック前後の日本経済の不安が。

    物語の大枠は「半沢直樹」と同様、、

    既得層からの理不尽な試練に対するリベンジ、との、
    “スカッ”とするカタルシスな流れとなっています。

    軸になるのは、社会人野球として古豪でもある野球部員たちと、
    社歴が薄いながらも若くして抜擢された経営コンサル出身の社長。

    野球部は、主力を引き抜いた業界のライバル会社でもある野球部との対決、
    社長は、同業の百戦錬磨な冷徹な先輩経営者たちとのシェアの奪い合い、

    それぞれ、悩みを抱えながらも一つ一つ乗り越えていきます。

    業績悪化に伴う会社運営のかじ取りに苦労している経営者と、
    そんな業績悪化な最中で、成績を残せずに肩身が狭い野球部員たち。

    意外なほどの共通点も多く、フムフムと読み入ってしまいました。

    それぞれを取り巻く環境は厳しくて、
    決してファンタジーな大団円ではないけれど、

    時代の変遷と、その中でしたたかに生き残っていく、
    そんな人々の“生き様”が熱く語られていきます。

    表面的な利益を追求するだけでは企業としては片手落ち、
    “社会的有用性”をどう見いだしていくのを忘れてはならない、

    そんな事を思い出した一冊でした。

    なお、今春からドラマ化されるとかで、ちょっと見てみようかなとも。

  • 安定の池井戸作品。今回は、ビジネス×野球をテーマに、
    存続が危ぶまれる社会人野球部の快進撃と
    買収の危機の企業のドラマ、ってな設定です。

    分かりやすい正義vs悪の構造と
    どんどん読ませる著者の筆力。
    500ページくらいの分量でも、
    あっという間に読めてしまいます。

    ビジネス系小説が好きな個人的な好みを考えると
    純粋にビジネスに特化してくれた方が面白いと感じるのですが、
    もう少し柔らかいテーマで楽しみたい人にとっては、
    ピッタリの内容でしょう。

    野球部の人たちや企業内の人たちで、
    数多くの登場人物が出てくるので、
    人物の相関図とかがあれば、よりすーっと小説に入っていけたと思いますが、
    各人物像を細かく覚えていなくても、
    十分に楽しめるビジネス×野球小説だと思います。

    この小説が面白かった人には、
    近しい設定の「ノーサイド・ゲーム」もお勧めです。
    (こちらはラグビーのお話。)

    ※ノーサイド・ゲーム
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4065299101#comment

  • 業績不振にあえぐ中堅エレクトロニクス企業の弱小社会人野球部が舞台。「ルーズヴェルト・ゲーム」とは野球好きのルーズヴェルト大統領が「8対7」の試合が最も面白いと言った故事から来ている。不況に晒されている企業同士の駆け引き、社長としての企業経営の考え方、経営危機での野球チームの意義など、勧善懲悪的に白黒では終わらない部分をしっかり描きながら、『下町ロケット』で出てきた夢や希望といった側面を併せ持ち、読む者に勇気や活力を与えてくれる。やはり、エンターテインメント小説は、こうでなくっちゃ。

