働き方は「自分」で決める (講談社文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779418

作品紹介・あらすじ

・“働く”ことに殺されてはならない。
・組織に入らず、起業もしない就職だってある。
・他人を使わず、使われないで生きる。
下流でもなく、ホリエモンでもなく。草食でもなく、肉食でもなく。僕たちがつい当たり前だと思ってしまう「会社に雇われて働く」という生き方は、時代に限定されたものに過ぎない。いま最も支持を集める29歳の気鋭の社会学者が若き起業家たちの生態系に飛び込んで、若者たちの働く意味を考える。単行本『僕たちの前途』改題・大幅改稿! 文庫版オリジナル特典として、人気ロックバンドSEKAI NO OWARIとの対談を収録!(電子版には特典は収録されていません)

感想・レビュー・書評

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  • 働き方は「自分」で決める。古市憲寿先生の著書。会社に雇われて会社員として働くことが全てではない。常識、非常識の既成概念にとらわれずにもっと自由な発想で働くことについて考えるきっかけをもらえる良書です。もちろん誰もが古市憲寿先生のような才覚を持っているわけではないから、古市憲寿先生のような働き方を真似できるわけではないかもしれないけれど、改めて働く意味を考えること自体に価値があると思います。

  • 僕が本書を手に取って読み始めたのは刊行されてから7年以上も経っているので、多少は社会情勢が変わっていたりするのだけど、それでも響くものは多分にあった。

    上手く生きていくにはどうすればいいのかということを、社会学者でもある筆者が自身と関わりのある起業家達への取材と社会学的考察を元に俯瞰的に描出し、また、日本の社会構造を階層のフレームに当て嵌めて見渡した時に浮き彫りになる現実を提示している。
    筆者も含めた登場人物達と自分をつい比較してしまうのだけど、いわゆる「成功」している人達が備えている能力の高さにはやはり着目せざるを得ない。また、本書で挙げられる起業家達は、会社を大きくして上場することを目標にせず、少数精鋭で様々な外部の繋がりのある人々とプロジェクトごとに協力し合って仕事をするというスタイルを貫く人々だ。そしてその成功スタイルを可能にするのは、「専門性」と「弱いつながり」であると言う。しかし、それは誰にでも持てるものではない。ならば、持てない者はどう生きればいいのか……起業家以外の学歴の延長線上にある会社員も含め、フリーターなど、筆者がその時点で捉え得る限りの有り様を見つめ、模索するように考えが巡らされている。

    社会構造を俯瞰してリアリズムに則ってその時捉え得るデータのみで考察していくと、閉塞感は否めない。誰もが活き活きと生きられる社会を望めるようには思えなくなる。しかし、歴史的にはいつも極端な悲観論は現実的に見えつつも、意外な諸相の変化によって何となく打破されてきた。だから、あまり思い詰めなくても何とかなる、希望はあるんだというふうな論調も弱々しくはあれど終盤に見られたように思う。

    まだ20代だった頃の筆者がこれを書いたのかと思うと、世の中を広く冷静にアカデミズムと世俗の間を往き来しながら見つめられる筆者こそが一縷の希望のような気分にもなった。

    最も印象的だったのは、「弱いつながり」の方だ。慶応SFCという起業家精神と個性的で能力の高い若者が集まる「場」が「つながり」を醸成したであろうこと。これは他の学校や地域やシリコンバレーのような「場」でも多く見られることで、構成員がそれぞれ異なる「専門性」を持つことと深く結びついている。やはり、凡ゆる意味で「持てる」者が集まることが、少数精鋭で「成功」する条件なのだろうと。

    ならば、僕は首都圏以外のエリアで、世間的な成功とは異なるようなものも含めた「幸福」への道筋を考えてみたいとも思う。

  • 20-35歳くらいの人にお勧めしたい、若者の仕事観や人生観の本。古市さんの語り口がおもしろく、すらすら読める。
    夢を諦められない若者と、実力主義とはいっても幼少の教育環境や「努力できる」性格などの見えないトランポリンが強烈にはたらいている現代社会。ドラゴンボールよりONE PIECEが受け入れられる「仲間」重視のライフスタイル。などなど、20歳代の友人に読ませて感想を聞きたくなる。

  • 読んでて感じたのは、
    自分から考え、行動する人が、
    結果的に成功を収めてるなと。
    それに仕事を「仕事」として捉えてなく、
    毎日を楽しんでる印象を受けた。


    その上で、周りとの関係も特に重要なんだろうなー。

    自分の今の現状を考えると、
    周りも自分もしっかり行動しているか
    疑問に思ってしまった。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000053340  資料ID:0128720 請求番号:366.9/F93

