- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062779654
作品紹介・あらすじ
彼は信じている。時を超えて、勇気は伝染する、と――人は時折、勇気を試される。落下する子供を、間一髪で抱きとめた男。その姿に鼓舞された少年は、年月を経て、今度は自分が試される場面に立つ。勇気と臆病が連鎖し、絡み合って歴史は作られ、小さな決断がドミノを倒すきっかけをつくる。三つの物語を繋ぐものは何か。読み解いた先に、ある世界が浮かび上がる。
感想・レビュー・書評
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伊坂幸太郎 著
読み始めは、伊坂さんらしいテンポで、こちらも
テンポよく読み進めていたが…「PK」で、その展開を追って着地点を見つけようとしていた。
えっ!「PK」からの「超人」ヒーロー系に…それからどうなるの?って、謎を追ってる最中に、一旦、物語りは終わる そして…これは続いてる話しなのか分からなくなるように「密使」にストーリーは変化してゆく「これが、こうなります」と言われても…何がどうなったのか?物語のつながりが、よく見えてこない、面白いが理解するのが、難しい内容だった。
解説で大森氐があかしてくれる内容で得心した気分になれた それぞれの物語がどのようにつながっているのか、また三作品をひとつにつなぐため自分で発見するのが楽しいが…何がどうなっているのかよくわからなくて読み終えたあとモヤモヤしている人、わかったような気がするけど答え合わせしたい人がいるかもしれない…と(まさに、読み終えた今の私の心境ではないか、、って思ってしまった(笑)今まで読んだ伊坂さんの作品は色んな伏線を散りばめながら、最後に自分の中でも、きっちり伏線が回収出来る内容が多かったから…この作品については、自分の中で、纏まりが、つかなくて、もう一度読まなくは理解し難い点があったので、自分の解釈が信用出来ない気持ちが残った)で、突っ込んだ解説を書いてくれていたので、なるほどって落ち着いた。
「臆病は伝染する、そして勇気も伝染する」アドラーの引用といい
「ひとりひとりはいい人たちだけれど、集団になると頭のない怪物だ」
「人生を楽しむには、勇気と想像力とちょっぴりのお金があればいい」
チャップリンの引用など…素晴らしい!この作品の鍵になる内容を言い当ててるようだった。
作中にこんな言葉があった…
「私は嘘をつくことが嫌なのではありません。それを誰かに強要されることが嫌なんです」
その言葉は的を得て、真っ直ぐ自分の中に入ってきた…。
伊坂さんは本当に想像力豊かだ!とあり得ないような事を実はあり得ると思わせるところが巧みだし、でも、現実に置き換えて、あり得なくないかもしれないなぁとか…
ヒーローの存在とかあり得てほしい…それを信じる自分でいたいとかって感じてしまう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人には勇気が試される瞬間がある。
「密使」の時間スリで変わる世界
→「PK」「超人」 -
2021(R3)6.21-7.9
3つの中編が絡みあっていることは分かるが、それがどう絡み合って、結局どう収束したのか分からないまま読了。
相変わらず「一気読み」ができなくて間が空くので、話の流れが整理できず、行きつ戻りつ読むものの次第に苛立ち、3編目は前2編の解決編となっているんだけど、その意味がよく分からずに読了。
その後、いろんなサイトの書評を読んで、この物語の全体像が分かる。
『SOSの猿』の時に、伊坂幸太郎のレトリックにつていけない自分がいたけれど、またもや同じような展開となってしまった。
そりゃあね、ついていけないワタシの読解力のなさが根本原因であることを前提にしたとしても、「読者を置き去りにする物語」ってどうよ?と思う。
もしくは、「作品の組み立てやレトリックの妙を解き明かす楽しみを味わう物語」なのかな?
ああ、ダメだ。今、作品(単行本)の帯を見返したが、ワタシにはこの物語を肯定的には捉えられない。(単独の3編はそれぞれ面白いんですけどね。) -
臆病は伝染する。そして、勇気も伝染する(心理学者 アドラー)
個人的には、本作品は、人が生きていく中で、時折訪れる決断を、時間軸を伸ばして捉えたように感じました。
ただ、伊坂さん、何なんですか、この読後の余韻は・・(笑)
さて、印象に残った場面をいくつか書き出します。
【印象に残った言葉・場面】
〇 冷笑社会(恐竜の社会が一億年も続いたお話)
⇒妙に説得力のある言葉でした。毎日を必死に生き抜くことの大切さが、改めて理解できました(恐竜は、服を着てないから、洗濯は不要だ!)
