飛行迷宮学園ダンゲロス―『蠍座の名探偵』― (講談社BOX)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062838023

作品紹介・あらすじ

無限の攻撃力と防御力vs.勝利を約束された主人公の力!!!
殲滅をかけて殺しあう『転校生』と番長グループ。惨劇と混乱の果て辿り着いた「真実」とは――!?

――もしもこれが物語だとするならば……。
「魔人」と呼ばれる異能力者たちが集う私立希望崎学園「番長グループ」が、魔人ゼロを学園方針に掲げる天道(てんどう)高校に乗り込んできた! 彼らは仲間を殺したという「犯人」の引渡しを求め、ついには一般生徒たちへの虐殺を開始する。頼れるクラスメート・白金遠永(しろがねえんと)とともに脱出を試みる鈴木三流(すずきみつる)だが、ようやく死地を潜り抜けたその瞬間、学園は上空500メートルに浮かんでいた……。
果たして今回の主人公は本当に大銀河超一郎(だいぎんがちょういちろう)なのだろうか?

感想・レビュー・書評

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  • どうやって殺すかという命題。

    ダンゲロス・シリーズ二作目です。
    シリーズは現状出ている三作共に、パラレル・ワールド(厳密には違いますが)の関係になっているため、どこから読み進めてもいいとはされています。

    実際、作中で大体の設定は語ってくれているので前作を読んでいなくてもほぼ問題はないでしょう。
    今回の舞台も「魔人」と呼ばれる超能力者がいる現代日本、その中で例外的に魔人ゼロを掲げる公立高校です。
    ただし、もうひとつキーとなる世界が存在し、そこの説明が不十分に思えたのでそこについて説明しておきます。
    同時に少々のネタバレになるので、気になる方はカッコ内を読み飛ばしてください。

    (それは「転校生」という不老にしてほぼ無敵と認識される「魔人」の一種が住まう世界です。
    シリーズを貫く設定として、数多の並行世界の上に時空間では捉われない世界が存在するとされており、そこを拠点に転校生は各世界に派遣されて、様々な依頼の遂行に従事します。
    すべては自分の理想とする世界を創造するためのパーツを確保するため――。)

    ダンゲロスと言えば、人死にが当たり前の殺伐とした世界観であり、前作を読み終えた後なら大筋は読み切れるとは思います。
    ただし、この作品は作品冒頭で挑戦状を投げつける「ミステリ」としての体裁を取っており、「連続殺人事件」とか呑気なことを言ってられない高密度で一般人や魔人が殺害されてる最中、大惨事の発端となった「犯人」を探せという無茶振りをしてきます。

    作者にとっては遊ぶ余地があまりなかったのか、加えてミステリの制約もあってかなり執筆に労苦を払った作品らしいですが、コンパクトにまとまっている「制約」が強力な分、傑作に仕上がったなと思ったり。

    なぜか漫画版の方がエログロ要素が強調されている気がしますが、実際そちらの要素も抑え気味です。
    死体となる人のグロ装飾や変態成分の描写もかなり抑えられているので結構カッコいい作品だなとも思います。

    それを考えるとやっぱり前作に対するアンチテーゼと言えるのではないのでしょうか?
    作中における圧倒的に無意味な、大量の死に様には無意味なこと自体に意味があります。

    で、謎解きの方ですが。
    ミステリにつきもののフーダニット(誰がやったか?)は間違いなくアンフェアだと思います。

    消去法は一応使えるので推理できないことは無いですが、魔人能力ってファクターが攪乱要素として強すぎるのがひとつ。
    表向きの真相に辿り着くためには叙述込みのミスリードを潜り抜けた後で、ホワイダニット(なぜやったか?)、犯人の動機に至らなければいけないのがふたつ。

    むしろどうやって、人格的にも器量的にも全く隙のない転校生「鵺野蛾太郎(通称:ヌガー)」が魔人たちを攻略していくのか、そして彼自身はどう攻略されるのかって問題に頭を悩ませた方が有意義だと思います。
    ハウダニット(どうやったか?)は能力バトルにおいても有効だと思いますし、今回のキーマンのひとりでもある「大銀河超一郎」の「ヒロイズム」をはじめに他ではまず見ることのできない奇天烈な能力に驚かされるのもアリかもしれませんね。

    ところで。
    ここまでに示したのは作品の楽しみ方という回答ですが、真に問題なのは最後のワンページです。
    わかった瞬間、すべての疑問が解凍します。この世界観じゃないと絶対無理というか、ミステリの鉄則に回答しているハズなのに挑戦しています。
    「いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)」やったがわかってしまって、その破壊力が強すぎました。

    たぶん、既読者以外には何を言っているのかわからないと思いますが、小説だから彼は敗北したのかもしれないと推理した只中で、コミカライズされたところで負けてるんじゃないかな? って考え直しました。
    そうですね、小説だろうと漫画だろうと物語には変わりないのですか。
    ……一体どうやれば、彼女を倒せるんでしょう?

