岬のマヨイガ (文学の扉)

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  • 講談社 (2015年9月11日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062832359

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岬のマヨイガ (文学の扉)の感想・レビュー・書評

  • 『ビブリオバトルへ、ようこそ!』で紹介されていたのでまんまと読んでみたのだけど、いやあ、おもしろかった。
    介護施設に入所する予定だったキワさん、夫の暴力から逃げてきたゆりえ、両親を亡くして親戚に引き取ってもらうところだった萌花。大きな津波が襲ったその日、遠野の近く、狐埼で偶然居合わせた三人は家族として生活を送り始める。
    認知症だと言いながらなにもかもわかっているようなおばあちゃんは、三人が暮らす古家を整えたり、昔話を語ったり、とても頼れるのだけれど、なにやらふしぎな友達がたくさんいて…。
    「津波のあの日」から始まる物語だったので、読みだしたときは少しどきりとしたけれど、そこから一つの家族のかたちが出来上がっていくのがとてもすてきだと思った。
    おばあちゃんはどこか謎めいているけれど、このまま穏やかに進んでいくのかと思いきや、まさか妖怪たちが登場するとは!
    海ヘビの必死さはどこか胸に痛かった。
    あと伏線回収が大好きなので、コミセンに取りに行ったシーンで「ああ、やっぱりここはそうですよね!」とテンションが高まってぐっときた。
    最後、私も「行ってしまう」のかと思ったけれど、この終わり方すきだ。

  • 『つづきの図書館』もそうだったけど、現実の世界で困難を抱えている人物が、非現実の世界の住人とかかわることで成長し、自らを取り戻す物語。
    こちらは、大震災の東北から始まるので、より書くのにも勇気が必要だっただろう。
    DV夫から逃げてきた女性と、両親を亡くし、場面緘黙症になった少女と、謎の老女が被災し、古民家で擬似家族となる。そこに遠野物語のふったちやカッパ、座敷わらしが出てくるところが柏葉幸子らしい。
    震災で、封印されていた魔物がよみがえり、それを皆が力を合わせて退治する。
    現実の設定にちょっと甘さがあるような気はするが、子ども向けだからこれくらいがちょうどいいのかも。
    被災した人が読んでも、楽しめて、ふるさとの良さを再確認できるのではないかと思う。お地蔵さんが心配して飛んで来るとか、あって欲しいよね。

  • 柏葉幸子さんのデビュー40周年記念作品で、第54回野間児童文芸賞受賞作。
    柏葉さんは岩手県の生まれ、絵を描かれたさいとうゆきこさんは青森県生まれで岩手県在住とのこと。
    東日本大震災をモチーフにした作品ということで少し緊張して読み始めましたが、すぐに引きこまれました。

    辛い境遇だったゆりえさんと萌花ちゃんは震災をきっかけに出会います。
    二人を救ってくれた山名キワさんがとても素敵なおばあちゃんで独特の存在感がありました。

    ゆりえさんは結さんとして、萌花ちゃんはひよりちゃんとしてキワさんと共同生活を始めます。
    他人同士なのにお互い思い合い温かい交流が生まれていく様子がとてもよかったです。

    河童や狛犬、ふったち、座敷童などが登場し、不思議な出来事がたくさん起こりますが、日常と地続きな感じがしたのは東北や遠野の温かい言葉だったり、土地柄なのかもしれません。

    マヨイガって本当にあるのかもしれないと思ってしまいました。
    目には見えないものたちが私達を見守ってくれていると思うと心強くなります。

    これからも三人が支え合って笑顔で暮らしていけますように。

    この作品から元気をもらえました。

  • 震災のとき偶然に一緒に居合わせ、そのまま一緒に暮らすことになったおばあさんと女の人と女の子。それぞれ事情を抱えた3人が、震災後の狐崎で一緒に生きていく。

    震災という現実に起こった災害に、遠野の不思議な物語がうまく組み合わされ、暗くも重くもない素敵なお話になっている。前半は、ひよりたち3人の生活に焦点があてられ、後半は遠野の昔話や不思議なひとたちが中心になって、どんどん物語の世界にひきこまれていく。おもしろかった。実際の出来事と物語の世界がとてもきれいに溶け合っていると思った。

  • 震災を絡めたお話です。作者の方が、頼まれて書いたって聞きましたが、どうなのでしょう。
    直接体験された方は、いろいろ思うところもあるでしょうが、わたしは好きなお話でした。
    辛い経験も背負っていかなくてはならないけれど、それを過去として、未来をどう生きていくか。選ぶのは自分自身以外にはいないんだなと。
    おばあちゃんが素敵でした。

  •  遠野に近い海沿いの町、狐崎。夫のDVから逃れてきた女性、伯父の家にひきとられるはずだった少女。地震、そして津波・・・。避難していた体育館で、2人はキワさんというおばあさんと出会い、3人で家族として暮らすことになる。3人が暮らすことになる家は、遠野の昔話に出てくる「マヨイガ」のような家で・・・。

  • 冒頭のシーンはあの震災を思い起こさせるので、まだその話が難しい人はもう少したってから読む方が良いかも。
    血縁関係もない偶然居合わせたおばあちゃんと女性と女の子が共同生活を初めて一つの家族になっていく物語。

    老人介護施設に入居する為に東野から移動してきたおばあちゃん。
    DV夫から逃げ出した女性。
    両親を亡くし声が出なくなった状態で歓迎されていない親戚の所に預けられる為にやって来た女の子。
    同じ日に着いた土地で大震災に見舞われ・・・ってかなり重い始まり方。

