習慣の力 The Power of Habit (講談社+α文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (480ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062816472

作品紹介・あらすじ

「消臭剤のファブリーズはなぜ突然ヒット商品になったのか」「アルコール依存症はなぜ治せるようになったのか」「大手アルミメーカーのアルコアはなぜダメ会社から突如優良企業に変貌を遂げたのか」「スターバックスのスタッフを責任感の強いリーダーに育てるプログラムとは」。本書の著者によれば、これらはみな、「習慣」をうまく活用した成果であるという。
普段、私たちは自分の意志で行動を決めていると思っているが、実はそうではない。人間の全行動の4割は「習慣」、つまり脳で考えることなく、無意識に身体を動かしているのである。したがって、この習慣のメカニズムを知ることで「良い習慣」を増やし、「悪い習慣」を減らすことができれば、人生は知らず知らずのうちに好転していくのだ。
本書は「個人の習慣」「成功する企業の習慣」「社会の習慣」の3部で構成されている。第1部で「習慣の仕組み」について分析し、「習慣」が「きっかけ」「ルーチン」「報酬」の3つの要素から成り立っている点などについて詳細に分析している。
第2部、第3部では「習慣」を、企業や組織が上手に活用した実例をとりあげる。
巻末では、個人が「習慣」を変えるための方法についても具体例を挙げながら説明している。

感想・レビュー・書評

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  • 面白すぎました

  • ファブリーズの売れた結果に納得。。

    全てはズレの修正ですね。

  • 実例をもとに習慣の影響力を説明。
    2回読んで初めて面白さがわかりました

  • 本書を読み、習慣の恐ろしさと秘めたる力を知った。次の文章が特に印象に残っている。

    「大切なのは『神』ではない、と研究者たちは気づいた。『信じること』そのものが差を生むのだ。いったん何かを信じることを覚えると、その能力が人生の他の部分にまで影響を及ぼし、自分は変われると信じ始める。」

    私は常々不思議に思っていたことがある。宗教を信仰する人は、なぜ口を揃えて「神を信じてから人生が好転した」と言うのか分からなかった。だが、上記の言葉で納得した。彼らは神を信じることで、自分自身を信じる力を無意識のうちに鍛えていたのだ。本書のおかげで新しい発見に出会えた。

  • 1つの習慣に狙いを定めることにより、他の行動もプログラムし直すことができる
    →自分にとって影響の大きい習慣は何か?

    毎日の人の行動の40%がその場の決定ではなく、習慣だと言われている

    習慣は脳を楽させるためにできる
    そのため特定のきっかけには特定の反応をするようになる

    ささやかなことで、習慣は変えられる

    シンプルでわかりやすいきっかけを用意
    具体的な報酬を設定すること

    嫌な臭いを消すためにファブリーズはかけない(新しい習慣)
    掃除の後に、さっとふりかけることはする(既存に追加)

    きっかけは、ルーチンを生み出すだけでなく報酬を期待させる

    口の中がひんやりしないことで、その歯磨き粉を使わなかったことがわかる
    →それをしないと、してないなぁーって気になるような習慣形成

  • <習慣>:無意識+有能
    →自分の習慣が何か意識しないと変えられない。
    きっかけ→ルーティン→報酬→きっかけ→・・・という構造
    <きっかけを知る方法>
    ①どの場所
    ②どの時間
    ③心理状態
    ④自分以外の人物はいた?
    ⑤直前の行動はなに?
    <報酬が何か知る方法>
    報酬をいくつか変えてみる
     例)どうしてもチョコを食べてしまう。  
    報酬は?→空腹感を満たしたい?、時間を潰したい?、リラックスしたい?
    それぞれの代替行動をとってみて「欲求」や「期待」を探る
    <習慣を変えるのに大切な力>
    ①自分は変われる、いい方向に進むと「信じる力」
    ②自分を応援してくれたり、励ましてくれる「グループ」
    ③誰かの習慣を変えるには相手を「信じきる」
    <意志力は鍛えられる>
    ①感情や行動をコントロールすること自体を習慣化
    ②意志力を弱らせる転換点に対しての対処法を事前に決めておく
    <キーストン・ハビット>
    それを習慣化することで連鎖的に好影響を生み出す習慣
    例)読書、運動、瞑想など
    →小さな勝利→自分は変われるという信念→小さな勝利の積み重ね→大きな勝利へ


