壊れる心 警視庁犯罪被害者支援課 (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062778961

感想・レビュー・書評

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  • 巻き添えで亡くなった子供の親は、どこに怒りを持って行けばいいのか。どんなことがあっても相手は許せない。結局、犯人は金か!

  • 警察ものですが、主人公は刑事ではありません。
    ある理由から犯罪被害者支援課に異動になります。
    ※現実では犯罪被害者支援室というのがあるみたいです。

    ミステリーものなので、刑事みたく捜査していきますが
    犯罪被害者支援という視点は変わりません。
    今までにあまりない視点で描かれていきます。

    ストーリーはとても悲しく泣いてしまいそうですが、
    救いもあるという感じです。
    主人公自身の救いはシリーズを重ねていけば・・・

    今までの警察ものにちょっと飽きてきた方に
    特にオススメです。

  • タイトルからしてかなり重いシリーズだとはわかっていたので避けていたが、他のシリーズとの絡みが強くなってきたので手に取ってみた。被害者支援課ということで、作者もかなりの覚悟を持って書いているのではと個人的に考えていたが、その通りだったなと感じた。シリーズ1作目から失敗事案を持ってきたのは意外だったが、インパクトが強く、被害者の揺れる心情も上手く描写されていると感じた。作品数が突出している作者だがその中でも屈指の名作だと思う。

  • 「被害者支援」について書かれた本だったけれど、弱者?の支援の難しさという意味では、いろんな支援に共通の難しさがあるのだろうなと思った。

  • 構成力の高さ、文章力の高さ、キャラクターの掘り下げ、扱うテーマの着眼点の良さとその描き方など
    すべてのパラメーターが優れていた!

    事件があり、通常ならそれを操作する刑事といったところで話を進めるのが普通だが、この本はおなじ警察官でも「被害者支援課」という立場で物語が進み、事件に関わっていく。私にとって新鮮な観点だった。

    執筆の際、被害者の心理を描くのはしんどそう。。

    読みすすめていくと主人公もまたとある事件の被害者であることがわかる。被害者支援をすることが主人公にとってのセラピーであり贖罪なのかもしれない。

  • 極々平凡な普通な暮らしが、一瞬の出来事で粉砕されてしまい、その事実に向き合って、それを受け容れて折り合いを付けなければならない人達…それを助けようとする人達…そんな群像の物語である。非常に興味深い…
    そしてこの物語に、主人公の村野が<警視庁犯罪被害者支援課>で勤務するようになって行った経過、関連する個人の事情というようなことがアクセントとして加わっている…
    これは…「シリーズ化」に値する秀作だ!!(実際、シリーズになっていて、他作品も愉しく読了した…)

  • 重い。ひたすら重い気分になりました。

    妻とそのお腹の中の子供の命を奪われた大住と他の被害者遺族の身になって想像すれば、私は彼らがあのような行動をとったことは理解できます。自分が同じ立場で、犯人の荒木が中途半端な罪で生きながらえるような事態になるなら、自分の人生を投げうってでも荒木に少しでも苦しみを、妻と子供を失った無念を、痛みを与えてやりたいと思ってしまいます。

    それが故に本作の結末は最も後味が悪いものと感じました。法によって適切な処罰が与えられれば、自分だけでなく社会が荒木の罪を認め、大住ほか被害者遺族の気持ちを汲んでくれたと感じられたはずです。

    なのでこの結末は被害者遺族としては気持ちの行き場を失わせる、最悪の結末でした。中途半端な罪で終わっていたとしても、その場合は荒木を「許した」社会を憎み、責めながらも、荒木と、彼の存在を守ろうとする社会への復讐心を糧に生きる力を得られたかもしれないから。

    加害者の人権が過剰に守られ、被害者とその遺族がないがしろにされがちな現状に対し、本作(というより、主人公の村野)も問題視していますが、私も100%それに同感。それもあって過剰に感情移入してしまったのかもしれませんが、それを差し引いても興味深く読むことが出来た一冊だと思っています。重く、辛い気分になりましたが……

著者プロフィール

堂場瞬一(どうば しゅんいち)
1963年茨城県生まれ。2000年、『8年』で第13回小説すばる新人賞受賞。警察小説、スポーツ小説など多彩なジャンルで意欲的に作品を発表し続けている。著書に「刑事・鳴沢了」「警視庁失踪課・高城賢吾」「警視庁追跡捜査係」「アナザーフェイス」「刑事の挑戦・一之瀬拓真」「捜査一課・澤村慶司」「ラストライン」「警視庁犯罪被害者支援課」などのシリーズ作品のほか、『八月からの手紙』『傷』『誤断』『黄金の時』『Killers』『社長室の冬』『バビロンの秘文字』(上・下)『犬の報酬』『絶望の歌を唄え』『砂の家』『ネタ元』『動乱の刑事』『宴の前』『帰還』『凍結捜査』『決断の刻』『チーム3』『空の声』『ダブル・トライ』など多数。

「2023年 『ラットトラップ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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