探偵チームKZ事件ノート 消えた自転車は知っている (講談社青い鳥文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062852029

作品紹介・あらすじ

小学6年生の立花彩。友だちと学校でちょっとギクシャクしているし、家族のこと、勉強のことなど毎日なやみはつきません。そんな彩が塾で出会ったのは、エリート4人組の男子。目立ちたがり屋やクールな子など超・個性的な彼らと、消えた自転車のなぞを追うことになったのですが…。なぞ解きやドキドキがいっぱいの本格ミステリーはじまります!小学上級から。

感想・レビュー・書評

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  •  中学受験のための塾に通っている六年生の女の子、彩と、その塾の成績優秀者の中からさらに選抜して作られたサッカーチーム(強い)KZのメンバーを中心とした男の子たちが、身近な事件の謎を解くミステリー小説シリーズの第一作。KZは「カッズ」と読み、文武両道で地域の女の子たちの憧れの的といえる集団。『花より男子』のF4みたいなものだと思う。
     彩の一人称で物語は綴られる。学校の友だちとは話が合わない、嫌われないように気を使いすぎて疲れることがある、パパは仕事で忙しいし、ママはパパと高校生のお兄ちゃんの機嫌ばかり気にしている、小学一年生の妹は可愛いけどその天使っぷりがたまに鼻につく、そんなふうに思ってしまう自分が嫌いなんだけど、ともかくそういうわけで家にも自分の居場所がないように感じる、受験勉強は、自分で選んだ私立の学校に行くという目的のためにコツコツと進めること自体は苦ではないが、そうはいっても得意な国語以外の成績はいまいち。心の中にどこか穴が空いていてそこを風が吹き抜けていくようだ…。そんな心中が明確に語られる。
     この彩の独白つまり思考の言語化能力がすばらしく、国語が得意という設定も生きているし、小説向きな子だなんてメタな感想をいうこともできるが、太宰治の『女生徒』を初めて読んだときのような「わかるわかる、この本にはどうして私の気持ちがこんなにはっきりと書いてあるんだろう」というあの感覚に見舞われる…そんな女の子も多いんじゃないかなと思う。
     彩は塾の特別クラスに編入することになる。そのクラスは塾でもまだ試運用中の、画一的な授業をせず一人一人にあった指導をするというところで、彩はそこの五人目の生徒にして初めての女子だった。しかもクラスメイト四人のうち三人はKZのメンバー。ある事件をきっかけに、彩は四人のこの男の子たちと勉強以外の時間を多く過ごすようになる。その中で彩はたくさん初めての経験をして、喜んだり悲しんだり自信を持ったり失ったりするのだが、先ほど述べた通り独白能力抜群の彩が、自分の感情や気付きや学びを言葉にして次々と繰り出してくれるので、読者はまた「わかるわかる」の嵐に見舞われる。私などは「そういうことあるよね、あったあった」程度の頷きに過ぎないが、同じくらいの年頃の女の子だったら、場合によっては自分が感じていたモヤモヤが少し晴れるような、あるいは晴らすためのヒントを得たような気持ちになることもあるのではないだろうか。
     男の子同士の友だち付き合いが女の子同士のそれと全然違ってびっくりしたり、素敵な男の子に守ってもらいたいな〜なんてぼんやり抱いていた憧れと、実際に自分が男の子から女の子扱いされたときに感じたことやとった行動とのギャップに戸惑ったり、受験勉強でそれなりいやそれ以上の成績をおさめながらも、勉強以外の世界を持ちそれを楽しんでいる彼らを尊敬したり、彼らと出会って彩の世界はずいぶん変わったようだ。彩ほどはっきりと言葉にはしてこなかったとしても、自分を好きになったり嫌いになったりに忙しくしながら、こんな風に私たちは大きくなってきたのかもしれない。

  • 感想書き忘れてたので書きます。

    このシリーズは低学年のころ図書館で見つけ、図書館にあったこのシリーズは読破し、図書室でも見つけ読破。お小遣い貯めて、置いてなかった本を買いに行ったり、ママが買ってきてくれたり。今は絶対買ってきてくれないけど。なつかしい(^-^)

    そのシリーズの初巻。ちょっと癖のある書き方にも惹かれています。最近は図書館も図書室も全然行ってないな。図書館には行くヒマないし、図書室の本は貸出期限をしょっちゅう過ぎてしまうので。

    時々再読しますが面白さは変わらない!

