新装版 墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062816007

作品紹介・あらすじ

「遺族の極限の悲しみ、想像を絶する修羅場」を描きつくしたと、朝日新聞等で絶賛されたベストセラー、待望の文庫化。確認までの127日間が鮮烈に描きだされる。

感想・レビュー・書評

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  • 普段は道徳心や宗教的な感情を喚起されることは少ないけど、肉親の遺体を必死に探して確認してあげたいという人たちの記述を読むと、自分にも少なからずそういった感情があることが確認できる。同様の境遇にあれば自分もそのようにふるまうだろうし、そういった意味では、何事も経験にまさるものはないんだろうなということが分かった。遺体の確認作業に従事した警察官や医療従事者の自分がやらなければ誰がやるという奉仕の精神は、とかくシニシズムに陥りがちな自分の生活や態度からは非常に新鮮でヒロイックに映った。自己犠牲の精神は一歩間違えるとあやうい発想になりかねない危険性はあるとわかってはいつつも。

  • 現代日本人として忘れてはならない、
    学ばねばならない大事件のひとつだと思う。
    事故時のやるべきことを取りまとめた
    マニュアル化ではなく、
    あれほどの大惨事の混乱の中で、
    どれだけの人間が、被害者のために、
    遺族となられた方のために「安らかなれ」
    という気持のもとに、自らの職務に忠実にして、
    人間として、できる限りの力と誠意を注ぎ込んだのか。

  • 内容紹介
    「遺族の極限の悲しみ、想像を絶する修羅場」を描きつくしたと、朝日新聞等で絶賛されたベストセラー、待望の文庫化。確認までの127日間が鮮烈に描きだされる。

  • 凄惨の一言に尽きる。もはや人間とは思えないほどの遺体を前に、遺族を想って身元確認にあたった隊員たちの極限状態が描かれている。

    航空機事故がいかにすさまじいものであるか。乗り物の安全についてもう一度深く考えねばという気持ちになった。

  • 虚脱感、虚無感。日航機墜落事故の520人の遺体を家族に帰すべく奔走した警察官、医師、その他たくさんの人たちのお話。

  • 壮絶。
    墜落したら人間の体ってバラバラになってしまうというのを嫌でも突きつけられる。
    ただでも被害者の数が多いのに、バラバラになった遺体もそれぞれ数えるから遺体の数がすごい数になる。それを可能な限り遺族のもとに帰すという大変な作業。生々しい描写に苦しくなる。

  • 日航機墜落事故の検屍現場。警察官と医師達の記録。
    何度涙が出たことか。
    悲しすぎるので違う目線で読むことにした。

    通常の事件における検死のルールを当てはめたらとんでもなく仕事がまわらない。それを現状の状況に最適化し、フォーマットを決め、進めながら見直していく。まさにPDCA。

    現場を見てないから既存ルールを適用しようとする上位組織と、感情論で訴える遺族達。その全体を俯瞰しながら統制するリーダーはすごい任務だったろうな。

    各方面の第一人者含めた役割分担。
    遺族の気持ちに寄り添う日赤の看護婦(当時の呼び方)達の活躍も大きくあったろう。

    未曾有の事態に対し、即席で作られた組織でどう対応していくか、その仕事の凄さを見た気がした。
    もちろん、従事した全員の身体も精神も削りながらの仕事だったことも深く刻まれた。

    驚いたのはキリスト教徒の外国人。最後まで一部でもいいから肉親の遺体を見つけようと執念を燃やす日本人に対し、キリスト教徒の考え方は精神と肉体は別だから、この有様では生きているまい、と確認できればそれでいいと。
    海外で飛行機事故にあったら現地の土の中で眠ること確定。絶対に落ちませんように。

  • 悲惨な現場にて責務を全うした組織の活動録。凄まじい日々が綴られている。

  • 日航機墜落事故の遺体安置所での壮絶な4ヶ月を指揮した刑事官のルポ。凄惨な遺体の数々、過酷な遺族対応、不眠不休で遺体の清拭や身元確認にあたる現場のスタッフたち。あまりに過酷な状況下で遺体の前で無意識に小躍りを始める検屍医やなかなか身元が判明しない少女の頭部を毎夜大事に抱えて話しかける刑事など、途方もない修羅場のせいで、正気を保てなくなっていく様子が鮮明に描かれていた。520人の死者のうち、肉親が面接で本人確認できたのはわずか60体という数字が飛行機事故の悲惨さを物語っている。警察、歯科医、看護師など現場のプロフェッショナル達の力があって4ヶ月の身元確認が終わったものの、従事者のその後の心の傷は計り知れない。海外と日本の遺体に対する扱い方の違いについての章は宗教観が如実に表れていて面白かった。

  • 悲惨すぎる。初めて読んだ類で難しい言葉も出てくるが、興味引かれる内容。突然の飛行機事故。被害者、遺族の無念の想いは計り知れない。
    日本と海外の思想の違いが遺体の扱いによってわかると書いてあったが、自分は完全に日本型とおもった。遺族の遺体はやっぱり持ち帰りたいだろう。
    愛する人に看取られるということは本当に幸せなんだと思う。突然の死というのは、本当に突然訪れる。読後の感覚を忘れなければ、周りの人をもっと大切にできるだろう。

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著者プロフィール

飯塚訓
1937(昭和12)年、群馬県に生まれる。日本大学法学部卒業。1960年、群馬県警察官として採用され、以後、警察本部課長、警察署長、警察学校長等を歴任。
1985(昭和60)年、高崎署刑事官在職時に、日航機墜落事故が発生、身元確認班長になる。1996年、退官。
著書に、『新装版 墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便』(講談社+α文庫)、『墜落の村 御巣鷹山日航機墜落事故をめぐる人びと』(河出書房新社)、『完全自供 殺人魔大久保清vs.捜査官』(講談社)、『墜落捜査 秘境捜索 警察官とその妻たちの事件史』(さくら舎)、『刑事病』(文藝春秋)などがある。
現在は、講演活動などを通じて、日航機事故の語り部として、命の尊さを伝えている。

「2015年 『新装版 墜落現場 遺された人たち 御巣鷹山、日航機123便の真実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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