ケルトの水脈 (興亡の世界史)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 98
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062807074

作品紹介・あらすじ

ローマ文明とキリスト教におおわれる以前、ヨーロッパの基層をなしたケルト人はどこへ消えたのか。巨石文化からアーサー王の伝説、現代の「ケルト復興」まで、フランス、ブルターニュの歴史・信仰・言語を軸に、アイルランド中心の「ケルト・ブーム」を問い直す。

感想・レビュー・書評

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  • ケルトといえば、ドルイドとか思うけど、正統的ドルイドは紀元前の数世紀くらいしかいなかったらしい。ケルト語の系統をひく後世の民族が、ラテンやゲルマンへの対抗心で誇大に扱ったって感じかな。正統的ドルイドが、ギリシアのピタゴラス派からの影響を受けているという話はかなり興味深い。
    本書の殆どは、ケルトの系統を引く民族の歴史って感じ。
    ドルイドの次にくるケルトの伝説が、キリスト教の守護聖人であったり、アーサー王伝説だったり。

  • 読みものとしては面白いが、本文と地図の地名表記が違ったり、口絵に本文に出てくる文化の指標になる遺物の写真がなく、美しく人目を惹くものに偏っていたりするので、他のケルト本などを探して確認しなければならず使い辛い。もしかして他の本を買わせることを狙っていたりして!?笑

  • テーマ史

  • 現代日本でケルトといえば、特徴的な民族音楽かハロウィーンのような妖精伝承に限られるが、厳密な定義はなんなのか。ガリアとの関連性はどうなのかを詳細に見ると、その複雑性に面食らう。

    本書で中心に扱われるのは、フランスのブルターニュ地方であり、よくある言い回しでは「ケルト文化が色濃く残る地域であるから」とでも説明されるところであるが、事はそう単純ではない。スコットランド、ウェールズ、コーンウォール、ブリタニア、エール地方に住むブリトン人、ノルマン人、ゲルマン人、デーン人、アングロサクソン人、フランク人が征服したり移住したり布教したりを繰り返して、その複雑さにより形成された文化の痕跡を辿るのは難しい。

    過去に存在したハルシュタット文化、ラテーヌ文化の担い手であるケルト民族と、ケルト文化に限らない巨石文化や墳墓文化を持つ普遍的な民間信仰。そして現代のアイルランド圏が謳うケルト文化はそれぞれ別個のものとして考える所が出発点となる。カエサルのガリア戦記などの紀元前の文献でガリアの人々が特徴付けられるが、ローマによる征服、キリスト教の布教、ゲルマン民族の移動、イギリス近辺の征服と支配者の入れ替わりでケルト的なものは一部その習俗が残る部分はあっても、民族的な統一体としては一旦忘れ去られることとなる。

    本書はその痕跡を具体的な文献や民話の収集によって辿るものであるが、混迷とした文化を一つ一つ紐解いて関連付けていくその手法は、歴史と宗教、地理・習俗・民族文化に深く通じていないと解けないミステリのようでもあり、その地方や用語に詳しくなくとも、学びながら謎解きを楽しめる。

    結論としては現代人が謳うケルトと古代ケルトの断絶が強調されるが、本書はその欺瞞を否定することを目的とした本ではない。ただ真実を明らかにするというプロセスそのものに学びと楽しみがあるからこそ、ケルト文化が失われているとしても、人類は進歩し続けているのだから。

  • 地元の図書館で読む。再読です。どこで読んだのか記憶がない。記憶があるのは、理解不能なことだけです。今回も、理解不能でした。正直、何を言っているのか分からない。やはり、このシリーズは難しいです。書くべきことは、それだけしかありません。図書館では、1日5冊のノルマにしています。日本史、世界史、哲学、美術、そして、新書にしています。新書に代えて、小説を読むことにしました。世界史は、「興亡の世界史」を読んでいました。そろそろ、ネタ切れです。「知の再発見」、中央公論の「世界の歴史」を読むことにしましょう。美術は、読むべき本はいくらでもあります。哲学は、「現代思想の冒険者」も、今月中に読み終わります。以後は、関連文献を読みましょう。最大の問題は、日本史です。意外に、適当な本がありません。新書を読みましょう。それにしても、ノルマを増やすと、メモがいい加減になります。それにしても、よく本を読んでいます。

  • ローマ帝国とキリスト教ではないもう一つのヨーロッパのルーツであるケルトについて詳しく書かれた珍しい内容です
    本場の研究動向に目配りをなされていて非常に丁寧に書かれた素晴らしい本であると思います

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著者プロフィール

女子美術大学芸術学部教授<br>専攻 言語社会学、民族学<br><br>単著<br>『周縁的文化の変貌』三元社、1990年<br>『〈民族起源〉の精神史』岩波書店、2003年<br>共著<br>『記憶と記録』(臼井隆一郎・高村忠明編)東京大学出版会、2001年<br>『ヨーロッパ統合のゆくえ』(宮島喬・羽場久み(*)子編)人文書院、2001年<br>『国民国家はどう変わるか』(梶田孝道・小倉充夫編)東京大学出版会、2002年<br>『歴史としてのヨーロッパ・アイデンティティ』(谷川稔編)山川出版社、2003年<br>翻訳<br>『虐げられた言語の復権』(ジオルダン編)批評社、1987年<br><br>(*)みの字はさんずいに尾

「2005年 『ヨーロッパ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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