不幸にする親 人生を奪われる子供 (講談社+α文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062814812

作品紹介・あらすじ

過干渉、生活のすべてを指図する、言うことがコロコロ変わる、完璧でないと許さない、子供を傷つけて楽しむ…。子供を「不幸にする親」は、親が喜び、親を守り、親のためになるように子供を支配する。子供は大人になってものびのびと生きる幸福を感じられず、自らも将来「不幸にする親」になる可能性も。「支配を断つ方法」から「親を許すべきか、接触を断つべきか」まで、あなたがこれまで出せなかった「答え」へと導く本!ロングセラー『毒になる親』の解決編。

感想・レビュー・書評

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  • 毒になる親に引き続き本書を読みました。

    親と対決しなさいとありますが、
    私は、そうはしていません。
    ふだんは離れて暮らしているし、
    たまに実家に帰省しても、そう長期間ではないので、
    十分に注意して接すればお互い嫌な思いをしないで
    過ごすこともなんとかできるからです。

    私を苦しめる時の母は、
    間違っているかもしれないけれど、
    自分で気がつくことができないと母本人は何も変わらないでしょう。
    私が言って聞く母でもありませんし。
    黙っていることにしました。
    それで済む程度だというのは、まだマシな状態なのかもしれません。

    本書の主旨に沿った行動はしませんが、
    現在かなり深刻な親子関係である人には必要かもしれません。
    実行する勇気が出るかどうかは、
    親がどれだけ人生における障害となっているかの程度と
    それを自分は改善したいかという意欲の強さにも関わるので、
    その人次第です。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1136906

  • 第1章
    ・「すべてかゼロか」「白か黒か」という完全主義的な考え方は、不健康なコントロールをする親のいる家によく見られる

    第2章
    1.かまいすぎて子供を窒息させる親
    ・非常につらい子供時代を送った人が親になった時に、「子供には自分のような苦しみを味わわせたくない」と思うあまり、子供に干渉しすぎているのにそれがわからないことがある
    自分が体験した苦しみにばかり意識が向いているので、その自分が子供を苦しめていることがわからない

    ・個人的な事情はどうであっても、「子供のため」と思うことが子供を苦しめているのなら、それは子供のためにしているのではなく、自分のためにしていることになる

    2.子供の幸せをとりあげる親
    ・両親にとって不幸なことだったには違いないが、理由はなんであれ、子供がその不幸の原因を作ったのではない
    それにもかかわらず、子供は愛情を示さない親のために高い代償を払わされた

    ・子供時代に最も大切なものを親に取り上げられてしまった人が、大人になって自分に価値があるように感じられなくても不思議はない

    3.完全主義者の親
    ・「完全主義者の親」は、自分の夢と子供の望むことを区別することができない

    ・子供というのは生来ある程度乱雑なものであり、人間の営みには必ず不完全さが伴う。
    「完全主義者の親」は、そういう現実に自分を合わせることができない。

    ・彼らは自分自身にも厳しいが、子供を自分の延長のように考えているため、子供に対しても厳しく決めつけることがやめられない

    ・彼らは人から愛されるように自分も完全であろうとするが、人間である以上、完全ということはあり得ないので成功することはない。同様に、彼らは子供を完全にしようとするが、彼らが満足することは永久になく、これにも成功することはない。
    こうして、「完全主義者の親」のいる家では、落胆とフラストレーションから抜け出ることが永久にできない

    5.支離滅裂な親
    ・支離滅裂な親がそのことを自覚しないのは、自分に対する感覚がいつも揺れ動いているためです。一貫性のない言動も、意味が曖昧な言いぐさも、その時その時の彼らの意識のなかでは全く一貫している。
    そして自分に対する感覚が変わるたびに、行動も変わっていく。

    ⚫︎かまいすぎて窒息させる→密着することで孤独を紛らわせることができるかもしれないが、情緒的な崩壊の一歩手前にいる

    ⚫︎完全主義→優越性を追求することで自分の欠点を隠すことができるかもしれないが、人の粗探しがやめられず、永遠に満たされることがない

    ⚫︎カルト→自分は絶対的に正しいと宣言することで疑念や不承認を逃れようとするが、本当はそうでないことがわかってしまうのではといつも恐れている

    ⚫︎支離滅裂→しょっちゅう豹変することで人をまごつかせることができるかもしれないが、安定した安心感のない人生から逃れられない。

    ⚫︎自分の都合を優先→そうやって心の虚しさから逃れようとするが、どんなに利己的に行動したところで、心の虚しさを埋めることはできない

    ⚫︎身体的な虐待→自分で処理できない強い感情を、子供を攻撃することによって一時的に解き放とうとするが、それで噴火し続ける怒りと罪の火山が鎮まることない。


    第3章
    ・自分の人生を自分のものにするには、人生が自分のものでなかった時代をもう一度訪れなくてはならない。

    ・実在する人間の親と、心の中に住むイメージの親
    →イメージの親がどのように心に住み着き、自分の魂を乗っ取っているかをよく知ることで、子供自体になかった新しい理解とパワーがわいてくる。
    実在する親の支配力は、自分が子供だった時よりはるかに小さくなっている

    ・子供を精神的に虐待する親は、高利貸しが「お金」を使うように「罪悪感」を使う。
    高利貸しは借りての完済を望まない。全額返済されない限り、利息を永久に取り続けられるから。
    それと同じように、子供に永久に罪悪感を持たせておこうとする。罪悪感を持たなくなったら、コントロール力がなくなるから。

