ST 警視庁科学特捜班 毒物殺人<新装版> (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778701

作品紹介・あらすじ

連続変死事件発生! 最強チーム警察小説、第2弾。
美貌の女子アナ。隠された戦慄の謎。ST5人は不可能捜査に挑む。待望の新装版。

連続して発見された2つの変死体から検出されたのは共通する毒物だった。存続の危機に瀕していたSTが動き出す。事件の周辺からは新興宗教にも似た奇怪な自己啓発セミナー、そして有名女子アナの存在が浮かぶ。土壇場で意外な展開をみせる究極のサスペンス! 最強チーム警察小説シリーズ第2作、新カバー版。

感想・レビュー・書評

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  • 毒物殺人と題名に書いているので、方法は最初からわかっている。病死に見えて実は毒殺なんてベタな内容でなければと危惧しながら読み始めた。

    最初の遺体は代々木公園のホームレス村のそばで見つかる。2件目は世田谷公園、どちらもが心筋梗塞に見えて、死因は毒物によるものだった。
    ここまでで、やはりありきたりなストーリーかと少し残念に思った。
    そしてSTの存続の危機という、ありふれ感のダブルパンチだ。
    ただ、殺人なら、なぜすぐ見つかる場所に遺体があったのか?はこの時点での疑問だ。

    続いて有名女子アナと新興宗教のような自己啓発セミナー。この辺りから変化球が欲しいところだ。
    山吹の考え方は共感が持てた。「味方がほしかったら、戦うことだ。戦わない者には敵もできないが、味方もできないのだ。」その通りである。軋轢を嫌い当たり障りのない言葉や態度の人は、陰で不平不満を漏らすのが世の常である。
    自己啓発セミナーの怪しげな響きと目立つ場所へ置かれた遺体はどう関係してくるのか?この辺りに動機が隠れているのだろうか?
    少しずつ面白くなってきた。

    犯罪を暴くためには、方法と動機と機会を詳らかにする事である。方法と動機がわかれば、あとは機会はそう難しくない。そこにも何らかのトリックがあり、想像がついてしまう。
    割とシンプルなミステリーでありながら、STのメンバー5人の能力と菊川刑事の協力が心地よさを感じる。警察内でSTを敵視する川那部警視は手柄を取られ、今後の敵対は避けられないのだろう。続編も楽しめそうである。

  • 今野敏「ST警視庁科学特捜班シリーズ」第2作目(1999年9月単行本、2002年9月文庫本、2014年7月新装版)。
    5人のSTメンバーの中で今回は毒物等の薬物専門家である山吹才蔵が活躍する。前回登場の警視庁捜査一課の刑事菊川吾郎警部補もSTの推理に今回も協力する。STキャップの百合根友久警部が頼りないのは相変わらずだが、菊川警部補の積極的関与で百合根警部を助け、捜査権のないSTがその特殊な力を発揮することが出来るのは今回も同じだ。

    代々木公園、世田谷公園で連続して変死体が発見される。いづれからもフグ毒が検出され連続殺人事件として捜査本部が設置された。被害者の一人は暴力団関東英隆会と関わりがあるチンピラ杉田英吉19歳、もう一人の被害者はフリーのカメラマンでタレントのゴシップを追いかけていた笹本雅彦35歳。そしてそのタレントの所属事務所は関東英隆会の企業舎弟だった。捜査本部は関東英隆会絡みの事件として捜査方針を固めるが、STの推理は違っていた。

    杉田英吉のパソコンに有名なテレビのアナウンサー八神秋子28歳の写真が大量に保存されていた。八神秋子には岩谷慎太郎という35歳のレストランチェーンを経営する実業家のボーイフレンドがいて、付き合う前まではストーカーに悩まされていた。そしてそのストーカーが杉田の可能性があった。
    また岩谷には自己啓発セミナーを主宰している白鷺勇一郎という人物と繋がりがあり、秋子がセミナーに参加することになったことで事件は狂気の核心に迫る。

