- Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062778459
作品紹介・あらすじ
殺人現場は、部屋中真っ赤に染められた「赤い部屋」だった。東京を震撼させる連続爆破事件との関連はあるのか――。
感想・レビュー・書評
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赤のスプレー塗料で家中を染めまくった連続殺人事件。おりしも都内では連続爆破事件が起こる。捜査一課の如月塔子たちは地道に連続殺人事件の捜査を続けていたが、爆破事件との関連が浮かび上がってくる。当然、関連がなければ始まらないわけだが、なんだろうな、わくわく感があまりない(小説の中のことなので、まあ不謹慎じゃないよね)。地味な話だから?そんなことはない、連続殺人事件だし、爆破事件と結びつける黒幕がいたりするしね。筋の進め方が地味?主人公たちも地味だから?
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警視庁殺人分析班シリーズ第3作。
このシリーズは主人公、如月塔子の成長記録だ。
一見子供に見えるような駆け出しの小さな女性刑事が、警察官の憧れの部署である警視庁捜査一課で何とか認めてもらおうと奮闘する。本作では少しずつ刑事らしくなっていきながら、第1作での恐怖体験によるトラウマで大失態をおかしてしまう。捜査一課という厳しい環境の中でありながらも先輩や上司の思いやりに支えられ、その古傷を懸命に克服していく塔子が描かれている。
もう一つのこのシリーズの特徴は奇妙かつ残忍な殺害方法だが、本作では公安も絡んでくる複雑な構成のため前2作とは多少その辺のイメージは薄まっている感じがする。公安も含めた登場人物が増えたため、次回作以降での物語の広がりも匂わせる作品だ。
また次回作での塔子の成長を期待したい。 -
シリーズ3作目。
警察内部での部署によっての違いなども描かれていて勉強になる。
滅多に協力してやらないんだなぁ。
公安の情報が出てからどんどん事件が進んでいく。
如月にも試練が。
伏線などが繋がった時にはスッキリとした。
何か強大な組織が登場しそうな予感。 -
殺人分析班シリーズ3作目。
真っ赤に染められた殺害現場。そして、連動して起きる都内各所での爆破事件。
殺人事件の担当をする塔子達だったが、聞き込みをしている最中に爆破直後の現場に遭遇し、不運にも時差爆発に巻き込まれてしまう。
目の前で、同僚が負傷する様子を見てしまった塔子は、最初の事件でも同じように爆発に巻き込まれたことから、トラウマになって、捜査にならず、殺人未遂の現場で犯人を取り逃してしまう。
塔子の心の弱さにじれったさも感じるが、周りの人たちがいい人過ぎる…っていうか、甘すぎる。
それでも、後半に向けての手に汗握る展開は、2作目より断然面白い。
他の方のレビューにもあるが、ちょっと筋読みが甘いが、トリックが秀逸なので、ここは目を瞑ろう。 -
シリーズ第三弾。赤いスプレーで真っ赤に染められた殺人現場。殺人事件と平行し、都内で発生した連続爆破事件。警視庁捜査一課の如月塔子が事件を追う。
シリーズの中では一番派手で、事件が連鎖する展開が面白い。ハードな警察小説というよりも、テレビドラマに向いた警察小説だろうか。最近の警察小説に登場する女性刑事はアマゾネスタイプが多いが、如月塔子のような一見女子大生っぽい女性刑事というのも面白い。現在、シリーズは第五弾まで出ているようだ。 -
筋読みを重視した探偵的側面もある警察小説の第3弾。今作で如月はかなり成長したのかなと思わせてくれた。また如月の後半のセリフや手代木のセリフに心を揺らされたりして、前の2作よりのめり込めたかな。ただ爆破処理のくだりは如月と鷹野に活躍させるためとはいえ、素直に爆発物処理班に任せた方がよかったと思う。処理班を最初から向かわせない理由も書かれていたが、賭けに出て羽田に向かったのだからどうしても薄く感じてしまう。
ASCは今後も出てくるのかな? -
後半話が進んでいくと面白くなっていきました。やや結論に至るまでの思考が飛んでいる気もしましたが、捜査描写は丁寧でした。
チーム感は少し減っている印象です。塔子の考え方が甘いところが気になりますが、今後、成長していってもらいたいと思います。 -
第2弾より今回の第3弾の方が、面白かった!
ラストの展開はこちらまでハラハラして、どうなる事か⁉︎と思った(笑)
今回は刑事としての如月塔子、1人の人間としての如月塔子の葛藤する姿が描かれていて応援したくなった。 -
2作目がイマイチだったけど これは面白かった。
なんだろ。2作目って ちょっと難しかったのかなぁ。
このシリーズは 塔子の魅力というより 脇を固めるチームのみんなのキャラクターだったり チームワークだったり また警察内部の人間関係だったり そういうのがいいんだよねぇ。それにしても こんな病気があるとは知らなかったなぁ。 -
真っ赤に彩られた殺害現場。
何のために犯人はわざわざ部屋を赤く染めあげたのか。
時をほぼ同じくして起きた爆破事件。
たまたま近くにいた塔子たちは、爆破事件の現場へと急行する。
心に強く刻まれた恐怖心は、心の奥底に根付き、やがては行動や思考を縛るようになる。
爆発に遭遇した塔子は、「自分を守ってくれるもの」 を同時に失い、平常心を保てなくなる。
どんなに強い人間でも、拠り所を失ってしまったらとたんに弱くなる。
それは犯人も同じだったのかもしれない。
信じていた存在、どんなに辛い状況でも手を差し伸べてくれるあたたかな存在。
それがすべて嘘だったとしたら…。
強い心も、きっと壊れていくときは一瞬なのだろう。
何も失うものがない人間ほど怖いものはない。
何故なら、自分の命すら失うことを怖れないのだから。
塔子が最後に語りかける言葉が犯人に届けば…と思う。
言いたいことを我慢したり、自分の中だけに抱え込んだりすると、必ずその歪みがどこかに出てくる。
罪は許されることではないけれど、せめて何故犯行に及んだかくらいは吐き出してしまったほうがいい。
人間として大切なものを失ったけれど、まだ取り戻すことのできるものはあるはずだから。
女性刑事が主人公の警察小説にありがちな、いわゆる出来るタイプではない塔子。
学生のような外見に、親しみやすい雰囲気。
それは、鷹野の言うように塔子の強みなのだろう。
警察官として事件に向き合っていく塔子は、 まっすぐで前向きだ。
悩んだり迷ったりしながらも、出来ることを精一杯やろうとする姿には共感できる。
残り4冊のシリーズを楽しみながら読みたい。