    第4章
    ・子供時代に痛めつけられた人の多くは、大人になってから、子供時代にされたのと同じように自分で自分を痛めつける(マーロ・トーマス)

    ・理解できたことは、癒すことができる

    ・子育てで忘れてはいけないこと
    1.子供の成長にとって唯一最大の影響を与える
    2.親と子供は違う人間
    3.親が理解できないことを感じる繊細さを持っているかもしれない

    第5章
    ・ふたつの事実を理解して両方とも否定しないことで、コントロールばかりする親の元で培われた「すべてかゼロか」「白か黒か」の二者択一的な思考法ルールを破れる

    ・親であることは、長期的なトラウマの影響条件を全て備えている
    (1.ストレスを受ける2.経験したことのない新しい状況に直面する3.過去に体験したトラウマを思い出させる状況)

    ・人間は、弱みがあるとそれと正反対の行動をして補正しようとする

    ・コントロールする親は、以下の恐れに突き動かされている
    1.欠陥人間と思われる
    2.力がないと感じる
    3.人から認められていないと感じる
    4.非難や攻撃を受けやすい弱さを感じる
    5.感情のコントロールを失う

    ・彼らは、誰でもいずれ直面する以下を、あらゆる手段を用いて認めまいとする。そして、子供じみた行動(事実の否定、癇癪、弱いものいじめ、逃げる、子供から幸せをとりあげる)をする
    1.この世には、自分より力のある人はいくらでもいるし、自分がコントロールできない状況はいくらでもある。
    2.この世には、私を必要としない人や私を問題にしない人がたくさんいる。
    3.時間が過ぎていくことや、死や病気などは、私たち謙虚にする。人間である以上避けられない。

    ・彼らにとって、状況をコントロールしてる幻想が大切

    第8章
    ・変えられることを変えられる勇気を持つ、
    変えられないことを受け入れる心の安らかさを持つ、
    変えられることと変えられないことを見分ける知恵を持つ

  • 『毒になる親』の続編的なものだということで読破。毒になる親では「対決」をしなければいけないという話だったけど、この筆者は無理に対決しないでいいと言っていた。私の中ではそれが腑に落ちた(いや、できるならした方がいいんだろうけど)
    終章での「辛い中生き延びたあなたは偉い(意訳)」という文に恥ずかしながらちょっと泣けてしまった。辛かった事実を認めた上で、それでも今日まで生きてきた自信とプライドを持って、毒親の連鎖を断ち切りたい。

  • とても参考になったし、子どもを不幸にする精神的・身体的虐待がどう言う種類があり、それぞれの種類の虐待をする親の傾向、その虐待を受けた子どもに表れる傾向がわかりやすく書かれている。
    個人的に特に参考になったのは、「不健康な心の結びつきを断ち切るには」「親との関係の持ち方を変えるには」「人生をリセットする」の3章だった。
    受けてしまった心の傷、その後遺症についてわかった、それではどうする道があるのか、それを具体的に、それぞれのメリットやデメリットも含めて書かれている。実践してみようと思える。そこに救いがある。

  • 一見、なんの問題もないように見える親子関係にも、虐待や過干渉は潜む。生まれてからずっと続くコントロール(洗脳)に自分で気づくことは困難で、このような書籍の意義は大きい。こどもを生みたくない、と思う人の何割かは"不幸にする親"に育てられている可能性を感じた。

  • 親との関係が苦しい全ての人に。本書は虐待のうち、精神的虐待に的を絞って論じた本。子供時代に精神的虐待を受けた人が、どう乗り越えていくかを助言してくれる。特筆すべきは、多数の虐待犠牲者の様々なケースについて網羅的に記されている点だ。私自身が虐待の経験者だが、周囲に共感者が少ないことを感じている。そのため、本書の中に自分に当てはまる項目が多いことに救われた。本書に先駆けて刊行されている『毒になる親』と本書『不幸にする親』の2冊でもって、今後親とどう対峙するか、考えをまとめる準備が整ったと感じる。

  • 親子関係で起こる問題が多様で、しかも問題がない家庭がないんじゃないかと思えるぐらいありふれてしまった今日この頃。
    私は関係ないと思う人でさえ、目からうろこがこぼれるに違いないと思う。
    子供に向き合う機会がある人ならば、現代の人は一度は読んでおいていいと思う一冊。

  • 機能不全家族の介護問題から十分に距離と時間を取ることができたので、身辺整理と思い、この本の処分も考えましたが、この本の最終章に「人生をリセットする9つの方法」が書かれていたので、やはり手元に置いておくことにしました。
    毒親に苦しんだ人だけではなく、答えの出ないようなことで深く悩んでいたり自分に自身が持てずに動けない人が読んでも、何らかの気づきが得られそうな内容でした。
    これからも自分のことや自分の気持ちを大事にして生きていきたいと思いました(自分が幸せでないと人にも優しくできないと思うので)。

  • フォトリーディング後、熟読。
    このジャンルの本では自己基準最高の星四つ。

    「毒になる親」の続編のような本との触れ込み。でも著者は違う。

    一貫して著者が言う事は、傷を受けたその環境を「知る」という事。観察する事が癒しの第一歩。

    「毒になる親」との違いは、「対決」を強調していない事。「対決」とは毒親に対して、自分が別の人格である事を主張し、宣言する事。その際に毒親がどう毒親なのかを指摘するというもの。この「対決」を著者は「してもしなくても良い」と述べる。また心の中だけで対決しても良いとの事。

    現代社会のゆがみを具体例を交えて、また数々の解決策を示されて理解できる良書。

    キリスト者の癒しにも参考になると思う。

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