クレヨン王国の花ウサギ(新装版) クレヨン王国ベストコレクション (講談社青い鳥文庫)
- 講談社 (2012年7月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062852968
作品紹介・あらすじ
健治たち5人が、行方不明に-。クレヨン王国の悪魔・アオザメオニのしわざと知り、小学4年生のちほと、ウサギのロペは、クレヨン王国に助けを求めます。ところが、大臣たちの半数はアオザメオニの味方。森の木々も生き物たちも、まったく力を貸してくれません。兄の健治が命を失う前に、ちほとロペは、アオザメオニをたおすことができるのでしょうか?小学中級から。
感想・レビュー・書評
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10年以上振りに読んだ。
内容はすっかり忘れていた。
自然の描写が細かくて、たくさんの植物や昆虫、鳥、魚が出てくる。
名前を見ただけじゃ分らない生き物も多いので、図鑑片手に読みたい気分だ。
空模様や木々の描写も美しい。
作者のエッセイで読んだけれど、クレヨン王国は作者の身の回りの自然なのだと改めて感じた。
ヒキガエルになった校長先生は、仲間とともに産卵地を目指すが、そこはすでに開発で池が埋め立てられていた。
アスファルトの道路を進むヒキガエルたち、たくさんの仲間が車に轢かれて潰れる…。
フナになったちほのお兄ちゃんの健治がいる池も本流から切り離され、更には洗濯した水が流れてくる…。
日々水は減り、更には鳥たちの恰好の餌場になってしまう…。
読んでいて、とても痛々しかった。
ハナグモが花に擬態していて、本物の花と区別がつかないという場面があったが、これまでは天敵から身を隠すためだと思っていた。
だが、このシーンはナナホシテントウになった女の子の視線で描かれているため、ハナグモから見れば、エサとなる虫価たちが気付かずに近づいてくるのを狙っているのだ、と今回初めて気づいた気がする。
終盤で、戦車で森の中を進むのは森を痛めつけることだと気づいてからが戦車を捨てるロペとちほだが、徒歩ではもう、アオザメオニを倒して、姿を変えられたお兄ちゃんたちを助けるのに間に合わない。
お兄ちゃんが死んでしまうよ、と言われるちほがだ、そのときは、自分が死んで兄に会いに行けばいいと言う、のが印象的だった。
30年以上前の本なのに古さを全く感じない。
今年の新刊だと言われれば素直に頷けるような内容。
(核戦争が起きれば世界40億人の人類が滅亡する、と先生に教わったが、この池が干上がれば、死ぬのは40億の生物どころではない。という文章があり、この時代は40億人だったのだなあ、と思ったが。)
次のコレクションも楽しみ。詳細をみるコメント0件をすべて表示