    7/20追記
    コメント
    『説得とヤル気の科学』においても言及があったので、習慣に関する書籍の名著中の名著なのだろう

  • ○人生には目標が必要だ。何かそこに向かって努力するものが。
    ○そのような習慣をキーストーン・ハビットは「 要 となる習慣」という。
    ○「私たちの生活はすべて、習慣の集まりにすぎない」
    ○毎日の人の行動の、じつに 40 パーセント以上が、「その場の決定」ではなく「習慣」だという。
    ○「習慣は変えられる」ということだ。ただしそれは習慣の仕組みをきちんと知っていればという条件がつく。
    ○正しい手順を決めて習慣化すれば、ふつうなら我慢できない相手とも、うまく仕事ができることを学んだ。
    ○人は常によく考えて行動していると思っているが、実際は自分でもわかっていない衝動に動かされているのだ。
    ○一連の行動を無意識に行える慣例に変える脳のこのプロセスは、チャンキング(いくつかのものを一つのものとして記憶する)として知られている。
    ○習慣が形成されるのは、脳が常に楽をしようとするからだという。
    ○その力があまりにも強いため、脳は常識よりも何よりも、習慣に頼ってしまうのだ。  
    ○つまりすべてが一貫して、客が注文するルーチンにつながるきっかけとなっているのだ。
    ○きっかけと報酬に気づくことを覚えれば、ルーチンを変えることができる
    ○欲求こそが習慣のループの原動力なのだ。
    ○二つの基本原則にもとづいている。 1 シンプルでわかりやすいきっかけを見つけること  2 具体的な報酬を設定すること
    ○習慣を生み出すには、満たさなければならない3番目のルールがある。習慣がなぜ強力なのかがわかる。習慣は神経学的欲求を生み出すからだ。
    ○特に強く染みついた習慣は中毒に似た反応を引き起こすため、たとえ評判や仕事や家族の喪失といった強力な抑止力に直面しても、欲求が強迫的なレベルにふくれ上がり、脳を自動操縦してしまうという。
    ○習慣に打ち勝つには、どの欲求が行動に駆り立てているのかを認識する必要がある。
    ○きっかけと報酬そのものには新しい習慣を長続きさせる力はないとわかった。脳が報酬を期待するようになって初めて、つまりエンドルフィンや達成感を求めるようになって初めて、毎朝、ジョギングシューズの紐を無意識のうちに結ぶようになる。
    「目が覚めたらすぐにジムに行く」といったきっかけと、「運動後のスムージー」のような報酬を選べばいい。それから、そのスムージーや、体内を駆け巡るエンドルフィンのことを考える。
    ○欲求が習慣のループを作動させたのだ。
    ○習慣を根づかせるのは欲求だ。どうやって欲求を生み出せばいいかがわかれば、新しい習慣を根づかせるのが楽になる。
    ○悪い習慣は完全には改められない。むしろ習慣を変えるには、前と同じきっかけで、前と同じ報酬を使いつつ、新しいルーチンを組み込むべきなのだ。
    ○アルコール依存症と結びついた習慣はかなり強固だが、たとえどんなに執拗なものであっても、たいていの習慣は変えることができると、AAの教訓は教えてくれる。
    ○ニコチンへの身体的依存状態が続くのは、この化学物質が喫煙者の血流内にあるあいだだけで、最後のたばこから約100時間だ。朝食時にたばこが欲しくなるのは、身体が必要としているからではなく、かつて毎朝たばこが与えてくれた、ニコチンが体内を駆け巡る状態をあまりに懐かしく思い出すからだ。
    ○彼らが完全に変わったのは、昔ながらのきっかけで始まり、いつもの安堵感を与えてくれる、新しいルーチンを覚えてからだ。
    ○「ほとんどの人の習慣は長期間続いているので、何がそれを引き起こすのか、たいていは注意を払わなくなっています」
    ○きっかけと報酬を認識さえできれば
    ○*忘れてはならないのは、習慣を変えるプロセスを説明するのは簡単だが、それを達成するのは必ずしも簡単ではないということだ。
    ○本当に変わるためには、努力し、自分をその行為へと突き動かす欲求をみずから理解する必要がある。
    ○習慣を永遠に変えるには、それが可能だと信じる必要があるのは確実のようだ。
    ○つくり替えた習慣を身につけるには、「変われる」と信じる必要がある。
    ○利益の増加とコストカットを約束する。
