監査難民 (講談社BIZ)

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著者 : 種村大基
  • 講談社 (2007年9月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062820660

監査難民 (講談社BIZ)の感想・レビュー・書評

  • カネボウと日興コーディアルの粉飾をきっかけに解散に追い込まれた中央青山監査法人の最後までのエピソードを綴りつつ、日本経済における監査法人が今後、会社が求めても受けてくれるところがいなくなるんじゃないかという危機感を持ってまとめられた一冊。結局多数の監査法人によるダンピング競争で今や公認会計士のリストラまで行われている時代な現在ですが、共同通信の記者さんだけ会ってけっこうきちんと調べて書いているので書籍としてはクオリティ高いですね。

  • カネボウ事件に端を発した、中央青山監査法人の解体までを追った作品。

    当時の幹部たち、それを取り巻く企業、金融庁、他の監査法人など、
    それぞれの思惑があらゆる方向に錯綜していたことがわかる。
    行間から当時の臨場感が伝わってきて、一気に読んでしまった。

    会計士は大変だ。

  • 2007年7月31日に解散した、みすず監査法人(旧中央青山監査法人)の解散に至る経緯がまとめられている。US ではエンロンの不正会計に関与した問題で2002年8月にアーサーアンダーセンが解散したのと同様に、杜撰な監査、不正会計への関与は監査法人を崩壊させるという事実を突き付け、日本での監査の厳格化への、痛みを伴うきっかけになった。
    興味を引かれたのは、解散に至るまでの顛末。
    カネボウの粉飾決算発覚(2004年)では、当初はカネボウ側にだまされたという見解だったが、結局担当会計士が逮捕され、不正への関与を認める。逮捕者が出た後も、クライアント企業への影響が大きすぎるので営業停止などの厳罰は無いだろうと思い込むが、結局は2ヶ月間の営業停止処分となり、一部例外を除いて多くのクライアントに影響が出る。また進めていた監査体制の改善も、逮捕者が出たことで内部分裂し、提携先であるプライスウォーターハウスからの指示で別会社(あらた監査法人)の設立をされてしまうなど、状況は泥沼化していく。
    最終的には、追い討ちをかける形で2006年に日興コーディアルグループの利益水増しが発覚し、これが組織的だったことから、見逃したみすず監査法人への批判が高まり、解散を決断する。この時も、当初の日興側の説明であった、「一社員が書類を偽造した」という説明でこの問題が解決すると思い込んでいたようだ。
    自分たちの常識や、こうなるに違いないという思い込みに基づいて行動した結果が、全て裏目に出てしまい、想定しうる中での最悪の形で事態を収拾せざるを得なくなってしまう。思い込みの恐ろしさを感じさせられる内容だ。
    一方、こんな時、それでもまだなんとかなると悪あがきをしがちだ。しかしみすずは、もし再生できたとしても企業の評判ががた落ちの状態では、規模や存在感の面で元通りになることは無いと現実的に分析した上で、下手に再生を目指すのでなく、法人を解散してクライアントと社員を他の大手監査法人に移管するという選択をした。これは見事な損切りだったと思う。

  • 監査難民って、監査を受けることができない企業のことなのね。監査法人が潰れていくあてのない会計士かと思ったら。

    企業から金をもらって企業の不正を暴くって、そもそも構造的に無理がある気が。というか監査って仕事の何が面白いのかよくわからん。資本市場を健全に回していくための役割としてこういうのが必要なのはわかるけど。公的機関としてやるべきことのような気も。

  • 監査の仕事の重みについて、過去の事件と共に学ぶことが出来た。
    会計士の役割や重要性に気づかせてくれる一冊。

  • ゼミの先生のバイトの関係で、読書。

    中央青山監査法人による粉飾決算の容認、監査法人の解体、及び解体に伴い、監査難民となる企業の発生などを、監査の歴史をたどりながら事実ベースで記述した本。

    2000~2006年くらいの監査をめぐる流れをばくっと知るためには適切だと思われる。
    個人的にためになったのは、そうした一連の流れに関する知識と、監査の意義を認識することが出来た点。

    おすすめ

  • おもしろい。読み出したらとまらなくて一気に読んでしまいました。

    中央青山監査法人がカネボウ事件、日興コーディアル事件を経て解散に至るまでを追ったノンフィクションですが、その内幕の描写がまるで小説みたい。法人内での利害の対立、金融庁の意図、PwCの思惑、マスコミの報道、他の監査法人の対応などがそれぞれ複雑に絡み合って、業務停止から解散へという最悪の状況になだれ込んでいくさまが手にとるようにわかります。当事者の中央青山も、処分を下した金融庁も、まさか監査制度黎明期からの名門が消滅するとは思ってもみなかったことでしょう。というより、誰一人こういう結果を予想してなかったし望んでもいなかったんじゃないかなあ。それぞれがそれぞれの思惑で行動した結果がこれだったと。

