- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062867788
作品紹介・あらすじ
クッキングスクールで講師を務める牧野周の教室に、珍しく男性の生徒が入学してきた。料理を真摯に学ぶ爽やかで端正なその青年・夏川光司に一目で恋をしてしまう周。強く惹かれていく気持ちを抑えられない一方で、ノン気の夏川の相手として自分は相応しくないと悩み、素直に好きだと言い出せない。やがて、夏川の衝撃的な秘密を知ってしまった周は、彼の幸せのために身を引く覚悟をするが・・・・・・!?
感想・レビュー・書評
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スイートな恋愛ものと見せて、実はズキリと鋭い痛みを内包しているストーリー。そういえば同じく香林セージセンセのイラストだった「二次元恋愛」、「三次元恋愛」も、ただの胸キュンではなく切ないものがあったのを思い出しました。
そのことをすっかり忘れ、胸キュン!と思い込んで読み始めて、思わず涙。またしてもセンセにやられてしまいました。
クッキングスクール講師の周は尽くし型の受で、過去の恋愛はいつも好きな男の世話を焼くうち段々相手から便利な存在扱いされ、ダメになってしまうことばかり。
そのせいで、スクールの生徒の年下イケメン夏川にひと目惚れしても臆病になって、好きで好きでたまらないのに必死で想いをセーブして、悶々としてしまいます。ノンケの年下男を好きになってしまった周の葛藤が、すごく伝わってきました。
一方の夏川は、最初の印象では周のことをただ先生として好きなのか、恋愛対象として好きなのか、なかなか分かりにくいところがあって、それが逆に興味をあおるポイントにもなっています。
夏川がなぜ周に惹かれたのかというのは、周ばかりではなく読者にとってもとても気になるんですが、夏川が言わなかったある事実も大きな要因だった気がします。周の尽くす気持ちが、ここでは良い方向に作用したように感じました。
その後、事実を知った周の苦悩には、いろいろ考えさせられました。これは深かったです。周が相手の幸せを考えすぎて、自分ではダメだと思い込む気持ちにはほんとに切なくなりました。
でも、夏川によかれと思って一芝居うった場面の智成の言葉で、大事なことに気付けてよかったです。ノンケの方が絶対幸せとか、ゲイは不幸だとか決めつけてる、と周に忠告するんです。智成、思ったよりイイ人でした。
周が前向きに頑張ろうとして、ほっとしました。彼なら絶対夏川を幸せにできると思うし、周も夏川にならずっと大事にされると思えるエンディングに安堵。
重みのある話で、読みごたえがありました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
文章力はさすがの作家先生。料理教室の内情や、人間関係などは、よく描かれている。ただ、主人公の受けの性格が、短気というか短絡的で、感情移入出来なかった。勝手に思い込んで、そんなに暴走しなくても、といいたい。攻めも以外と冷めてるのかなぁ。元カレの登場もご都合主義な感じで、この元カレに語らせる事なく、受けの心情をもっと丁寧に書いて欲しかった。
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犬飼先生の作品にしては、なんかちょっと。。。肩すかしというかなんというか。。。展開もなんも中途半端だったかな。
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シリアスなイメージがあった犬飼さんですが、今回はほのぼのした話。
料理教室の生徒×講師
受けが見かけ(挿絵のイメージだけど)によらず積極的でびっくりした。かなりエロイです。 -
しんみりするところはあっても結構さっぱりとした感じの作品で、「感動」などの言葉に表すのは難しいです。
ただ、主人公の周のジェンダーが乏しく、女性相手だからこうあるべき未来があって…という概念が幼くて冷めてしまいました。まぁ、未来は所詮可能性だけしかないので、それをどうこうできた周は頑張ったし、ちゃんと恋愛できたんだと安心しました。 -
初、犬飼作品でした。
思っていた話と違いました。
話は地味だけどその人によって幸せとは何か、じっくり書かれていて面白かった。 -
さわやかイケメン×お料理教室講師
さわやかイケメンと思わせつつ、隠している過去(?)
があったり、この作家さんは作品の中にサラっと同性であるがゆえの
葛藤を入れてくるのが好きです。