    ○一つの習慣を変えれば、それが連鎖反応を起こして他の習慣も変わっていく。習慣にはそのような力があると、オニールは信じていた。
    ○オニールはずっとリストの効果を信じていた。
    ○機械的な手順とは習慣と同じ意味で、それが組織で行われているだけだ。
    ○オニールは、このような習慣は危険だと感じていた。「何も考えずに、意思決定をあるプロセスにゆだねてしまっていると思った」と。一方、「変化するのは当たり前」という雰囲気をもつ現場では、よい組織的習慣が成功を生み出している。
    ○「他の政府機関を見るたびに、失敗するか成功するかは、こうした習慣で決まると感じていた。最高の組織はルーチンの重要性を理解している。最悪の組織のトップは、それを理解しておらず、それでいて、なぜ誰も命令に従わないのか不思議に思っている」
    ○「運動するようになると、その影響が他の部分にも広がります」「そこには何か、他の習慣を楽にする何かがあります」
    ○毎朝ベッドメイキングをする人ほど、生産性が高く、より強い幸福感を感じ、買い物のとき予算をきちんと守る。
    ○キーストーン・ハビットを変える、あるいはさらに進歩させることに専念すれば、他にも幅広い変化を起こせる。「小さな勝利は、小さな強みを着実に積み重ねていくものだ」「小さな成功を収めると、また別の小さな成功を得ようとする力が発動する」
    ○リアルタイムで安全状況を管理するデータシステムをつくり、管理職がアイデアを共有することが重要だという理由からだった。
    ○「新たな価値観が埋め込まれた文化を生み出すこと」
    ○何よりも重要な要素は、「 根性」と呼ばれる性質であることがわかった。これは「あきらめずに難題に取り組み、失敗や逆境、進歩の停滞があっても、興味を失わずに努力を続ける」性質と定義されている。
    ○現在は主に病院で、職員の安全を守ることに専念するにはどうすればいいか、そして医療ミスの件数を減らすためのキーストーン・ハビットについての講演を行い、
    ○スターバックス(と、他のひとにぎりの企業)は、トラヴィスをはじめ、何千人もの人々に、学校、家庭、コミュニティが教えられなかった、生きるためのスキルを教えることに成功した。
    ○教育の中心にあるのは、きわめて重要な習慣を重視していることだ。それが「意志の力」である。
    ○学生の成績を予測するとき、IQよりも自制心を測ったほうが正確な予測ができる。そして意志力を強化し、学生の能力を伸ばすのに一番よい方法は、それを習慣にしてしまうことだ。「とても自制心が強いのに、まったく苦労しているように見えない人がときどきいますが、彼らは無意識のうちにそのような行動をとるようになっているのです」
    ○なぜ成功した人たちが浮気に走るのか(だいたい意志力が低下している夜に始まる)、なぜ腕のいい外科医がありえないようなミスをするのか(集中力を必要とする複雑な作業を終えたあとでよく起こる)。
    ○意志力を鍛えれば、その影響がすべてに及ぶのだ。
    「無理してでもジムに行ったり、宿題を始めたり、ハンバーガーではなくサラダを食べるようにすることは、自分の考え方を変えることでもあるのです」ダートマス大学で意志力の研究をしているトッド・ヘザートンは言う。「そうすると人は自分の衝動をコントロールするのがうまくなります。誘惑から気をそらす方法を学ぶのです。そしてそれが決まった行動になると、脳もあなたが目標に向かってまっしぐらに進むのを助けるのがうまくなります」
    「だから子供にピアノのレッスンを受けさせたり、スポーツに参加させたりすることは、とても大切なのです。音楽家に育てるとか、サッカーのスター選手にするためではありません」とヘザートンは言う。「一日1時間の練習や、グラウンド 15 周の走りを自分に課すことで、自分をコントロールする筋肉を鍛えるのです。
    ○就業経験があまりない労働者を頼りとする企業は、どこも同じ問題に直面する。従業員がどれほどいい仕事をしたいと思っても、彼らの多くは自制心が欠けていてうまくいかない。遅刻をする。無礼な客に怒鳴り返す。職場でのごたごたで気を取られたり、巻き込まれたりする。そして特に理由もなく辞めていく。
    ○社員教育のための新しいマニュアルを作成した。そのマニュアルには、たとえば顧客が怒鳴り始めたとか、支払いの列が長くなり過ぎたといった、特定のきっかけにどう対応すればいいかが書かれている。