    それにしても、よくここまで詳細に調べ上げたものです。07年7月の解散からわずか2ヶ月で出版されていますが、本当に詳しく描かれています。その詳細な描きこみが、ただ事実を追っただけでない生々しさを与えています。タイトルと内容がずれてたり著者の会計知識がちょっと怪しかったりといったところはありますが、それを差し引いても内容の詳しさとおもしろさどちらもとてもレベルの高い本でした。

  • [ 内容 ]
    2007年7月、日本監査界の巨人が姿を消した。
    みすず監査法人―かつて中央青山監査法人として、四大監査法人の一角を占めてきた名門である。
    カネボウ粉飾決算事件で所属会計士が逮捕され、監査への「疑いの眼」を生じさせた“張本人”が自主解散へと追い込まれる過程には、外資の策略、獅子身中の虫による内乱、金融庁との壮絶な攻防など、凄まじい闘いが存在した。
    名門監査法人はなぜ、自ら組織を解体せざるを得なかったのか。
    その死が開いた“パンドラの箱”には何が入っているのか。
    JALに代表される、“厳しい監査”は今後、企業にどのような影響を与えていくのか―。

    [ 目次 ]
    プロローグ 覚醒
    第1章 予兆
    第2章 強制捜査
    第3章 分裂
    第4章 vs.金融庁
    第5章 辞任
    第6章 包囲網
    第7章 分岐点
    第8章 解体
    エピローグ 遺訓

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

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    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
    ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
    共感度(空振り三振・一部・参った!)
    読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 今日(特に21世紀以降)の監査業界の実態を幾分か把握。業界の特異性は実に滑稽で小説的であるが、それはまさに「事実は小説より奇なり」のようなもの。

  • 『プロローグ 覚醒』
    ・JALの2007年度決算を下方修正.会計監査を担当している新日本監査法人に,「繰り延べ税金資産」の大半を否認された.その結果,JALと取引関係にある各行は,同社への監視を強化し始めた.
    ・新日本監査法人には,「JAL経営陣が出してくる財務情報を鵜呑みにして決算を承認した結果,2007年度決算が赤字になれば『監査の妥当性』を問われるリスクがある」とのプレッシャーがあった.
    ・企業が情報開示に消極的であるという情報は,会計士業界をあっという間に駆け巡る.「札付き」と目された問題企業は,監査の引き受け手が存在しない「監査難民」となる.
    ・企業が株式を公開すれば,証券取引所は新規上場時やその後も定期的に手数料を受け取ることができる.また,主幹事として上場を手伝った証券会社には,増資や社債発行など,上場後の資金調達に絡んで手数料を稼ぐチャンスがある.また,監査法人にとって上場会社が支払う監査報酬は大きな収入源だ.三者のこの蜜月関係に,終焉をもたらそうとしている.

    『第1章 予兆』
    ・中央青山の奥山章雄代表社員は,次期理事長就任を要請された.当時,中央青山は,ヤオハンジャパン,山一證券,足利銀行,カネボウなど,「ずさんな監査で粉飾を見逃していた」.
    ・「スルー取引」.決算期の異なる複数の企業が示し合わせ,架空のソフトウェアなどを順々に発注することで,見せ掛けの売上高を計上する仕組みで,ベンチャー企業がよく使う.
    ・監査法人は,巨大企業の複雑化した組織や会計処理に対応するため,巨大化,その結果寡占化が進んだ.日本はあずさ,トーマツ,中央青山,新日本の四大法人体制ができた.
    ・他の監査法人と監査契約のシェア争いを演じていた最中だけに,現場には「営業中心」の査定と移った可能性は否定できなかった.また,合併前の出身事務所の会計士が集まってできる「寄り合い所帯」に,ある特定の人たちによる「クライアントに甘い体質」が,連綿として引き継がれている.

    『第2章 強制捜査』
    『第3章 分裂』
    『第4章 金融庁』
    『第5章 辞任』
    『第6章 包囲網』
    ・カネボウやライブドアの事件以降,公認会計士個人のみならず,所属する監査法人の刑事責任を問う規定を証券取引法に取り込むことを請求する金融審議会が再開された.
    ・アーサー・アンダーセンは,米司法当局が刑事訴求の可能性に言及しただけで,クライアントと会計士の大量流出に見舞われ,あっという間に崩壊したのだ.
    『第7章 分岐点』
    ・あらたは会計士を引き抜くことにより,トヨタやソニーといった中央青山のクライアントを露骨に引き抜き始めた.その割合は36%にあたる300社強に膨らみ,片山執行部は当初,「上場企業で契約解除しそうなのは全体の10~15%」と踏んでいたため,重苦しい雰囲気に包まれた.また,会計士の流出に頭を痛めていた.
    『第8章 解体』
    ・大手監査法人も,人手不足でクライアントをどんどん引き受ける余裕はない.会計士とセットでなければ受け入れられないとのところもある.「監査難民」の発生が,現実味を帯びてきた.