  • 子供の頃に読んでいたシリーズ、途中だったので懐かしく読み始めました。
    あぁ懐かしい。

    大人目線で感じる気づきもあり。大人が読むのってどうなのかしら、と思いながらも楽しく読んでいます。

    これくらいの軽さだと、読書が苦にならないので定期的に図書館に行って借りてこれる。
    ついでに子供を連れて行って読書好きに育てようという目論見も。

  • ▼8歳の娘が自分から「読みたい」と言い出して読んで、面白かったらしく、親にも読んでもらいたそうだったので。


    ▼主人公のアーヤは女子で小学校6年生だったかな。中学受験をするので塾に通っていて、特殊なクラスに入ったら、そこは自分以外男子4人しかいない。その4人がみんなKZ(かっず、と読む)というエリート集団(スポーツチームだったかな・・・)に属している、「文武両道イケメン優等生、でも性格はバラバラで」という面々。


    ▼アーヤはそれほどの優等生ではなく、友達も少なく、自信もない。なんだけどなんとなくその4人の優等生たちに何かとかまわれて、仲間になっていく。その過程の主人公の心理が一人称で語られる。


    ▼そしてどうやら毎回事件が起きる。今回はKZのひとりの自転車が盗まれる。犯人探し。


    ▼昔読んだ「有閑倶楽部」や、読んだことがないけれど「花より男子」とかと基本的には同じような構造かなあと思いました。でも何かにつけて自信がなく、日々わくわくすることもなく、という主人公がドキドキしはじめる心理をストレートに描いているところは好感で、かつ全般に上手く書けているなあと思いました。

  • 友達にすすめられて読みました。
    …おもしろい。正直、あなどってました。すみません。
    すまん、友達。

    久しぶりに推理小説読みました。
    おもしろい。

    若武がかっこいい。
    小塚くんはかわいい。
    上杉くんはよくわからないけど、見た目と乗せられやすさのギャップがかわいいかも?
    黒木くんは、顔が広すぎ。
    本当に小学生?
    …かっこいいけど。

    彩がうらやましいです。

    あと、絵が「動物と話せる少女リリアーネ」の人だ。
    ビックリ。

  • KZですよ。KZ。いやいや

    藤本ひとみ氏ですよーーーー!!!!


    友だちの娘さん(中1)に若おかシリーズを借りたのは前述のとおり。
    でもってその若おかが本編ではなくスピンオフというか短編集やったため、
    「本編を図書館で借りて読もうかなあ」
    と、言ったところ、

    「若おかシリーズよりKZのほうが面白いで」

    と、言われ、

    「じゃあそっちを借りる」

    と、なったのです。

    (くどいようやけど、中1と39才の会話) 友だちは介しているけれども


    しかしそのときも
    「カッズ・・・? ・・・てなんか、聞いたことあるような・・・?」
    と、なったのだけど、おそらく若おかを読んだときに巻末の広告ページで目にしたか、なんかしたんやろう、と、流した私バカ。

    その後、いつもどおり図書館のサイトで蔵書を検索したときに、

    「藤本ひとみ原作て、小6て、塾て、謎解きて!! これは、あれか、友愛クエストか!!!」

    と、大興奮したよ。

    ああ読みました読みました読みましたとも。
    友愛クエスト、親友アイテム、初恋プロセス(いやゴメン、タイトルちょっとうろ覚え・・・)、全部読みましたともさ!!!
    挿絵は忘れもしない、いのまたむつみ氏でしたよ!!!


    著者のライトノベルは制覇してるはず。
    お約束のマリナシリーズから入ってるけど、私はこのKZシリーズと、ユメミが好きやったなあ・・・。
    著者の主人公ちゃんってちょっとひくつというか、ひねくれてるというか、いい意味でも悪い意味でも「可愛くない」と、思うんやけど(笑)、彩とユメミは比較的可愛いと思っていた。

    中学生当時の私にとってヒロインってのは、弱くてもろくて守ってもらうものってイメージやったんですね(恥ずかしげもなく)。

    さて、それはさておき、あのKZシリーズが復活。ちゅうか、どんどんシリーズ化されているではないか~!! と、小躍りするくらい喜んだのもつかの間、著者はあくまで原作者であって、文章は違う方が書いてられるとのこと・・・。

    そ、そりゃそうよね・・・。がく・・・。

    とりあえずこの本を読んだ限りでは、さほど原作のイメージと離れていないと思う。
    チョイチョイ平成風味に書かれているし(でも連絡の手法が家電および公衆電話なのはめちゃくちゃほほえましかった。彼らが携帯(ちゅうかスマホ)を持つのはいつやろう。いや、持たなくてもいいけども)、基本的に彩ちゃんの一人称で進んでいくんやけど、藤本氏やったらもっとはっちゃけてるんちゃうかな、と、思わなくもない?