    ○うちの会社のシステムの一つに、LATTEメソッドというのがある。まずお客様の声に 耳を傾ける(Listen)、彼らの不満を 認める(Acknowledge)、問題解決のために 行動する(Take action)、お客様に 感謝する(Thank)、そしてなぜその問題が起こったのかを 説明する(Explain)だ。
    ○スターバックスの従業員は、ストレスのかかる状況でどうするべきか、何十というルーチンを教えられる。従業員を注意するときには、「何」「何」「なぜ」システム、そして店が多忙なとき注文を取るには、「つながる」「見つける」「反応する」システムがある。
    ○意志力が習慣になる過程はこうだ。ある行動を事前に決め、転換点が来たらそのルーチンに従う。
    ○きっかけとなる行動によって、ルーチンが始まる。
    ○君には成功するための素質があると誰かに伝えれば、その人は本当に成功する。
    社員に責任者意識、つまりものごとを自分で動かしている、意思決定の権限を持っているという感覚を持たせるだけで、仕事につぎ込めるエネルギーと集中力が大きく増加する。ものごとを自分で動かしているという感覚を与えることで、社員はより大きな自制心を発揮できるようになったのだ。
    ○危険なパターンが生まれるのは病院だけではない。組織内の有害な習慣は、数百の産業、数千の企業で見受けられる。それはほぼ間違いなく無思慮の産物であり、職場の文化について考えることを避け、なんの手引きをすることもなく、文化が勝手に発展するにまかせたリーダーから生まれているのだ。
    ○大半の企業が慎重な意思決定にもとづいて合理的な選択をしているように見えるかもしれないが、実際はそうではない。企業は長年続いてきた組織内習慣によって導かれている。数千人の従業員それぞれの決定から生まれたパターンだ。誰かが熟慮の末に単独で決断をくだしたわけではない。むしろ何十もの習慣やプロセスや行動が集まった結果、赤が避けられない選択のように思えてきたのだ。
    ○栄光を手にするため、部署同士が人材を取り合い、妨害し合う。企業は家族ではない。内戦中の戦場なのだ。しかし、このように内戦が起こりかねない状況であるにもかかわらず、大半の企業は来る年も来る年も、比較的穏やかにやっていく。企業にはルーチン、つまり習慣があって、それが停戦状態を生み出すおかげで、社員はひとまず対抗意識を保留し、その日の仕事をこなすことができるのだ。
    ○成功と失敗を分けるのは、デザイナーのルーチンだ。
    ○停戦状態を保つということはかなり重要なため、新しいファッションレーベルを成功させるのは、ほぼ同業他社をよい関係で辞めた人々だ。
    成功する組織をつくることは、権力のバランスをとればいいという問題だけではない。組織を機能させるには、リーダーが習慣を生み出す必要がある。バランスのとれた現実の平和をつくり上げながら──逆説的だが── 誰が責任をとるのかを明らかにする必要があるのだ。
    ○言い換えれば、こういったルーチンのどれ一つとして根拠のないものはない。すべて理由があってつくられたものだ。
    ○ときとして一つの事項(それは一部署かもしれないし、一個人かもしれないし、一つの目的かもしれない)を他のすべてより優先すべき場合がある。
    ○このリーダーたちは全員、「危機から生まれた可能性」を逃さなかった。すぐれたリーダーは危機を好機ととらえ、組織内の習慣をつくり替える。
    ○組織内の習慣が有害な停戦状態をつくり出した企業は、同じような転換が可能である。習慣が機能しなくなった企業は、ただ単にリーダーが命じたからといって、方向転換はできない。
    ○利益を増やすには、個々の買い物客の習慣を知り、一人一人と商売するつもりで、その顧客独自の好みに訴える売り込みをする必要がある。このようなことが認識され始めた理由の一部は、買い物の決定ほとんどすべてに、習慣が強い影響を与えているとわかってきた点にある。
    ○人々が買い物の習慣を変えるのは、「人生における大きなイベントを経験するとき」なのだ。大きな出来事があると、買い物のパターンが変化しても本人は気づかないし、気にも留めないことが多い。
