サステナビリティ経営 (講談社BIZ)

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  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062820349

作品紹介・あらすじ

「3世代が100年住める木造の家」をつくる住宅メーカー、社員を幸せにする「年輪経営」で永続をめざす食品会社、土木事業から自然の再生に転じて復活した建設会社-環境とともに未来を拓く時代がやってきた。

感想・レビュー・書評

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  • 持続可能性という考え方は、国連のブルントラント委員会が1987年に出した報告書「Our Common Future」の中で、持続可能な開発という概念が提案され、そこで使われた定義が定着して今日に至っている。そこでの持続可能な開発の定義は「将来世代のニーズを満たす能力を損なうことなく現代世代のニーズを満たすこと」とされている。


    フロー重視社会からストック重視社会へ。
    今まではフローとしてのGDPを伸ばすことに傾注していた。しかしGDPを伸ばすには、大量生産→大量消費(大量廃棄)が適しており、持続不可能な社会へと拍車をかけることになってしまう。また、モノの豊かさよりも心の豊かさを求める人が増えているように、現代の成熟社会においては、多くの人が物的な満足の閾値をオーバーしている。そこで、これからは資源生産性を高めることで、ストックの有効活用、脱物質化を図り、持続可能な社会の実現を図るべき。

    具体的には、
    ・使い捨て製品→長寿命製品
    ・私有→レンタル
    ・非デジタル財→デジタル財
    ・大量生産→オンデマンド生産 など

  • 持続可能性とは(第2章)
    再生可能資源の利用を再生量以内にする
    枯渇性資源を再生可能資源への転換に導く
    汚染物質の排出を自然の浄化能力以下にする。人工物質を処理・リサイクルする
    将来世代の利益に配慮する

    既存経済学の枠組み(第3章)
    貧困問題:経済成長によって解決
    不平等:税制によって是正
    不況:財政(公共投資、減税)、金融(金利引下げ、通貨供給量増加)によって脱却
    持続可能性:環境破壊や資源枯渇などの問題が新たに発生

    既存経済学の問題点
    有限性やストックの概念が希薄。経済成長は永遠という前提に立つ。
    経済合理性による行動を前提としている:弱者への同情、社会的正義の使命感もある。
    スケールによるメリット:環境と資源の制約に直面する。
    グローバリゼーション:戦争や異常気象などの不測の事態に対するリスクがある。

    環境経済学の関心分野
    ストックの取扱い。供給と吸収のバランス。
    科学的不確実性の考慮(温暖化とCO2の因果関係)
    環境問題を経済に取り込む(環境税、排出権取引)
    世代間の公平性
    経済合理性に対する評価(グリーンコンシューマーの出現)

    GDPの問題点
    GPI(Gunuine Progress Indicator):GDPから環境破壊や犯罪などの費用を引き、ボランティアや家事労働などを加算。

    カタログハウス(第6章)
    大量生産・大量消費→共同体的小売
    商品憲法、3年間無料保証、10年以上の部品保有
    修理担当部署:もったいない課
    中古品販売:温故知品(中野)

    グローバルコンパクト:企業行動10原則(第8章)
    人権、労働、環境、腐敗防止に関する10原則
    97カ国の3124社が参加(2006年5月現在)。国別に多い順:フランス、スペイン、アルゼンチン、メキシコ、ブラジル、アメリカ、イギリス、ドイツ、日本。日本企業は44社

    エコファンドの銘柄選択(第9章)
    環境方針と管理体制(環境方針、ISO14001、環境担当役員、海外での指針)
    環境対策と活動(環境改善投資、環境会計、環境報告書、グリーン購入・調達)
    製造・生産(エネルギー・資源消費量、廃棄物排出量、化学物質)
    製品(環境アセスメント、開発時の配慮)
    社会貢献活動(顕彰、実績)

    バックキャスティング法
    フォアキャスティング:現在を基点として将来を予測。過去の趨勢に引きずられる。
    バックキャスティング:将来の望ましい姿に到達するために、何をどのように実施するかを考える。

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著者プロフィール

経済・環境ジャーナリスト、千葉商科大学名誉教授

1964年日本経済新聞社入社。ロンドン支局長、日経ビジネス編集長、論絶副主幹などを経て千葉商科大学政策情報学部教授。2010年から名誉教授。専門は日本経済論、環境経済学。主な著書に「ゼミナール日本経済入門」(編著、日本経済新聞社)、「新・日本経済入門」(同)、「環境が大学を元気にする」(海象社)、「サステナビリティ経営」(講談社)、「環境再生と日本経済」(岩波新書)、「日本経済復活、最後のチャンス」(朝日新書)、「日本経済グリーン国富論」(東洋経済)など。

「2021年 『改訂版 石橋をたたいて渡るネット株投資術 コロナ下でもしっかり利益』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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