文化祭の夢に、おちる (講談社BOX)

著者 :
  • 講談社
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本棚登録 : 134
感想 : 26
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  • Amazon.co.jp ・本 (308ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062838030

作品紹介・あらすじ

2012年本格ミステリ大賞最終候補作『夏の王国で目覚めない』で大注目の著者が贈る、青春[神隠し]小説――!

[神隠し]の伝承が数多く残る御陰町(みかげちょう)で、明日から桐乃(きりの)高校文化祭がはじまる。
しかし今年は何かが「消える」とされる、三年に一度の年だった――。

三年に一度だけ行われる桐乃高校文化祭。その準備中、五名の生徒が吊り上げられていた巨大壁画の下敷きになってしまう。眠りから醒めた相原円(あいはらまどか)が見たのは、いつもの通学路にいつもの校舎。見慣れた夏の光景のはずなのに、そこはどこかいびつな、誰もいない世界で――?

夏の嵐が巻き起こした、恋と消失の物語。
高校3年生の夏、彼女の心に宿るのは恋なのか、友情なのか、それとも苦い憎しみなのか。

感想・レビュー・書評

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  • 雰囲気が辻村さんの冷たい校舎〜に似ていた。でも、やっぱり彩坂さんの作品が好き。神隠し似合っている中での、悟志の気の狂いようは尋常ではなかったが、青司も相当歪んだ愛情を持っていると感じました。さらっと流されたけれども。神隠し後は、それぞれの心のわかだまりも取れたようだし、良かったと思います。ぜひ後日談も書いて欲しいです。

  • 初読みの作家さん。庭さんの素敵過ぎる装丁に惹かれて手に取りましたが、かなり面白かったです。
    文化祭の前日、誰もいない町、取り残された五人の高校生…導入部から
    漂う不安な感じにぞくぞくした。
    どうすれば現実に戻れるのか?という状況の中で、切なくノスタルジックな空気感や高校生五人のそれぞれ抱えた悩みの描写がよかったです。
    個人的には陸上部の男の子の話が一番好き。一位の人間と、十位の人間。響きました。
    あと、円はいい娘だー。

  • ミステリ、というよりは脱出モノのパニックホラー。設定の取り合わせは面白いが、話や展開が直球なせいか、わりとすんなりオチや伏線が読めてしまったのが残念。もう少し練りこんで欲しかったというのが正直な感想。しかし読みやすい文章かつ、キャラもクセが無く等身大の少年少女なため人を選ばない小説であると言える。

  • 臨場感があって、なんでこのメンバーなのかとか考えながら読みました。

  • 文化祭全日の準備に追われる中、事故に遭った5人が現実世界から、時の影のような場所に落とされてしまう話。誰もいない校舎の中で、それぞれ自分の影に向き合っていく。

  • 相変わらず瑞々しい文章で、展開もこなれてきたのだが、話が薄味で惜しい。

  • 三年に一度の文化祭を明日に控え、最終準備に余念がない生徒たちが慌ただしく行きかう高校の校庭。『円(まどか)』もその中の一人で巨大壁画を吊り上げる作業のチェックをしていた。その最中、壁画が倒れる事故が起こり巻き込まれる幾人かの生徒・・・。
    次の日、学校に人の姿はなかった。そこにいたのは円を含む4人の生徒のみ。明日の文化祭を前に、皆何処へ行ってしまったのか?
    違和感の正体を知った4人は驚愕する。私たちは皆で無事に戻れるのだろうか・・・。


    基本、青春と言えば爽やかなイメージ。だけど、葛藤やドロドロしたものを抱えているのも青春だよね。そこを超えられたら戻れるのかと考えたけど、意外とあっさり戻れたな。
    でも最後の一人はまずい状態かと思っていたら、みんな助かって良かった良かった。個人的には下級生の女の子が良かったな。
    でもこれって、文化祭自体が中止になるレベルの事故だよね。

  • 一気に読めて面白かった。一気に読みすぎて結局何もしなくても戻ってこれたのかどうか理解できず。それにしても危険な文化祭準備だな。

  • トワイライトゾーンの都市伝説を学園祭に持ち込んで、ミステリー仕掛けにした作品。米澤穂信の「ボトルネック」を彷彿させる。
    物語が単純すぎたかな。もうひとつ絡みがあって、謎解きも展開が欲しいところだが、人間以外の物体もトワイライトゾーンに存在するのなら、現実の世界ではどうなっているのか?
    別の次元の空間世界がよく描ききれていない分が弱い。納得のいかないままピリオドがうたれた感は否めない。

  • 密かに応援している作家さんです。
    某作家さんの某作品を思い浮かべてしまうような設定。
    どこか歪な世界に巻き込まれてしまった5人の戸惑いや焦り、そこで起きる出来事に対する緊迫感が良く伝わってきて楽しめました。
    この方は十代の少年少女達の繊細な心情描写が巧いですね。
    閉ざされた世界でそれぞれが自分の内側と向き合い、心の奥底にある本当の願いに気付いていく様子には共感を覚える部分も。
    もう少しページ数増やしてそれぞれの背景を掘り下げて欲しかったかなとも思いますが、そこは大人の事情もあるのでしょうかね。
    今後も期待しています。

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著者プロフィール

山形県生まれ。早稲田大学第二文学部卒業。『未成年儀式』で富士見ヤングミステリー大賞に準入選し、2009年にデビュー(文庫化にあたり『少女は夏に閉ざされる』に改題)。他の著作に『ひぐらしふる』『夏の王国で目覚めない』『僕らの世界が終わる頃』『サクラオト』『思い出リバイバル』などがある。本作『向日葵を手折る』が第74回日本推理作家協会賞長編および連作短編集部門にノミネート。

「2023年 『向日葵を手折る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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