    ----------以下感想----------
    身近な存在ではなかった公認会計士,監査法人について知ることができた.

    公正であるべき監査も企業の思惑が入る余地がある.
    公認会計士も組織の理論に流される.

  • 中央青山が解散するまでの経緯を書いた本。
    監査が受ける人もやる人も読んで見ることを勧めたい。

    粉飾決算など大きなニュースになる理由がよく分かる。
    内部監査に従事しているので非常に興味深くかつ面白く読んだ。

  • みすず監査法人(旧中央青山監査法人)が解体に至るまでのドキュメンタリー。

    JAL(日本航空)、カネボウ、日興コーディアル証券
    などの具体的な決算内容も取り上げられており、いい勉強になった。

    またKPMG、PWC、DTTや
    金融庁、新日本、トーマツ、あずさ、あらたなどなど
    監査法人等の動向も紹介されており、参考になった。


    【2008年10月12日読了】

  • 監査法人、公認会計士に縁遠い人でも仕組みや世の中の流れが分かる本。
    事実に基づいた内容とのことなので、真実に近いのでしょう。

    改めて、新聞報道の内容にいかに独自のバイアスがかかっているかがよく分かります。
    得てして、この手のドキュメント本を読むと、感情移入してしまい
    「本当に世間で叩かれているほど悪なのか?」と疑念が生じますが、
    やはり今回も奥山代表理事の組織改革に向けての熱い想いが道半ばにして頓挫せざるを得ない状況への悔しさがにじみ出ている。

    また、外堀を一手ずつ詰められていくその緊迫感と、その裏で同時並行的に秘密裏に進んでいた「あらた監査法人」創設への画策。
    やはり日本人は、歴史が示すとおり、謀反・反逆といった人間ドラマが好きですよね。
    いっきにスピーディーに読み進めたほうがいいでしょう

    【監査難民】
    単行本: 271ページ
    出版社: 講談社 (2007/9/26)
    ISBN-10: 4062820668
    ISBN-13: 978-4062820660
    発売日: 2007/9/26
    種村 大基 (著)

  • ドラマの影響というわけでもないが、「経営財務」だのといったその手の雑誌で、たびたびお目にかかる著名人が実名で登場するわけで、また、何かしら否応なしにその影響をうけている経理マンにとっては、やはりこれでは会計に携わるものもバカバカしくなって減っていくのではないか という考えを強く持つ次第。

  • 中央青山→みすずの解散について、書かれた本。

    非常に勉強になった。
    どのような調査手法をとったかは知らないが、ものすごく生生しい。
    必ずしも網羅的かつ正確であるとはいえないものの、解散に至るまでの経緯がよくわかった。

    共感できる部分も少なくなかったです。

  • 監査ミス、粉飾の見逃し、あるいは積極的な粉飾に対する協力…監査法人が揺れています。

  • 題名はどうかと(本旨をあらわしてはいない気がする)
    中央青山監査法人が終わっていくまでのノンフィクション

  • リスク管理社会では、値しない組織・個人は市場・社会から退場させられる。果たして社会は進歩しているのであろうか。

  • 中央青山監査法人が解体され、みすず監査法人になり、結局みすずも解散になる経緯をかなり詳しく書いてあります。金融庁と監査法人との対立等、よく調べたと思います。当時私が担当していた一法人の任意監査を、中央青山に依頼していたので、仕事に影響が出たこともあり、経緯を知りたく興味深く読みました。もう会計士資格をとっても、会計監査業務をするより、投資銀行業務や企業内会計士のほうが、今後は楽だし仕事が楽しい気がします。若い会計士がサラリーマンのように、監査法人から言われてきた意見をそのまま繰り返すだけで、自分から意見を出さず、ミーティングをめちゃくちゃにしたことを経験してから、特にそう思います。

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監査難民 (講談社BIZ)の作品紹介

2007年7月、日本監査界の巨人が姿を消した。みすず監査法人-かつて中央青山監査法人として、四大監査法人の一角を占めてきた名門である。カネボウ粉飾決算事件で所属会計士が逮捕され、監査への「疑いの眼」を生じさせた"張本人"が自主解散へと追い込まれる過程には、外資の策略、獅子身中の虫による内乱、金融庁との壮絶な攻防など、凄まじい闘いが存在した。名門監査法人はなぜ、自ら組織を解体せざるを得なかったのか。その死が開いた"パンドラの箱"には何が入っているのか。JALに代表される、"厳しい監査"は今後、企業にどのような影響を与えていくのか-。

監査難民 (講談社BIZ)はこんな本です

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