北方領土 特命交渉 (講談社+α文庫)

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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062811668

感想・レビュー・書評

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  •  07年。今となって読んでみると、外務省からパージされ国策捜査でパクられた二人が、怨念むき出しで駄目な外務官僚を実名で批判しているだけの本、という気がする。

  • 久々の更新。これは北方領土の日に合はせて読んでゐた本ですが、ここで取り上げるのが一ヶ月以上遅れてしまひました。理由は、愚図愚図してゐたからであります。と態々言ふことではないですね。
    『北方領土 特命交渉』の著者二人は、一時期日本国の敵みたいに言はれ、(恐らく)その実情以上に迫害された経験を持ちます。それゆゑ、本書には世間への怨みつらみが満載なのかと警戒しつつ読み始めたのですが、その心配は杞憂でありました。
    このお二方は予想以上に高い見識を持つてゐるのだなあ、と感心した次第であります。ま、冒頭で宗男氏も反省してゐる通り、外務省の腐敗化に一役買つてゐたことも事実のやうですが。

    橋本・小渕・森の各総理のもと、特命を受けて実際に交渉に当つてきた宗男氏本人ですから、その言葉には臨場感がありますな。必ずしも疑惑の総合商社ではなかつたやうです。極秘情報を守るために、証言で言へないこともあり、一層疑惑を深めた面もあります。ムネオハウスも、実態は報道とはちと違ふみたい。世論の流れに乗るマスコミ報道の恐ろしさがここでも表れてゐますね。

    その特命交渉により、ロシヤとパイプを築いてきた宗男氏でしたが、北方領土問題が解決しちやふと困る人たちが彼の行く手を阻んだのださうです。領土問題でメシを喰ふ人たち(本書では実名で出てゐます)が失業するので。そして宗男バッシング。さらに小泉政権での無為無策。
    宗男氏が退場させられた後、あと少しで手が届きさうだつた北方領土は、再び遠い地へとなつてしまつた。
    外交問題は粘り強い交渉の積み重ねが重要かと勘案しますが、ここで振り出しへ戻つてしまつたのですねえ。

    本書で鈴木宗男さんの印象がちよつと変りました。本書で実名批判された方たちは、何かしらの反応を示していただきたい。わたくし共としても、双方の主張を聞きたいものです。
    ちと古い本ですが、読んで損はないと申せませう。あ、もし損しても責任は取りませんが。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-158.html

  • お二人の対談。あくまで一方の視点であるにしても、数年以上前の話を実名(しかも首相・大臣クラス)で昨日のことのよう話す内容は恐らく事実であると思われるし、国益を本気で考えてきたことが伺える。その一方で、外務省の体たらくが露呈する。
    全てが守秘義務ギリギリラインだが、彼らが口を開かなければ国民は知りえない現実だし、山ほど登場する政治家たちは、まるで正反対の印象だ。印象の良かった人は悪くなり、悪かった人が良くなり…と。特に胡散臭く見えていた鈴木宗男氏は全く逆の印象。いかにマスコミの報道が作られたものであるかが伺える。
    歯舞・色丹は、返還直前まであと一歩だったらしい。今となっては、小泉政権が何もしなかったことや、外務省の腰抜け具合が伺い知れる。お役人の体質を知れば知るほど、こんな社会を作った私欲で動く『偉大なるイエスマン』たる政治家の責任の重大さを問いたくなる。その意味でお二方が国に追われる身となってしまったことは残念だ。宗男氏が早く娑婆に出られることを願う。(出ても5年間は選挙権ないけれど。)今更だけど、「『疑惑の総合商社』はあんたでしょ」と辻本に返したい。

  • 異能の政治家、鈴木宗男と異能の外交官、佐藤優による北方領土をめぐっての対談です。生々しい駆け引きと血なまぐさい謀略。領土をめぐる問題の複雑さと『内側の敵』の存在にもびっくりしたことを覚えています。

    最近、また佐藤優さんの本を再読していますので、彼と鈴木宗男さんがなぜあれだけのバッシングを受け、ともに塀の中へと沈んでいってしまったのか?その一端を探るために手に取っていたんですけれど、ここには北方領土返還をめぐる生々しい虚虚実実の駆け引きをロシア側とやってきた当事者二人による対談なだけに、当時の政情から、外務省の内幕から、エリツィンをはじめとするロシア側の高官たちの人間としての部分が浮き彫りにされていて、非常に楽しく読めました。

    いかに、二人が文字通り『命をかけて』領土問題解決に走り回っていたかを知ることができたということと、これがもし成功していれば、鈴木宗男氏は日本の歴史に残る政治家になっていたであろうし、佐藤優氏は今頃、外務省でロシアを専門にするインテリジェンス・チームを率いて、あの世界で世界を相手に丁々発止のやり取りをしていたのだろうと思うとなんともやりきれないものを感じました。当時、鈴木宗男バッシングと『外務省のラスプーチン』としてマスコミに悪者扱いされた佐藤優氏を見て、僕もマスコミ―その状況を『仕組んだ』人間たちに踊らされた一人だったんだなと、書いていて気恥ずかしくなりました。

    ここに書かれてあることはかなり難しいやり取りが多いことと、『川奈会談』なる国家機密でいまだにその内容を公開できない話まで出てくるので、領土問題に関し興味のある方はぜひご自身でお読みになって結論を導き出して欲しいのですが、僕は今まで、こういうことはなんら興味もなく生きてきたんだという現実に、すこし考え込まざるを得ませんでした。こういう話は複雑な『事情』が絡むので、この辺で止します。

  • 北方領土をとおした佐藤優さん、鈴木宗男さんコンビ入門。誰が国を売るのか。

  • 北方領土について、日露外交のこれまでの軌跡を知るには良い本だと思います。ニュースや新聞から得られる表面的な事実だけでなく、日露交渉に絡み合う人びとの横顔が見えてくるようで、興味深く感じました。丁寧な注釈もあるので助かります。島国に住んでいるからなのか、領土問題に無頓着に暮らしていてはいけないなと痛感しました。

  •  怨念のこもった一冊。一矢(いっし)報いようとする二人の執念は、外務省幹部の実名を挙げ、顔写真まで入れて指弾している。北方領土を取り巻く日ロ交渉の舞台裏が描かれており、テレビや新聞の流すニュースがどれほど不毛であるかがよく理解できる。しかし残念ながら、本書の情報を読者は確認することができない。

    http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20100308/p3

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著者プロフィール

昭和二十三年北海道足寄町に生まれる。四十四年衆議院議員中川一郎秘書。四十五年拓殖大学政経学部卒業。五十二年農林水産大臣秘書官。五十五年科学技術庁秘書官。五十八年衆議院議員初当選。平成元年防衛政務次官(宇野内閣・海部内閣)。二年外務政務次官(海部内閣)。四年自民党副幹事長。六年衆議院議員 沖縄及び北方問題に関する特別委員会委員長。九年国務大臣 北海道・沖縄開発庁長官(橋本内閣)。十年内閣官房副長官(小渕内閣)。十一年自民党総務局長(小渕総裁・森総裁)。十四年衆議院議員運営委員会委員長。十七年新党大地結成。同代表就任。二十一年衆議院議員八期当選。衆議院外務委員長。二十二年在職二十五年永年在職議員表彰。二十三年新党大地・真民主結党。同代表就任。二十四年新党大地に改名。同代表就任。

「2014年 『「日本の分」について考える』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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