  • 結局見ることなく終わってしまった「半沢直樹」は原作シリーズの冊数からポーンと手を出すのはなんとなく気が引けて、未だ買ったことがありません。それ以上に、池井戸さんの作品はこれまで読んだことがありませんでした。「下町ロケット」を始め、作品と共にお名前はよく目にしていましたが、どんなお話を書かれているのかは特別関心が無くて全く知りませんでした。
    しかしながら!!本作の存在をドラマの話で初めて知って、しかも「白い巨塔」の唐沢さんと江口さんが共演すると聞いて、「これは何かある」と初回を見て、原作を読みたいと思わされました。
    物語の大筋については「ルーズヴェルト・ゲーム」という名前そのものがネタバレのようなもので、見えている部分は大きくて、章が進むごとにスコアが見えてくる、極めて分かりやすいエンターテインメントです。最後の方は、もう一捻りあってもいいんじゃないか、もう一発どんでん返しが来るのではないか、と勢いに任せて変な期待をしてしまった分、最後は「まあ、そんなものか」と気持ちが萎んでしまった部分があって、★は四つにしました。それでも、結構な分量があっても、ページをめくりたくなる中毒性はお見事だなと思いました。
    それから、これは好みの問題だとは思いますが、細川社長を主人公として据えているドラマの作りは相当痺れます。原作の後出しである上、野球シーンを始めとして映像にしか出来ないものもある以上、より面白くなっていてこそ、とも言えますが、原作よりもしつこい「逆転」や原作で受けたイメージとは異なる笹井専務の雰囲気、少し過剰な位の重厚感、とにかく原作を上手く調理したなーと個人的には大満足しているところです。原作の描写では特別濃い色味を感じない細川社長を唐沢さんに演じさせたのはG☆Jだなと本当に思います。最高。アレンジされている出来事や、原作には無い事件も起こっている中、今後の展開がますます楽しみです。
    解説を読めば、「下町ロケット」に登場した企業が本作にも出てきていたとのことですが、そもそも「下町ロケット」がどんな作品かすら知らない私からすれば、何のことやら、です。勿体無い!!どうでも良い、ちょっとした遊び程度のものとはいえ、全く異なるストーリーが同じ世界で起きていることなのだと感じさせられる、そういう遊びは大好きです。せっかくの機会なので「下町ロケット」、読んでみたいと思います。

  • おもしろい。業績不振、野球部も不振。Wパンチの青島製作所。窮地に立たされる野球部と経営陣。読み進めるごとに、「どうなるのだろう」と思いつつ、奇跡のルーズベルトゲーム。ラストの野球部のその後にも気持ちはスッキリ。

  • 読み終わって一言、「あー、疲れた。。」といっても、“心地よい疲れ”なのですけどね。
    社会人野球を描いた本書。勿論野球だけではなく、企業ドラマでもあります。
    業績不振にあえぐ青島製作所と、成績不振の同野球部。宿敵・ミツワ電器の攻勢に崖っぷち状態です。
    とにかくミツワ電器・野球部のクズ監督とクズエースの悪役っぷりが凄くて、前途ある若者の才能と人生を踏みにじった、彼らの卑劣なやり口にムカつきっぱなしでした。本当、犠牲者の沖原君が可哀想すぎて、もう何が何でもミツワ電器をコテンパンにすべし!と義憤にかられながら読みました。
    そして野球部だけでなく、会社としてもミツワ電器の工作で青島製作所はピンチに継ぐピンチ・・。
    “物語のトンネル”への耐性が弱い私は、息も絶え絶えです。
    それだけに、終盤のまさに“捲土重来!”といえる、青島製作所の反撃的な展開には身体が震えました。耐えた甲斐があったというものです。このあたりがストーリーとして申し分ないですね。
    と、いうわけで冒頭の“疲れたー”という感想になるのです。ここまでのめり込ませる池井戸さんはさすがですね。

著者プロフィール

1963年岐阜県生まれ。慶應義塾大学卒。98年『果つる底なき』で第44回江戸川乱歩賞を受賞し作家デビュー。2010年『鉄の骨』で第31回吉川英治文学新人賞を、11年『下町ロケット』で第145回直木賞を、’20年に第2回野間出版文化賞を受賞。主な作品に、「半沢直樹」シリーズ(『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』『アルルカンと道化師』)、「下町ロケット」シリーズ(『下町ロケット』『ガウディ計画』『ゴースト』『ヤタガラス』)、『空飛ぶタイヤ』『七つの会議』『陸王』『アキラとあきら』『民王』『民王 シベリアの陰謀』『不祥事』『花咲舞が黙ってない』『ルーズヴェルト・ゲーム』『シャイロックの子供たち』『ノーサイド・ゲーム』『ハヤブサ消防団』などがある。

「2023年 『新装版 BT’63(下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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