  • クローズドサークルミステリを謳っておきながらいきなり学校を舞台にした超人によるジェノサイドが始まってなんじゃこりゃと思ってたら、本当に殺人犯を見つけるミステリだったというw ダンゲロスワールド的に重要なイベントであった部分もあるようですが、そういうのは抜きにして面白かった。

  • 相変わらず楽しい能力バトル漫画だ。前作を読んだのがかなり前なので舞台設定などの詳細を失念していたが、特にそこまで気になることなく読むことができた。『転校生』やらの設定以外は一新されているというシステムの強みである。面白くなりそうな論理能力ものが思ったより活躍してなかったのは残念といえば残念か。まあ誰かが二次創作で書いてくれるでしょう。

  • 前作の漫画版を読んで西尾維新の影響を感じたのだが、著者から否定のコメントいただいている。文字で読んでみると、確かに、全然違う、典型的なラノベの文章であり、比べたのは失礼だった。漫画版の作画と編集サイドの人が「めだかボックス」に寄せたのかな。

  • ダンゲロスシリーズ2作目。
    前作とは平行世界なのかな...?
    まぁ、このシリーズに辻褄とか
    整合性なんてあまり重要じゃないよね。
    面白かったらOKな訳だし。
    そんななんでもアリな設定に於いて
    まさかのミステリテイストをぶち込んでくるこの矛盾...
    というかバカバカしさw。痛快。

    「魔人」と呼ばれる異能者と、一般の人間。さらには
    魔人の中でも最上位の能力を持つ「転校生」が入り乱れての
    大殺戮。そんな中でも能力者同士のバトルはそれぞれが持つ
    異能の組み合わせは心躍りますね。そもそも今作が中二病小説
    なのに、異能力が「中二葬」ってw。基本的に濁りのない
    オバカ小説なので痛快に楽しい。

    今作のテーマになっているミステリも...全力で苦笑いの
    ラストにまんまとヤラましたが、微妙な叙述や
    伏線回収をしてるところが...あざといw。

  • ダンゲロス2巻目。相変わらず奇抜な登場人物による能力バトルが行われる。
    1巻ではかなりの割合を占めていたエログロ要素が薄まってしまったのが少し残念。

  • 『魔人』とは
    妄想を"認識"した途端、能力・異様な力を発動する人
    大抵の魔人は思春期に覚醒するため
    その時の妄想により中二病的な能力が多い←ここ大事!!

    『転校生』とは
    無限の攻撃力、防御力で魔人を倒せる存在
    キチンと契約しないと働かない…その報酬は人間



    私立希望崎学園の番長グループの魔人が22名殺害される
    殺害現場には天道高校の制服のボタンが落ちていてた
    希望崎の番長・大銀河超一郎が会議で出払っていない間に
    副番長・真野五郎が仲間の魔人を12名引き連れ
    天道高校に『犯人』の引き渡し要求をしに来た…。
    しかし…完璧なセキリュティを誇る天道高校の生徒・先生達は
    番長グループを馬鹿にし相手をしなかった…
    最初に5分の猶予を与えたが一向に何の反応もないことに
    業を煮やした番長グループは最初の一撃を天道高校に
    攻撃してくると思わなかった天道高校はパニック(@Д@;
    第二陣、三陣の魔人の攻撃に天道高校は阿鼻叫喚の地獄絵図に

    天道高校の生徒会長・南崎シンリはこの騒ぎの合間に
    魔人に対抗できる存在『転校生』に連絡を取り
    番町グループの殲滅と今回の元凶となった『犯人』を特定し殺害の依頼をする
    依頼を受けた"転校生"は早速仕事に取り掛かるが…。




    お気に入りの中二病小説、ダンゲロスの第二弾!!ヾ(≧▽≦)ノ
    今回はミステリー風。
    相変わらず血で血を洗う戦いで
    バッタ、バッタと人が死んで逝くのはお約束。
    あッと言う間に簡単に人が死んで逝くのは中二病小説ゆえか?(笑)

  • 相も変わらず人の命が非常に軽い世界で繰り広げられる能力者バトル。今回はミステリー要素も入ってて意外な展開が楽しめた。
    主役がいない世界ってのは本当に何が起きるか分からなくて面白いな。
    ・・・まぁ王道は犠牲になっちゃうわけだが

  • イラストが「夏色キセキ」「フラクタル」のキャラ原案である左氏から、
    「ギルティクラウン」「かんなぎ」「らき☆すた」「涼宮ハルヒの憂鬱」などの作画監督を勤めた、今をときめく人気アニメーターの門脇聡氏に。
    前作は脳みそを食べるヒロインなどグロが多めだったが、今回は少なめで残念である。
    戦車を性交をしたくてそのせいで戦車と一体化してしまい、
    うんこの代わりに砲弾を打ち込む大砲ちゃん萌え、まぁあっさり首をもぎ取られて殺されるのはダンゲロスらしくて良い。
    またミステリー要素もあり、なんでもありの世界だからこそトリックに全く予想がつかない。

  • 超能力バトル小説。前作以上のインパクトはなかった。

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著者プロフィール

1980年生まれ。広島県出身。作家。著書に『仁義なきキリスト教史』『完全教祖マニュアル』(辰巳一世との共著)など多数。

「2020年 『仁義なき聖書美術【新約篇】』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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