  • 閉塞感が蔓延する現代社会。「やればできる」なんて夢見る若者を応援する風潮はあるけれど、何をやればいいのかがわからない。

    古市さんの友人、若くして成功している起業家たちのこれまでの歩みを追っていくと、どうやら育ってきた環境によって培われてきた「文化資本」が重要らしい。
    それは言葉遣い、趣味、立ち振る舞い、感性なんかのことだそうだ。

    高度な文化資本を持った人たちが刺激し合って、お互いがお互いのトランポリンのようになり、ビジネスを成功させていく、という流れで話は進んでいくが、あまりにも夢のない話で笑ってしまった。
    まあ、文句の付け所もない超正論だから、夢が無くてもしょうがない。

    サラリーマンという生き方には四十年程度の歴史しかないらしい。雇われて賃金を貰う、という働き方は普遍的ではなくて、数十年後には別の働き方、生き方が一般化している可能性もある。
    もちろん、現在とほぼほぼ変わらないスタイルで誰もが働き続けている可能性だってあるけど。

    個人の時代でも起業の時代でもなんでもいいけど、穏やかに暮らしていけたらいいな。できるだけストレスの少ない生活を送りたい。

  • 下流でもなく、ホリエモンでもなく。
    草食でもなく、肉食でもなく。

    古市さんの周りの「起業家」たちのストーリー。
    彼らがなぜ、どのように起業したのか。
    キラキラして見える「起業家」たちのリアル。
    起業を考えている人も興味ない人も、生きていくために必要な「働くこと」を見つめるきっかけになる一冊。

    古市さんご自身のこともたくさん書かれていて、とても楽しく読めました。
    無責任に夢を与えるわけでもなく、夢見る人を圧し折るわけでなく、選択肢を増やしてくれるような書き方に、とても好感が持てました。

    どこにあるのか、いつ出てくるのか、誰にもわからないトランポリン。
    見逃さずに生きたいです。

  • 普段感じていても、きちんと頭の中で整理出来ていない社会的構造がよくわかる。
    書名からすると、起業をお薦めする内容かと思うけど、むしろリスクを知る事ができる。
    日本社会の良いところは階級社会でなく、チャンスが誰にも開かれている所かと思っていたけど、そうでもないかな。あらゆる所に格差が見え隠れする。
    文化資本という言葉は知らなかったけど、なるほど、なるほど。
    この物差しで考えると持たざる人のほうが多いと思うので、そういう考えもあると割り切ったほうがいいかも。
    幸せは自分で決める
    「比べない」のはとても大事。

  • 若手起業家について、著者の身近にいる人を例に挙げながら実態を紹介している。
    その例から考えると、「若手起業家」になるには、個人の努力だけでなく、生まれ育った環境などが大きくかかわってくることがよくわかる。
    だから、やみくもに若者の起業を推奨するのはいかがなものかというのが著者の主張だし、もし、本当に若者の起業をもっと増やしたいのであれば、その前の段階から支援をしていく必要があるのではないかと思った。
    しかし、教育格差というか、そもそもの経済格差がある現代日本では、そう簡単なことではないかもしれないけれども・・・。

  • 2018年11月30日読了。TV出演も多い社会学者・古市憲寿氏が、現代の若者の置かれている環境・「起業」のリアルを分析する本。度々炎上する「お騒がせ芸人」的ポジションな著者だが言っていることはなかなか鋭く、自身の実体験や起業家らとのコネクションから語る言葉は説得力がある。年長者として闇雲に「チャレンジせよ」「雇われるよりノマドだ」と若者を焚きつけるのではなく、仲間とつながり・仲間に貢献する中から自分が得意でお金を稼げる領域・能力を見つけ、それを起業でも組織に所属するでもよいから活かしていくべき、という意見はもっともに感じる…。自分は「イマドキの若者」に接しておらず、彼らが何を考えているのかリアルに感じ取れる機会ってない・自分はすでに過去世代の「オジサン」になってしまっているのではないか、とも思う。。。

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著者プロフィール

1985年東京都生まれ。社会学者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員。2011年に若者の生態を的確に描いた『絶望の国の幸福な若者たち』で注目され、メディアでも活躍。18年に小説『平成くん、さようなら』で芥川賞候補となる。19年『百の夜は跳ねて』で再び芥川賞候補に。著書に『奈落』『アスク・ミー・ホワイ』『ヒノマル』など。

「2023年 『僕たちの月曜日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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