    ○マイヤーがどうしても突き止めたかった謎の一つは「ある特定の曲が流れているときは、リスナーが決してチャンネルを替えないのはなぜか」という点だった。こうした曲をDJたちは「スティッキー(ねばる)」と呼ぶ。
    ○人が なじみのあるものを好むことは、神経学的に証明されている。
    ○私たちはある行動を習慣にすることで、決断を次から次へと迫られることなく暮らしていける。
    ○重要な音と無視しても差し支えない音を無意識のうちに分けるよう、私たちの耳は習慣づけられている。  
    ○遠くない将来、企業が私たち自身よりもよく私たちのことを知り、習慣を予測する日が来るかもしれないと予測解析の専門家は言う。
    ○新しい習慣──それが食べ物であろうと、エアロバイクでのエクササイズであろうと──を売り込むには、新規のものを、よく知っているものに見せる方法を理解しなくてはならないのだ。
    1 友人とのあいだの社会習慣、そして親しい知り合いとの強い結びつきから運動が始まる。2 その運動がコミュニティの習慣となり、隣人や仲間たちをまとめる弱い結びつきの力によって拡大していく  3 リーダーが参加者に対し、新たなアイデンティティや当事者意識を感じられるような、新しい習慣を与える
    ○一般的に、たいていの人は自分に似た人間を友人に持つと言われる。
    ○実際、仕事を得るには、弱くつながっている人のほうが、 強いつながりの友人よりも重要な役割を果たすケースが多かった。これは通常ではなかなか知ることができない新しい社会ネットワークへのアクセスが可能になるからだ。
    ○隣人やコミュニティが自分たちに課している一種の義務感を利用する方法である。
    ピア・プレッシャー──集団の期待に人々を従わせようとする社会習慣──については、説明が難しい。
    ○学校ではピア・プレッシャーは危険なものだ。しかし大人の生活の中では、ピア・プレッシャーによってビジネスは進み、コミュニティが成り立つ。
    ○これが運動を推し進める第3の段階だ。ある運動を、コミュニティを超えて成長させるためには、運動自体が自力で進まなければならない。そしてそれを実現する確実な方法は、運動の主体となる人々に自らどこへ行くべきかを見つけ出す、新しい習慣を与えることなのだ。
    ○社会運動は誰もがいっせいに同じ方向を向くから起こるわけではない。彼らは社会のパターンに頼っているのだ。それは友人同士の習慣から始まり、コミュニティの習慣へと成長し、参加者の当事者意識を変化させる新しい習慣によって維持される。
    ○会社はプレーヤーごとに予測生涯価値を割り出し、客がどのくらいの頻度でカジノに来てどの程度の額を使うかを予測するソフトウェアを使う。
    ○ただし習慣を変えたいなら、まず変えることを決意しなければならない。習慣のルーチンを起こすきっかけと、その結果としての報酬を特定するという難しい作業を行い、代わりになるものを見つける必要がある。
    ○習慣を立て直せることがわかれば、習慣の力を利用しやすくなる。あとは実践するだけだ。 もしもあなたが変われると信じるなら──「変われると信じる」のを習慣にすれば──変化は現実のものになる。それが習慣の力だ。つまり習慣とは、「自分で選んだものである」と気づくことだ。選択した結果が、やがて反射的に起こる習慣になると、それが現実になるだけでなく、必然と思えるようになる。
    ○〈変化の枠組み(フレームワーク)〉  1 ルーチンを特定する  2 報酬を変えてみる  3 きっかけを見つける  4 計画を立てる
    ○ステップ1  ルーチンを特定する
    ○ステップ2  報酬を変えてみる
    欲求というのはだいたいそういうものだ。あとで考えれば当たり前のことなのに、その瞬間は見えにくい。
    毎日デスクに戻ったあとで、最初に頭に浮かんだ三つのことを紙に書き留めるのだ。
    三つのことを書き留めるのが重要な理由は──たとえ意味のない言葉であっても──二つある。  第一に、あなたが考えていることや感じていることに気づく。第二に、その瞬間だけ意識を集中するようになる。
    ○ステップ3  きっかけを見つける
    習慣を始めさせるきっかけはほぼすべて、次の五つのカテゴリーのどれかにあてはまることが実験で明らかにされている。 ・場所・時間・心理状態・自分以外の人物・直前の行動
    ○ステップ4  計画を立てる