    岩谷と白鷺は関東英隆会の下部組織と共に関係がある間柄だった。そして白鷺と秋子は学生時代に出会っていた。岩谷の秋子への異常な独占欲、嫉妬、病的な愛情。白鷺の秋子への身勝手な復讐心。秋子が白鷺のセミナーに参加して徐々に洗脳される前に岩谷も白鷺に洗脳されていた。三者の異常な関係が2件の殺人事件を起こす動機となった。
    サディズムによる洗脳やや死人を蘇らせるトリックなど、何とも理解し難いストーリーだが、山吹才蔵が事件発生当初から感じていたインスピレーションが全て結びつき、STの面々の活躍で事件は解決する。赤城左門の法医学、青山翔の心理学、結城翠の聴覚、黒崎勇治の臭覚と柔術、4人の特殊能力が山吹才蔵をフォローして、事件解決、犯人逮捕までこぎつけるのだ。

    捜査本部の全く予想していなかった事件の真相に指揮を取っていた池田厚作管理官は驚くもSTの能力に満足感を感じていたようだ。反してSTに否定的で排除を画策していた警視庁捜査一課刑事調査官の川那部遼一警視は鼻をへし折られた感じの退場シーンが今後どう言う関係の展開になるのかちょっと楽しみな気もする。

  • STシリーズ2作目
    今回の展開もどうなるんだろうと思ってドキドキしながら読んでいった
    あまりグロいこともなく楽しみながら読めた
    次がまた楽しみ

  • 既読本。記録のため登録

  • #読了 話の筋が読めてしまうのが残念なんだけど、今回も安定して面白かった。STは5人もいるから、全員が毎回存在感があるわけではないのが少し物足りない。次回で、今回活躍の少なかった人たちの活躍を期待している。

  • 味方がほしかったら、戦うことだ。戦わない者には敵もできないが、味方もできないのだ。


    ------------------

    二作目。
    登場人物が多いので、キャラが全体的にぼんやりしてきました。会話だけ参加しているような。
    流し読みにはいい感じです。

    辛口ですが、すいすい読めるのでシリーズ最後まで読んでいこうと思います。

  • STシリーズ。
    毒物殺人の事件解決のためにメンバーが挑むのだけど、毒物そのものよりも舞台となったセミナーによるマインドコントロールの話が怖い。
    こういう心の闇と言うか人の弱さを書いても今野さんはうまいなーと思う。

  • STシリーズ2作目。
    「毒物殺人」というより、女子アナが巻き込まれる自己啓発セミナーの話、手法がショッキングだった。
    (図書館)

  • STメンバーの科学者としての「直観」と、菊川らベテラン刑事の「刑事のカン」。アプローチは異なるものの、最終的に同じ結論にたどりつくのが面白い。
    (「百鬼夜行シリーズ」の木場、榎木津、そして京極堂どれぞれの真相究明の方法を思い出した)

    百合根の視点から語られる警察サイドと、事件関係者の視点と、二つの視点が並行して物語が進行するのは前作と同様。
    百合根サイドは勿論、「女子アナ」八神の視点から語られる物語も警察サイドに負けないくらい面白い。
    彼女の物語に「サディスティック」なまなざしを注いでいる自分に気づき、少しヒヤッとした。

    STの中では山吹が中心になっていることに驚いた(派手な翠や赤城に先に焦点が当たると思っていた)。
    宗教者だからこその、冷やかな視点。
    教義めいた説明も、解りやすく噛み砕かれており読むスピードが緩められることが無い。
    今作もサックサク

  • シリーズ第2作!

    2つの変死体、フグ毒、新興宗教、ゾンビ、人気女子アナ…一見関係のない事柄から事件の真相へ、STメンバー宗教のプロ!(笑)山吹が導きます。

    ピースが少しずつカチリカチリとはまっていく展開がわかりやすくておもしろかったです。

    青山、山吹、百合根のやりとりがほほえましいなぁと感じました。
    百合根がまだまだSTのやり方にも現場での動き方にも慣れていなくもだもだしました…いろんな場面で蚊帳の外になってて…が、がんばれ!と何度ざわざわしたことか…
    それでも最後にはSTの面々に愛着を持てて、自分の立場に対して前向きな気分にもなれていて安心しました。

    山吹さんの穏やかでどこかあざとい感じ、よいなぁ(^-^)

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著者プロフィール

1955年北海道生まれ。上智大学在学中の78年に『怪物が街にやってくる』で問題小説新人賞を受賞。2006年、『隠蔽捜査』で吉川英治文学新人賞を、08年『果断 隠蔽捜査2』で山本周五郎賞、日本推理作家協会賞を受賞。

「2023年 『脈動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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