    だって、
    「わっはっは」
    と、いうモノローグがいっぺんも出えへんかってんで(笑)!
    著者がこのフレーズを書かないとか、ないやろっ! ←これ(=「っ」はあった)

    作文されている方に失礼なのでわざわざ比較するようなことは言及しないし、あくまで藤本氏は原作であって、この設定、このキャラをどう面白く見せてくれるのかは、作文してはる方に期待したい。


    ちゅうか~~!!
    まさかここでKZとは~!!

    「これ、面白いよね!? 面白いよね!? オバチャンも中学生のとき、めっちゃはまったわ!!」

    と、大興奮で(友だちの娘さんに)ラインしたわ。もちろん友だちを介しているけれども

    イヤーン、かつて自分が読んだ本について子どもと語れるとか、いいよね~!!
    うちの子ともいつかそんなことができないかしら・・・。(*´▽`*)


    で、このKZ、Eテレでアニメにもなってんのね。
    アニメはうちのムスメも知ってたわ(見たことはないらしいけれども)。


    相変わらずしっかりした謎解きやと思います。
    くどいようやけど、私らが中学生のときにコバルトが流行ったころは謎解きものがブームやったのよ。

    「小学生でそこまでできひんやろう」
    とかは、思わないよ!
    一条ゆかり氏並みのトンデモ設定も、ここまでしっかり書き込まれていたらツッコミゼロ!
    むしろフィクションやねんからこのくらいトンデモのほうが面白いやろと思える。

    男子のスタイルについての表現が多いのも、
    「著者ってこんな感じやったよな・・・」
    と、妙にニヤニヤしてしまった。この1冊だけでもどんなけ若武のハーフパンツについて聞かされたか(笑)。


    タイトル通り(あ、原作の・・・)、友だち関係って何? を、テーマにした話やと思う。
    これが中学生には響くんちゃうかなあ。
    私はそんな深いことを考えずに、「少年探偵団」というチームノリが好みやったんやとは思うけど、女子ならではの友だち関係の複雑さをさらっと書いてると思う。

    大人になった今では、
    「はあ、確かに小中学生ってこういうこと気にするよね・・・」
    くらいにしか思えないけれども(笑)、主人公ちゃんは一旦(人間関係で)失敗して、さらに落ち込んで、なおかつドン底まで行ってから、冷静になって反省し、やり直す、と、いう著者のパターンを踏んでいた。

    この「やらかす」具合が著者の主人公ちゃんらしいのだけど(主人公なのでそこまでやらかさんやろう、と、いう甘さはまったくない)、ドン底まで落ちてから冷静に反省すると、いろんなものが受け入れられるんやなあと思う。
    なかなかそこまで達観できひんよー。著者もそういうタイプなんかな。激情型というか?

    でも、最終的には自分で這い上がってくる子が多いので、読んでいてスカッとするかな。


    そんなイケメン揃いのキャラたちやけれども、そらー・・・。人気は上杉クンやろうなー・・・。
    黒木クンもなかなかのキャラやなと思います。あー、とりあえず続きをリクエストしよう。

    それにしても、青い鳥文庫か・・・。
    出版社までまたいで復刻て、すごいな・・・。大歓迎やけれども。

    (2015.12.24)

  • もともとのKZシリーズは読んでなかったので
    青い鳥文庫で初読み。

    優秀な進学塾に通っている4人の男の子と主人公の
    彩ちゃんの身近で起きた事件を解決していくお話。
    偶然にも主人公の女の子と同じ名前なので
    そこもなんだか親近感。でも、私は一切勉強をしなかったし、
    性格的にもかなり正反対に近いけど[´ー`;]