〇 間違いは、それを正すのを拒むまで間違いとならない
⇒明日以降、この言葉を胸に留めて、仕事に取り組みたいですね!
【総括】
伊坂さんの大好きな作品の一つに「フィッシュストーリー」がありますが、小さな勇気が未来に繋がる話は、大好物です!
現実でも、重要な決断を迫られる際、自分の何を軸として、判断すれば良いか迷うこともしばしば。
ほんの少しの勇気を出して、誰かの未来に役立つ決断ができますように! -
#PK #伊坂幸太郎
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「時を超えて、勇気は伝染する。」
その決断が未来を変える。連鎖して、三つの世界を変動させる。三つの中編小説からなる本作。どこか繋がっているようで繋がっていない…?けど、周りに回って世界を救う。そんなお話。
「臆病は伝染する。そして、勇気も伝染する。」
「勇気は、勇気を持った人間からしか教わることができない」
三つの短編ごとでテーマとなる物語は異なりますが、伊坂さんらしさといいますでしょうか。時系列や登場人物がどこかリンクしていて、読んでいる最中に「おやっ?」と思わせ、楽しませてくれる。
そして最後に非常に個人的な感想。伊坂さんの作品のジャケットはどれもとっても好きだし、なんらかの想いが込められているんだと思うんです。
「PK」では、一人ただひた走るヒーローが描かれている。自分の信じたものに、孤独にも、前向きに、ひた走る姿。なんだか、ぼくもその強い意思と「勇気」を感じました。読み終えたぼくにも「勇気」が伝染したようです。 -
3つの短編が、複雑に絡み合う。過去と未来も行ったり来たりしていて、解説を読まないと理解しきれないところ・解説を読んでも理解しきれないままのところがあった。
「ひとりひとりはいい人たちだけれど、集団になると頭のない怪物だ」というチャップリン映画のセリフは、今の時代だとSNSでの誹謗中傷を的確に表している言葉のよう。また3篇の中で最後の「密使」での「耐性菌が蔓延する破滅的な未来」というのは、コロナ禍の現代のよう。現代にも、未来からの使者が現れて、この世界を変えてくれないかな・・・と思ってしまう。 -
流し読みしてたら、よくわからなくなって、解説読んでやっと理解。ぜひ2回は読んでみてほしい作品です。面白いしすっと読めるけど、理解は難しい。
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チャプターの1つ1つがパズルのピースのような、かなり凝った構成になっている中編3話が収録されています。
この3話の中編は、連作とはちょっと異なるのですが、第1話「PK」の世界=A、第2話「超人」の世界=A´(Aダッシュ)、第3話「密使」が前2話のソース(源)的な感じでそれぞれ違う世界なのですが繋がりがあり、その繋がり方がある分岐点によって変わってくるという、まさにパラレルワールドを想定させます。
ある人物の、ある行動や選択が分岐点となって別の世界(A→A´)が創られる(“未来が変わる”とはちょっと違うんだな)・・そしてそのアクションによって、その人物(人物とは限らず、あの、おぞましい昆虫“G”ですら)は結果的に世界を救ったり、その逆になったり・・。
それは、時間軸という概念ではなくて、ちょっっっとずつ違う世界がいくつも同時に存在するような感覚ですかね。
個人的に、パラレルワールドや量子力学に興味があるので、第3話「密使」の中でまさにそれが語られる場面があり、思わず前のめりになって読みました。
そして、前述したパズルのピースが繋がり合っていく様は、それはもう見事で読んでいて感心しました。
ただ、全部が全部伏線回収や説明がつくわけではなく、不思議なままの人や事柄もありましたが、それはメタファーなんだろうな、と私は思います。
個人的には伊坂さんのセンス全開の面白い作品だと思いましたし、オチとかもすごく好きでした。
どうも好き嫌いがかなり分かれる作品のようですが、なんとなく本書は、村上春樹さんの小説や、ヱヴァンゲリヲン(ループ説)の世界観というか雰囲気を彷彿とさせるものがあるかなと思った次第です。(あくまで個人的な印象です!語弊あったらスミマセン) -
難しかった
ドミノのように反応が連鎖する繋がりを読み取れたら面白いのだろうと思う
黒いテカテカの虫がちょくちょく出てくるので苦手な人は避けた方がいいかもしれない -
新しい話が次から次へとポンポンと飛び出すから頭の中の整理が追いつかず挫折しかけた。
あとがきの解説を読んでなんとなく分かった気がする。