  • 【習慣のループ】
    きっかけ→ルーチン→報酬が結びつき、その後、欲求が生まれてループを作動させる。

    習慣を変えるには、自分にその行為をさせている欲求を分析することが重要なのだ。
    また、最後は信じる力の重要性がキーになってくるのだと感じた。あらゆるストレスや困難にも対処するためにはやり切れることを信じるのだ。信じ切ることができないと過去の有害な習慣に流されるのが人間。

    論点とは関係ないが、1973年までホモセクシュアリティが精神疾患とされていたことには驚いた。

    物事に挑戦するうえで、やめたいという気持ちが一番強くなる瞬間「転換点」を中心に計画を立てることの重要性

    営業をするうえで転換点・有事が起こった時の対処法を事前に計画することは重要になりそう

    ターゲット社のマーケティングが人々の習慣を探って計画されていることが興味深かった。まさにデータ社会だ。

  •  人間の行動を決めるのが習慣であると述べた本である。本書でKeystone habitと名付けられた習慣は、人間の思考や行動を根本から操る。本書には脳に損傷をもつ人物でさえも習慣的行動だけはこなしてしまうという例が挙げられている。
     習慣は都合のいい結果も悲惨な結果も生み出す。繰り返し同じことをトレーニングすれば、迷わずに勝利できるスポーツの例もある。一方で悪習にはまりカジノで損をしても、同じことを繰り返してしまう事例もある。
     こうした習慣は自己分析し、それが生じるメカニズムを理解すれば、ほかの習慣に置き換えることができるとも述べられている。そのための方法も示されているのは興味深い。
     この習慣を学習に当てはめるならば教育の分野で何をすればよいのかというヒントになる。

  • "この本を読むと人間は習慣で生きていることがよくわかる。
    驚くべきパワフルで、この本を読んだことのある人と、読んでいない人ではのちの人生に大きな差が生まれるであろう本。

    自分で治したい癖や悪習慣があれば、その行為を行う
    「きっかけ」をまず見つけること!
    「ルーチン」(癖そのもの)を変えてみる
    「報酬」

    このサイクルを理解し、客観的に眺めることができれば、健康的で生き生きと生活できる習慣を身につけることが可能になる。
    様々な依存症(ギャンブル、酒など)からも立ち直れる。

    今年一番の本"

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著者プロフィール

「ニューヨーク・タイムズ」紙記者。1974年生まれ。イェール大学、ハーバード大学ビジネススクール卒業。ビジネス関連の記事を中心に執筆。これまでジェラルド・ローブ賞、ジョージ・ポーク賞ほか、ジャーナリズム関係の受賞歴多数。講演活動も積極的に行っている。著書に『習慣の力 The Power of Habit』(渡会圭子訳、講談社)。

「2017年 『あなたの生産性を上げる8つのアイディア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

チャールズ・デュヒッグの作品

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