    いくら秀才な子供たちといっても、小学6年生で
    そんな人脈や地質や塗料の分析なんて!
    と、まさかの展開にびっくりしたりもするけど、
    自分が対象年齢の子供だと考えると、大人たちが
    まったく知らないセレブな生活をテレビで見て
    わ~すごい~!とココロがキラキラするように
    子供たちにとって知らない未知の知識や世界に
    尊敬したり、わくわくしたりしながら読み進められるのかも!
    と、突飛なところはスパイスと考えることに[笑]

    子供たちの探偵ものだからといって、突飛なことはあれども
    ちゃんと物語が進むと、大きな事件ではなくても
    ドキドキする展開や推理になっていったり、
    友情について、家族について、その年頃の子ならリアルに、
    大人が読むと懐かしかったり逆に勉強させられるところも
    あると思うお話もあったり。

    人と人との付き合いは、いつも気をつかって
    表面的に努力することではなく、その人その人を
    ありのまま受け止めて、お互いの自由も大切にしながら
    信じて好きでいること。

    友情は1つ1つ証明していくものでもなく、馴れあうことでも、
    確かめ、結ぶことでもなく、信じて繋がっていくことだということも
    全編を通して描かれているので、自分に子供がいれば
    ぜひぜひ読んでもらいたい、子供たちがぶつかり悩むことに、
    ふっと心が軽くなるヒントが詰まっているステキなお話[*Ü*]

    この先の淡い恋の展も友情がより強くなっていくのを
    見るのも楽しみだなぁ♡

    そして、藤本さんの"あとがき"があるのがうれしい!!!
    今回は藤本さんナポレオンの足跡を辿る趣味のお話。
    ナポレオン愛好会の日本人で初めての会員である藤本さんが
    フランスで「騎士」の称号を頂いた時の叙任式の写真つきでのお話!

    藤本さんに騎士団と言えば「銀バラ」!!!
    あとがきだけでも1冊にまとめてほしいぐらい!
    いつか出してほしいっっ♡次の巻からのあとがきも楽しみすぎる♡

    • 九月猫さん
      あやさん、またまたお邪魔します。

      KZシリーズも、こういう形でいま出てるんですね。

      元のシリーズ、わたしも読んでいないのですけれ...
      あやさん、またまたお邪魔します。

      KZシリーズも、こういう形でいま出てるんですね。

      元のシリーズ、わたしも読んでいないのですけれど、
      ひとみ先生のあとがきがあるのなら、買わなきゃー!
      銀薔薇のほうもあとがき復活してほしいですよね♪
      2013/05/30
    • 山本 あやさん
      [♥óܫò]∠♡九月猫さん

      九月猫さん、こんにちはー♡

      KZっ、ワタシも最近知って、これは買わなくては!!と
      最近買い揃えていってます[...
      [♥óܫò]∠♡九月猫さん

      九月猫さん、こんにちはー♡

      KZっ、ワタシも最近知って、これは買わなくては!!と
      最近買い揃えていってます[*Ü*]

      児童書になったひとみ先生の作品はどんな感じだろう?と
      ドキドキしつつだったけど、すっごく楽しかったですー。
      でも、マリナシリーズたちと非にならないぐらい
      いろんな違和感はありますー[笑]ムリムリ展開に[笑]
      でも、それを含めても大好きなシリーズになりました~♡

      あとがきに写真もあるし、大好きな騎士団のリアル版の
      話がってだけでも大興奮ですよねーっっ。
      でも、2巻の"あとがき"をお決まりの"先読み"したんですが[笑]
      2巻はひとみさんの原作を児童書に書き直された作家さんの
      あとがきだけで[´iωi`]全巻ひとみ先生のあとがきがほしいー!

      銀薔薇もほんとあとがきをぜひっっですよね[iпiq]
      2013/05/30
  • 全てのはじまり。最初は壁があって距離が遠いけど、これから絆が深くなると思うと見ていて微笑ましい。

  • KZの原点はコレ!これ読まないと始まらないと思う!

  • それぞれのキャラクターの性格や、立ち位置の
    設定が分かりやすいので読みやすかったです。
    とくに、あやちゃんの考え方が
    しっかりしていて「そういう考え方もできるし、現実的にもありだな」と思えるところが多く
    面白かったです。

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著者プロフィール

千葉県生まれ。大学では心理学を専攻。ゲームとまんがを愛する東京都在住の小説家。性格はポジティブで楽天的。趣味は、日本中の神社や寺の「御朱印集め」。

「2019年 『探偵チームKZ事件ノート 特装版 校門の白魔女は知っている』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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