ACT 警視庁特別潜入捜査班 (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062779906

作品紹介・あらすじ

『もぐら』『D-1』のアクション小説の新星にして鬼才、矢月秀作、講談社文庫初見参! 警視庁隠密「劇団UST」とは何者か?

感想・レビュー・書評

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  • 作者初読み。
    新しい警察物のシリーズを探していて、見つけた作品。
    潜入捜査専門の部署「UST」を舞台にしており、普通の警察物とはちょっと違ったテイスト。小劇団で冴えない劇団員をしている田宮は、実は潜入捜査の主演俳優。事件ともなれば、どんな人物にもなりきる。
    今回の潜入捜査のターゲットは、振り込め詐欺グループ。ホームレスをNPO法人が更生させると言う名目で、シェアハウスに住まわせ、職も紹介する。しかし、その職場でミスを起こさせ、借金を背負わせ、振り込め詐欺のグループに引き入れると言う手口を追っていた警察は、田宮をホームレスとして潜入させ、真の黒幕に迫っていく…
    いや、田宮の成り上がりっぷりが凄い!かなりハラハラする展開で、一気に読んでしまった。バックアップを専門にする谷内を始め、USTのメンバーもいい!次作も楽しみ。

  • 劇団的用語を隠語にして動く極秘部署の一員である田宮一郎捜査官がホームレスに紛れることから始め背後に権力の見える振り込め詐欺組織の潜入捜査を行う。警察官だということを忘れるくらい常に潜入している。潜入時の演技の徹底や終盤の警察官らしからぬ非情な暴行振りが日頃表の小劇団で燻る良心的な若者さと別人のよう。

  • とにかく設定が面白かった。
    まるで劇団が公演を行なうように、シナリオに沿ってそれぞれが与えられた役を自分のもにしていく。
    サポート体制があるとはいえ、危険な捜査であることに変わりはない。
    チームを組んだメンバーたちは、それぞれの役を与えられた舞台で完璧に演ずる。
    主人公である田宮の人物造形がいい。
    リアルな生活で劇団に所属はしている田宮は、俳優としてまったく使い物にならない。
    けれども潜入捜査官としての田宮はプロ意識が強く、役に完璧になりきることを得意としている。
    新人捜査官の吉沢に心構えを伝える場面では、多くを語らずともその行動で捜査官としてのあるべき姿を伝えている。
    体型や声色、話し方まで役にあわせて作り上げられていく潜入のための架空の人物。
    捜査の過程で知り合った人間を犯罪行為に巻き込みたくないと苦心する田宮の行動が、彼の捜査員としての優秀さと人としてのあたたかさを感じさせてくれた。
    テンポのある展開、起伏にとんだストーリー、魅力ある登場人物たち。
    警察小説ではあるけれど、新鮮な思いで読むことができた物語だった。

  • 『もぐら』のリバイバル・ヒット以来、目が離せない作家の一人、矢月秀作のハードアクション長編。悪を倒すためには手段は選ばず…次々と主人公を襲う危機…爽快な読後感と面白さ!シリーズ化されるのだろうか。

    主人公の田宮一郎はうだつの上がらない劇団員であると同時に実は警視庁の極秘部署に所属する腕利きの潜入捜査官だった。田宮たち特別潜入捜査班『UST』のメンバーは詐欺犯罪組織に潜入するため、様々な人物に扮して、闇の中に身を投ずるのだが…

    相変わらず、矢月秀作のハードアクションは、昔の劇画のようだ。

  • 敵の内部に入り込めば入り込むほど面白くなっていった。田宮以外の役者たちの潜入先での活躍も、もう少し読んでみたかったかも。

  • 『ACT 警視庁特別潜入捜査班 』/矢月秀作

    アクション小説の中でも、作風は鋭い上、リアリティとスピード感が持ち味な著者の作品の中で、本書は、少しこれまでの作風の中に一味、まろやかな旨味が加わった仕様となっており、鋭いリアリティよりは、題名の通り、演者の動きを見ているように多角的に楽しめる一面もあります。

    通常の捜査では難しい事件に対して、”非合法潜入捜査専門”の捜査官たちが招集された。
    それぞれの事件に対して、それに最適な役になり、潜入するアンダーカバー達。
    ACTシリーズ第一弾の本書は、振り込め詐欺の事件を舞台に、社会的弱者とそれを食い物にする犯罪組織の構図の中で、ACTのメンバーが縦横無尽に走り回る。
    また、本書では、犯罪の上で、揺り動く人間心理を垣間見れるのも面白さを引き立てていることも惹き込まれる要因のうちの1つです。

  • 久しぶりの矢月秀作。
    もぐらでハマったあと何作かハズレで 足が遠のいてた。
    これも尾崎さんに借りなかったら 読むことなかったかも。
    矢月秀作らしいスピード感と痛快な面白さ。
    すぐにストーリーに引き込まれて 一気に読みきった。
    シリーズになりそうな予感。
    次回作が楽しみ。

  • 潜入捜査員が詐欺グループに潜入してミッションをこなす物語。
    かなり面白い。
    テンポもキャラクターも良い。
    潜入捜査員も情とかが入ってしまうんじゃないかな?って考えてしまった

  • 少々うまく行きすぎている感はありますが、とても面白かったです。
    ぜひ次の公演を。

  • 主人公の田宮一郎は、うだつが上がらない劇団員と思いきや、警視庁特別潜入捜査班・USTの専門捜査官。
    振り込め詐欺の内偵に入るため、ホームレス・犬塚健になりきり潜入する。
    なりきる過程が凄まじすぎるし、なりきる度合いが、またすごい。完全に別人になっている。

    ストーリーに関しても衝撃的。
    振り込め詐欺という裏社会の犯罪と表社会の繋がりに驚かされ、それを暴いていく犬塚の内偵捜査の展開に引き込まれていく。

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著者プロフィール

1964年兵庫県生まれ。文芸誌編集などを経て、小説家へ転向。「もぐら」シリーズが100万部を突破し、大ブレイク。「もぐら 新章」「D1」「ACT」「刑事学校」「警視庁公安0課」などシリーズ多数。

「2022年 『紅い塔』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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