海賊とよばれた男(下) (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778305

感想・レビュー・書評

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  • (上下巻合わせてのレビューです。)

    数年前、本屋大賞に選ばれて、ドラマにもなり、話題になった本。
    機会があってようやく読めました。
    上下巻あって、結構なボリュームかつ壮大な物語。

    ガソリンスタンドでよく見る出光の出光興産を創業した
    出光佐三氏をモデルとした物語。
    戦前に創業し、海外展開していたものの、
    敗戦により海外資産をすべて失い、
    またゼロから組織を発展させた出光氏の壮大な物語は、圧巻の一言。
    特に出光氏の価値観・哲学にブレがなく、読んでいて気持ちが良い。

    上巻は、GHQに戦犯扱いされてしまった主人公の戦いが、
    後半はイランからの石油輸入劇がクライマックスか。
    上巻は期待していたほどでもなかったかな…と思っていましたが、
    下巻に行くに従って、物語が壮大になっていって段々面白くなってきました。

    ただ、テーマが石油なんですよね。
    気候変動の面から、これからはどんどん戦犯扱いされていきそうな石油。
    そういう意味では、段々読まれなくなっていく本なのかな、とちょっと寂しさも感じた本でした。

    あと、イランの歴史をあんまり知らなかったのですが、
    (この本に書かれたことが真実であれば)
    今のアメリカと敵対しているイランを作り上げたのって、
    アメリカの自業自得のような気がしました。。
    改めて、正義の難しさを感じました。
    (それぞれの国に正義がある。)

    個人的には、「永遠の0」の方が好みですが、
    こちらも著者の対策であることは間違いないですね。

    ※永遠の0
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/406276413X

  • 上下巻合わせて900ページは長かった!
    しかし出光興産の店主 出光佐三の半生を綴る物語としては短かったのかもしれない!

    石油の販売とそれを取り巻くシガラミについて詳しく物語に盛り込まれている。
    国内の石油連盟や欧米諸国の石油王手のメジャー、旧通産省からGHQまで・・・
    消費者と社員の事を考えてくれているのは出光佐三さんただ一人で本書は出光がシガラミを一つ一つ剥がしていく痛快な物語となっております。

    それと戦後から昭和の時代を知っている人には懐かしく、知らない人には古きを知る事ができる本かもしれません。

    ※出光興産は国岡商店と名を変え、出光佐三さんは国岡鐵三と名前を変えて登場します。

  • この本を読んでから出光に対する見方が変わった
    最近でこそ米英は正義の国の様な雰囲気を出しているけど
    自国の利益を優先する時は結構無茶してくるので、日本も巻き込まれない様に注意!

  • 登場人物がよく泣き、よく回想する。読者の好みが分かれるところなのかもしれない。

  • ザ!大和魂の日本人!!
    イランに向けて航海するところめちゃくちゃ熱かった。
    いろんな資料見て書かれたんだろうなと圧倒されてしまうくらいの情報量。

  • ちと長すぎ

  • 下巻を読み終わっても本当にこんな人が実在したのかと疑ってしまう

    最初はそんな強い人のように思えなかったけど
    辛い経験を何度も経て強く優しい皆の心の支えとなる人になってるけど、根っこの部分はなんら変わってないようで

    仕事って自分や家族が生活して、遊んだり、楽しんだりする為は確かにそうなんだけど、それだけじゃないんだ
    ちょっと自分にも喝が入ったようなそうでないような

  • 百田さんの代表作。
    なんか難しそうだったので今まで読んでませんでした。
    出光創業者の生涯で、主人公だけ名前を変えていますが、他の登場人物たちは名前もそのまま、実在した人物で知ってる名前の人たちも出てきます。
    姫路の日田町はこの日田さんから命名したのかぁー。ビックリした。
    戦後驚異の復興を遂げた日本ですが、こういった方々の努力の賜物なんだなと思わせられますが、今の時代になるとブラック企業とかパワハラとかにがっつり当てはまってしまうんでしょうね…。内容は上巻は読みやすかったんですけど、下巻は短いスパンでの山あり谷ありで読むのしんどかったです。思わぬ事態が…が多すぎて萎えます。立ち向かっていった登場人物の皆さんはすごいとしか言いようがありません。しかしながら、実話とはいえ小説なのでかなり美化されているだろうことと、父は典型的な男尊女卑だったと語っている娘さんの話などからあまり深く入り込まずに読んでいたので永遠の0のような読後感はなかったです…。

  • 「人間尊重を貫くかっこよさと危うさについて。成功すればパワハラも美談」
    ★本の概要・感想
    戦争によって財産を失った国岡が、いかにして日本を代表する石油企業を創り上げたか。そこまでの人情味あふれる戦いが、ドラマチックに描かれる。

