- Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062779074
感想・レビュー・書評
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木に恋した人、バービー人形と交際する男、母親との恋愛ハウトゥー、若者を丸のみにした人妻……。そんなちょっと変わった恋愛ばかりを集めた、「恋愛」ならぬ「変愛」小説集。
癖も色々あるなあ、HENTAIは日本の作風だけじゃないなあと感じさせてくれる一冊です。
この中に収録されている、木に恋する話こと『五月』(アリ・スミス)の書き出しが美しくてとても好きです。ブックリスト作った時にも書きましたが何度でも言う。
また、『柿右衛門の器』(ニコルソン・ベイカー)という話も良かったです。磁器に魅せられた女性たちの話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
現代英文学の変な愛にまつわるアンソロジー。
○五月 アリ・スミス
木に恋をする話。
原文では一人目の話者も、二人目の話者も性別が不明らしい。(俺は、初読のときにふつうにレズカップルの話だと思った)
ラストがぐっとくる。
○僕らが天王星に着くころ レイ・ヴクサヴィッチ
ある意味シンプルな構造。
奇病もの(そんなラベルはないか?)の王道。
○セーター レイ・ヴクサヴィッチ
これはよくわからなかった。
恋人が編んでくれたセーターが着られないというだけの話。
オチがループ落ちというか。
○まる呑み ジュリア・スラヴィン
人妻が若い男を呑み込んでしまい、奇妙な同居(?)生活を送る話。
訳文と設定のせいなのか、舞城っぽいなと。
○最後の夜 ジェームズ・ソルター
妻を安楽死(?)させようとするも失敗して愛人との関係がバレる……。
苦い読後感。
○お母さん攻略法 イアン・フレイジャー
恋愛ハウツー本の文体模写。
いちばんタネが割れていて、興奮出来なかった。
○リアル・ドール A・M・ホームズ
妹のバービー人形と交際するものの……。
人形遊びのグロテスクさについての話。
○獣 モーリーン・F・マクヒュー
これはよくわからなかった。
文章は面白かったけど。
○ブルー・ヨーデル スコット・スナイダー
飛行船に乗っているはずの昔の恋人を追いかける男の話。
妄想に取り付かれいるっぽい語り。
ブルー・ヨーデルはこの男だ。
○柿右衛門の器 ニコルソン・ベイカー
大伯母さんを器にしてしまう話。
なのだが、わかりやす過ぎた。
○母たちの島 ジュディ・バドニッツ
戦争で敵国の血が混じった子どもを産んでしまった女たちの島。
そこに外人の男が漂着して、オチがつく。
いちばんぐっときたかも知れない。
愛がテーマのアンソロジーの締めに相応しい作品。 -
「最後の夜」「リアル・ドール」「柿右衛門の器」が好きだった。あとがきにもあるように、リアル・ドールの妹が良い味を出している。
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とてもどきどきした。知らなかった世界を見た。
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『五月』『僕らが天王星に着くころ』『母たちの島』
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「まる飲み」が一番好き。好きな人を丸呑みにして腹の中で飼うという発想がすごい。確かに自分という箱の中に閉じ込めてしまえば、いずれ終わる関係への恐怖に怯えなくていいのかもしれない。
「”変愛”小説集」というだけあって強烈な話が多い。 -
選ぶなら最初の「五月」(アリ・スミス)が一番好きだ。A・M・ホームズ「リアル・ドール」面白かった。ニコルソン・ベイカー「柿右衛門の器」も好き。
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だって知ってた?あの人の髪、プラスチックなのよ。頭と髪の毛が一体になってるの。そんな人と付き合うなんて、もうぜんぜん無理だし。
ー「リアル・ドール」p.129より