シルクロードと唐帝国 (興亡の世界史)

著者 :
  • 講談社
3.54
  • (3)
  • (11)
  • (12)
  • (2)
  • (0)
本棚登録 : 106
感想 : 9
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (414ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062807050

作品紹介・あらすじ

シルクロードとは、単なる「東西交易路」ではなく、突厥、ウイグル、チベットなど諸民族が入り乱れる激動の世界史の最前線だった。近年注目の「ソグド人」とは何者か。唐は漢民族の王朝なのか。中央ユーラシアの草原から、西洋中心史観と中華主義の克服を訴える。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 遠い昔NHKの「シルクロード」を見た時なにか胡散臭く
    井上靖も嫌いだった。
    多分、中華思想視点が気に入らなかったのだと思う。
    著者の「西欧・中華」中心歴史観の転換のすすめと
    「本当の自虐史観とは何か?」には納得させられる。
    知の不在は衆愚政治を生む。これにも同感。

  • シルクロードと唐帝国

    本当の「自虐史観」とは何か
    歴史を学ぶ意義は、人種にも民族にも言語にも思想にも何一つ純粋なものなどなく、すべては混じり合って形成されてきた歴史的産物であるから、そこにはいかなる優劣も差別もないということを、明確に認識すること

    シルクロードと世界史
    シルクロードは南北にも伸びており、細かい網の目状になっている

    ソグド人の登場
    ソグド人の基本は農業、オアシスは狭く人口が増えていくと商人が増える
    キャラバンの護衛として軍事力もあった

    唐の建国と突厥の滅亡
    北斉北周の時代、突厥は彼らから関心を買ってもらうために優位に立っていた
    楊堅により分断される

    唐代文化の西域趣味
    唐初期は自らが漢人でないことを意識し、グローバルな体制を認め、ソグド人の舞踊や歌を楽しんだが、次第に閉鎖的になっていく

    奴隷売買文書を読む
    条件が多岐にわたる契約書であり、お互いの信用度が低くなった文明社会の様子を想起させる
    奴隷はコンピュータが発達するまでは世界最高の精密機械であり、軍事力の根幹である馬と並ぶ高額品
    絹馬貿易だけでなく絹奴貿易も盛んだった可能性が高い(奴隷の教育施設があった)

    突厥の復興
    突厥に代わって唐が陸のシルクロードであるオアシスの道と草原の道を押さえたことが、唐が世界帝国となった要因だったが、突厥の復興後に再びトルコ側に戻った

    ウイグルの登場と安史の乱
    家畜の解体を常とするウイグルが徹底的に殺生を戒めるマニ教に改宗したのはなぜか
    ウイグルが安史の乱で唐を助けたのは、経済基盤であったソグド人を救うためだった可能性がある

  • 近代の覇権を築いた西欧の中央アジア史の水準がどこまで低いのか知りませんし、日本の研究水準が高くて海外は追いつけてないらしいのですが、論争に興味がない私にはこの本の内容を納得しながら読めるような素朴さはありませんでした
    出来るだけ論者に加工されてない歴史を知りたいものです

  • 中央図書館で読む。それにしても、パソコンに直接打つのは便利です。ノートをとり、スキャンするのも簡単です。しかし、見た目がよくない。再読です。このシリーズは、正直、あまり面白くない。しかし、この本は面白い。テーマは、唐の成立です。現在のモンゴル地域の遊牧民と漢民族の王朝は、常に、敵対していたわけではない。権力を握るために、協力することもあった。また、一方的な上下関係にあるわけではない。ケースバイケースであった。唐の特徴は、漢民族を重視したことである。これは、当然である。彼らの協力なしで、農耕民を支配することはできない。それに対して、遊牧民は戦争は出来ても、農耕民を支配することは出来ない。それにしても、この時代のことを全く知らないことに気づく。いつも思うことですが、一冊読んで終わりはよくないです。正直、何も残りません。関連文献を読む必要があります。前に読んだ本が深く読めるようになってきます。

  • すべてソグド人のせいか、と納得出来る本。
    ウイグルや突厥について事細かに書かれてあったので面白かったー!

    「安史の乱」という言葉がもうすでにソグド人を表してるって時点で素晴らしいと思います。
    なんだ、玄宗皇帝も遊牧民の子孫だったのですね!

    でも、筆者の言い方がちょっと分かりにくかったところ(説明もなしにいきなり高等な専門用語を使うとか、主述がおかしいとか)もあったので、★ひとつマイナス。

  • ソグド人面白い。唐の懐の大きさ。

  • 中央アジアの諸民族の興亡を中心に、ソグド人たちの活躍を論じる。

全9件中 1 - 9件を表示

著者プロフィール

1948年福井県生まれ。東京大学文学部卒業。同大学院在学中に、フランス政府給費留学生としてパリ留学。金沢大学助教授、大阪大学教授、近畿大学特任教授などを経て、現在、公益財団法人東洋文庫監事・研究員、大阪大学名誉教授。博士(文学)。おもな著書に『興亡の世界史05 シルクロードと唐帝国』(講談社)、『ウイグル=マニ教史の研究』(大阪大学文学部紀要)、『東西ウイグルと中央ユーラシア』(名古屋大学出版会)、編著書に『中央アジア出土文物論叢』(朋友書店)、『ソグドからウイグルへ――シルクロード東部の民族と文化の交流』(汲古書院)ほか。

「2020年 『シルクロード世界史』 で使われていた紹介文から引用しています。」

森安孝夫の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×