    でも、このおばあちゃんはとても不思議なおばあちゃんで、
    思いもよらない知り合いが。
    成り行き上名前を偽りそんなおばあちゃんと一緒に暮らし始める女性と女の子。おばあちゃんのおかげで様々な不思議な体験をし、家族として絆を深めていきます。
    地元の人達にも受け入れられ、おばちゃんの不思議な知り合い達とも仲良くなり、ある困難に立ち向かいます。

    悲しい事もあるけどほっこりする体験も沢山。
    こんな不思議なおうちに住めたら面白そう。 

  • よかった!けど大人向けかな。

  • ある日、津波にあい、避難所にやって来た萌花とゆりえ。
    命は助かったが、身元を聞かれて困惑する二人。そこへ救いの手をさしのべたのは、一人のおばあさん、山名キワだった。
    そこから、女三人の不思議な生活が始まる。

    私はこの本を読んで、津波で起きる奇跡はあるんだ!と思った。津波は、こわいイメージだけど、こんな共同生活が生まれるとは、思いもしなかったからだ。

    ぜひ、みなさんも読んでほしい。

  • 大好きな柏葉幸子さんの児童書。女流児童書作家、水木しげる版というか、お話の中に、よく、昔からの不思議なものが出てきます。今回は震災後の岩手の話で、最初読み終えられるか心配だったけれど、わたしにとっては、良いリハビリになりました。
    最近は、主人公がおばさんだったりすることも多くて、やはり、読者も一緒に年齢を重ねてるのかなぁと。

  • ふしぎだけれど、あったかい。行ってみたくなるよ。

  • 東日本大震災の日、DVの夫から逃げてきたゆりえは、知らない伯父の家に預けられに行く萌花と出会い、一緒に避難します。避難所で身元確認をされたとき、とっさに介護施設入居予定者のキワに、彼女の嫁結(ユイママ)と孫ひよりにしてもらいます。

    その後彼女たちは避難所を出て、古民家で家族として暮らし始めます。
    ある日、お客があるからとご馳走を準備していたところ、やってきたのは河童で、おばあちゃん(キワ)の依頼で、怖いものを閉じ込めていた封印が津波で解けたことを確認しに行ってくれていたのでした。おばあちゃんは、ふしぎなものたちとのコミュニケーション能力を持った人でした。

    その怖いもの退治のために、3人の戦いが始まります。

    東日本大震災後の狐崎を舞台に、モノノケ(?)たちの戦いを、人々の震災への想いを巻き込みながら描くファンタジー。


    う~ん。正直これは辛いです。
    まず、高学年向きとはいえ、児童書に、DVのために家のお金を持って逃げてきた女性が描かれます。これを子どもにわかれというのは難しいでしょう。
    次に、東日本大震災。ここへの想いを綴りたかった気持ちはわかりますが、直接描くのではなくファンタジーの舞台にしています。そうするとこの震災への気持ちは単なる下敷き、脇役になってしまう。
    それと、登場する不思議なもの達。地域の河童に地元のお地蔵さま、狛犬……。たくさん出てきて、それぞれの紹介が、まるで地元案内。せっかくの戦いの緊張感が削がれます。

    あまりにたくさんの要素を詰め込み過ぎたので、ごちゃごちゃになっているのです。

    傷ついた女性と少女が古民家でちょっと不思議なおばあちゃんと暮らすうち、心が溶けてきた……これならわかります。
    大波で封印が説かれた化け物を、ご縁があって家族になった3世代女性がやっつける……こんなのもいいと思います。
    でも、何よりもあの震災は、ファンタジーの下敷きにするには、まだ生々しすぎると思うのです。

    挿絵も、最初は漫画チックで興醒めだと思っていましたが、後半はその方が深刻に読まなくてよいとも感じました。

  • ステキな本だった♪
    所々感動した。

  • こんな家族のありかたもありだと思う。

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岬のマヨイガ (文学の扉)の作品紹介

『霧のむこうのふしぎな町』の柏葉幸子、デビュー40周年記念作品。
岩手県出身、盛岡市在住の柏葉幸子氏が、ついに東日本大震災をモチーフに筆を執った! 児童文学の大家が描く、日常ファンタジーの意欲作

あの、おそろしい地震のあった日、萌花ちゃんは、会ったこともない親戚にひきとられるために狐崎の駅を降りました。そして、たまたま同じ電車に乗ったゆりえさんは、自分の境遇と似た萌花ちゃんから目が離せず、いっしょに駅を降りてしまいました。ゆりえさんは、暴力をふるう夫から逃れるために、あてもないまま東京から見ず知らずの北の地へと向かっていたのでした。

そんなふたりの運命を変えたのは、狐崎のまちを呑み込んだ巨大な津波でした。

中学校の体育館に避難したふたりは、身元を問われて困惑します。だって、帰れる家、帰りたい家はないのです。手をにぎり合うふたりに救いの手をさしのべたのは、山名キワさんという、小さなおばあさんでした。

その日から、ゆりえさんは結(ゆい)さんとして、萌花ちゃんはひよりちゃんとして、キワさんと、世代の違う女性三人の、不思議な共同生活が始まったのです――。

遠野物語を彷彿とさせる東北の民話が随所に挟み込まれるほか、河童や狛犬といった異世界の住人たちが数多く登場する日常ファンタジー。

岬のマヨイガ (文学の扉)のKindle版

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