- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062866828
感想・レビュー・書評
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これはすっごく良かった。
主人公の二人、雪也と青爾の二人の祖父から続く血の因縁が、実はとても深く切ない想いの連鎖によって過去から現在に繋がってる。
雪也が母の名代として訪れた神戸の旧家。
家長の葬式に向かったはずが、迷い込んだ庭先で出逢った不思議な青年と、甘く香る梔子の花の謎。
ひょんなことから青爾の暮らすその旧家でひと夏を過ごすことになった雪也の身に降りかかる妙な夢や足音、そして命の危険。
サスペンスかホラーな要素を醸し出しながら、過去と現実を行き来する雪也の心情と相まって、最後に訪れる真実と悲しみ。
その後の雪也と青爾の姿が見たいなぁ……と思わせる終わり方もいい。
色っぽいシーンがありはするれけど、多くのBLとしての楽しみという営みで描かれたのものじゃなく、そこにある複雑で重く深い心の在りかをそのシーンでどれだけ読み取ってもらえるか、という想いも感じられる。
ほぼ雪也目線で語られるストーリーなだけに、青爾の心情は分かりづらいけれど、それも二人の祖父の邂逅を読んでいくとなんとなく想像出来る作りになっているんじゃないかな。
兎に角、何度も読み返して過去と現代における二組の想いを拾って楽しめる作品だと思う。
ぼくはこの人の作品と、相性がいいかもなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ホラーっぽくもミステリーっぽくもある、せつない物語でした。先祖から現代に繋がる祖父たちの想いが、孫である二人を出会わせ、彼らもまた想い合うことになったというのも運命なのか…。祖父たちの運命がせつなくてせつなくて;;お互い想い合っているのに結局は告げることもなく別れてしまった…。久哉の最後はさぞ無念だったろうな。。後日わかる、久哉が送った梔子を貴臣が大事にしていたというのがまた…!(涙)新人賞を受賞したというのも頷ける素晴らしい作品でした。次回作も楽しみな作家さんです。