クレヨン王国の花ウサギ(新装版) クレヨン王国ベストコレクション (講談社青い鳥文庫)

  • 講談社
4.00
  • (0)
  • (1)
  • (0)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 26
感想 : 1
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062852968

作品紹介・あらすじ

健治たち5人が、行方不明に-。クレヨン王国の悪魔・アオザメオニのしわざと知り、小学4年生のちほと、ウサギのロペは、クレヨン王国に助けを求めます。ところが、大臣たちの半数はアオザメオニの味方。森の木々も生き物たちも、まったく力を貸してくれません。兄の健治が命を失う前に、ちほとロペは、アオザメオニをたおすことができるのでしょうか?小学中級から。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 10年以上振りに読んだ。
    内容はすっかり忘れていた。

    自然の描写が細かくて、たくさんの植物や昆虫、鳥、魚が出てくる。
    名前を見ただけじゃ分らない生き物も多いので、図鑑片手に読みたい気分だ。
    空模様や木々の描写も美しい。
    作者のエッセイで読んだけれど、クレヨン王国は作者の身の回りの自然なのだと改めて感じた。

    ヒキガエルになった校長先生は、仲間とともに産卵地を目指すが、そこはすでに開発で池が埋め立てられていた。
    アスファルトの道路を進むヒキガエルたち、たくさんの仲間が車に轢かれて潰れる…。
    フナになったちほのお兄ちゃんの健治がいる池も本流から切り離され、更には洗濯した水が流れてくる…。
    日々水は減り、更には鳥たちの恰好の餌場になってしまう…。
    読んでいて、とても痛々しかった。

    ハナグモが花に擬態していて、本物の花と区別がつかないという場面があったが、これまでは天敵から身を隠すためだと思っていた。
    だが、このシーンはナナホシテントウになった女の子の視線で描かれているため、ハナグモから見れば、エサとなる虫価たちが気付かずに近づいてくるのを狙っているのだ、と今回初めて気づいた気がする。

    終盤で、戦車で森の中を進むのは森を痛めつけることだと気づいてからが戦車を捨てるロペとちほだが、徒歩ではもう、アオザメオニを倒して、姿を変えられたお兄ちゃんたちを助けるのに間に合わない。
    お兄ちゃんが死んでしまうよ、と言われるちほがだ、そのときは、自分が死んで兄に会いに行けばいいと言う、のが印象的だった。


    30年以上前の本なのに古さを全く感じない。
    今年の新刊だと言われれば素直に頷けるような内容。
    (核戦争が起きれば世界40億人の人類が滅亡する、と先生に教わったが、この池が干上がれば、死ぬのは40億の生物どころではない。という文章があり、この時代は40億人だったのだなあ、と思ったが。)

    次のコレクションも楽しみ。

全1件中 1 - 1件を表示

著者プロフィール

名古屋市生まれ。早稲田大学文学部国文科卒業後文筆活動に入る。1956年 オール読み物新人賞受賞。1963年 モービル児童文学賞受賞。1964年 『クレヨン王国の十二か月』で第5回講談社児童文学新人賞受賞。1968年から1988年まで、自然に親しむ心をもった児童を育てる目的で学習塾を開く。
2012年逝去。主な著書に『クレヨン王国』シリーズ47タイトル、『静かに冬の物語』(以上すべて講談社刊)などがある。2012年逝去。

「2016年 『クレヨン王国黒の銀行(新装版) クレヨン王国ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

福永令三の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×