    上巻と違うのは、プレイヤーが国岡から部下に変化してきていること。戦争直後では家財を投げ打って社員の給料を支払っていた国岡。既に社員数が100人を超えており、大企業の社長である。本書では、国岡商店の命運をかけた仕事の現場がいくつもあるものの、そこには国岡自身はいないことが多い。どんなにカッコイイシーンであっても「あくまで絶対的な上司である国岡の命に従って行ったことであるからなぁ」という思いがぬぐえなくもない。

    ただ、そのプレイヤーとして描かれる人物たちは皆人情味にあふれ、とても魅力的。義理人情を大切にし自己の利益ではなく、社会のため、日本のために奔走する。どこまでも自己犠牲的な精神が尊く扱われることに危うさを感じなくもないが...。「かっこいい生き方」「絶対絶命の立場に置かれてもあきらめない」「漢気とは」等、学ぶことは多い作品と言えるだろう。

    ★一番印象的なシーンとセリフ
    一番印象的なのは、日章丸の船長である新田が、即答でイラン行きを快諾したこと。これはしびれた。(※まぁ、多くの人物において、このような手口で「魅力的な人物感」を描くので、後半はやや食傷気味になる(笑)。「絶対的な無理難題を一瞬で快諾することにより、底知れない器の大きさが分かる」ことにより、周囲の人らが驚嘆する、というシーンは何度もある...。)自身の身の危険よりも、恩のため、自分自信の信条のため、動く男のかっこよさ。特攻隊的ともいえる危うさを孕んでいるが、読みながら感動させられてしまった

    ★本の面白かった点、かっこいいシーン
    *80歳を超えてから本を出版するってホントすごい
    ・国岡は社長職を引退してから、さかんに勉学に励み、その成果を著書として出している「マルクスが日本に生まれていたら」等
    ・生涯学習の良い例。95歳まで生きたという。歴史を作る人物は命も長いののか。両親とも90を超えるまで生きたそうなので、長命の家系なのかもしれないが

    *石油をめぐる歴史的潮流の雰囲気が掴める(小説で歴史的事実を学んだと思うのは危険だが)
    ・本作はエンタメ的に優秀なのだが、昭和時代の石油産業をめぐる潮流が掴めるのが良い
    ・特に、スタンダードオイル社がもう世界最強の企業であり、それにみんなが従うしかなかった、というのはその通りだし
    ・外資に下らず、日本のために自己資本での商いにこだわり続けた企業があった、というのは非常に熱い

    *エンタメとして面白いだけでなく、他の様々なテーマについても興味がわく小説
    ・良い小説は楽しませるだけでなく知的欲求を刺激してくれる。本書を読むと、「イギリスはイランをどのように統治していたのか」「油田開発はdのように行われるか」「現代のタンカー製造の現場はどうなっているか」「人間尊重の経営とは何か」など、様々な学問、テーマへの学習意欲を掻き立ててくれる。これは、百田氏の、一つ一つの展開をドラマチックに描く才によるものだ

    ★本のイマイチな点、それってどうなのって思うこと
    *パワハラとしか思えない支持を美談として描くこと
    ・国岡は年を老いてからか、無茶苦茶な理屈で部下に命令を下す。3年かかる石油精製工場を10か月で作れとか。その理由が意味不明で噴出した。「人間の赤ちゃんは10か月で生まれる。だから、工場も10か月だ。」老害でしかない(笑)。これには、作者も「理論にすらなっていない」と書いた
    ・イランとの貿易もそうだ。新田船長によって、イギリス海軍の目を逃れたから良いものの、一歩間違えば船は拿捕され、父さんの危険に陥っていた
    ・あらゆるむちゃくちゃな支持も、結果として成功しているからいいが、それはその指示とは関係ない。たまたまうまくいった、ということだ。うまくいけば、パワハラ的指示も美談になってしまう
    ・かなりの圧力をかけ、部下を猛烈に働かせて、成果を出させるというのは、古典的な手法だ。今はあまりうまくいかないだろう。これができるのは、部下から大きな信頼を寄せられているのが前提になるが。今は、昭和、平成の時代よりもますます個人が会社への帰属感を失っている時代。それほど上司を厚くリスペクトすることは稀。国岡式マネジメント(出光佐三式マネジメント?)は通用しにくいことは留意しておく
    ・まぁ、かといって、国岡の決断やマネジメントに批判を書いても、エンタメとして水が差されるので、仕方がないが

    ★学んだことをどうアクションに生かすか
    ・石油産業や海運業、日本的経営などをいつか学びたい。この本を読んだことを思い出しながら
    ・義理人情ってやっぱ大切だよね。もし自分が経営をすることになるならば、先に社員を信頼する
    ・戦争に行っている社員の給料もずっと払い続けていたエピソードにはしびれた。また、部下に「儲けろ」とは一言も言わなかったそうな。こういう信条で仕事をして、飯を食いたいよなー


    ★そもそも読んだきっかけ
    ・オーディオブックのセール

  • 下巻の後半くらいからなんとなく息切れ感というか駆け足感というか…
    僕はむちゃくちゃ感動した、という感じじゃなかった

著者プロフィール



「2022年 『橋下徹の研究』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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