天空の翼 地上の星 (講談社X文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062869430

作品紹介・あらすじ

天下四国――この世は、峻厳たる山々に囲まれた四つの国に分かれている。南の王国「徐」の王太子・寿白は、革命の混乱のさなかに王の証「王玉」を得たが、
徐国は倒れ、国名も「庚」と改められてしまう。それから十年。かつて輝くほど聡明な少年王だった男は、飛牙と名乗るすれっからしに成り果てていた。天令の那兪は、飛牙の胸に眠る王玉を天へ返すよう迫るが……。極上の中華風ファンタジー、開幕!

感想・レビュー・書評

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  • その昔、天が王の証として四つの玉を与え、地上に四つの王国が生まれた。
    【天下四国】を舞台にした中華風ファンタジー。

    そのうちのひとつ、南の徐国の王は、反乱軍に攻め滅ぼされる間際に譲位の儀式を行った。
    優れた資質を持つ幼い王太子・寿白は、天の使いである天令の立ち合いのもと、王の証・王玉をその胸の内におさめ、徐王となって王都を脱出。
    苦難の末、生き延びるため飛牙と名を変え、口八丁手八丁の優男となった寿白は、徐に戻ってきた。
    “王の務めを果たさないのなら王玉を天に返せ”と主張する天令・那兪を伴い、荒れ果てた王都へ向かう。


    『裏閻魔』が良かったので、おぉ、こんなの書いてたんだ!と喜んで手に取った。
    中華風ファンタジーといえば『十二国記』や『彩雲国物語』などの傑作が既にあるので、新鮮味は正直それほどでもないが…
    飛牙をはじめ、堕天令の那兪、黒翼仙となった裏雲たちの、それぞれの思いに囚われ、思い悩みまくるキャラクターには魅力がある。
    これから他の三つの国を巡る旅の物語になるのだろうけれど、国ごとの特色や飛牙の持つ獣心掌握術が物語の中でもっと活きてきたら、面白くなってくるかも。

  • 図書館本。
    中華風ファンタジー。
    4国にそれぞれ天に選ばれた王がおり、王は天令によって玉を与えられることで正式な王と認めれられる。これは迎玉という。
    天は人の世に関わらない。

    今作はその一国の若い王を巡るお話。
    絵付きでイメージがつきやすい。かの有名な十二国記に似ている内容ではあるけれど…比較的に読みやすいし、トントン話が進む。ので途中で飽きはしないが先がなんとなく読めます。
    文学的な意味では十二国記のほうが奥が深いような気もする。
    軽く読むならこちら、もっと深くファンタジー読むなら12国記なのかな。私はこちらの方が好きかな〜

    中村先生は大国主命と少彦名命の2人をモデルにしたと書いていて、なるほどと思った。

  • 十二国記に似ている、というレビューを見てむしろ気になっていました。確かに似てる。特に最初の地図はちょっと他になかったのかとは思うけれど、内容については似ていても気にならない。
    昨今はネット小説に限らず商業用であってもテンプレだなとしか思えないほど同じような設定・同じようなキャラクター達・同じような展開なのが目立つのだから、この程度は別に、と思う。ただ、十二国記という独特であまりにも魅力的で多くのコアなファンを持つ作品に似ているからパクリだと言われるだけではないかと。十二国記の雰囲気とはいかないまでも、最近はやたら中華風ファンタジーが多いですが、それらと変わりないでしょう。

    天意が国を分け、王を定めた。
    国の始まりは十二国記同様だとしても、あちらの世界は今でも天意を盲目的に信じて(一部の神仙は除く)いるけれど、こちらの徐国は今となっては天意などまったく人々に浸透していない。まずそこにひきこまれました。長い時の間に色んな事を忘れ失っていく。それが人として当たり前なのだから。玉を奉じている高位の役人ですら天意が何かはっきりわからない。
    国が終焉を迎えるその時に幼い寿白が迎玉を成したものの、民たちは何もわからず何となくの噂しか知り得ないのでやはり天意を感じることもできない。
    王となった寿白自身も天意が感じられず逃亡生活の果てにあぁなってしまったのが、とても人間くさくていい。
    天意とは何か。天令ですらはっきりとは言えず、曖昧なまま、結局人々の意思で国が動いていく。人情的でいい。

    似ている設定ではあっても、全く違う物語。私はどちらも好きです。こちらは四つの国の分で話が終わるようですが、国として成っている四つ以外の異境には、物語はないのかな。

    序盤から中ほどまで随分ふわふわと引っ張った割には、終わり方が急展開すぎるかな、と思いました。寿白として国に残ることはないとは思っていたけれど、うん、何かあっさり放り投げた? 民もその説明で納得できるの?
    裏雲への対処はそれでいいのか、とか思うし、冒頭の人物紹介で裏雲が訳ありだとあるのですぐに正体はわかってしまったし。庚の王太子が登場してすぐ、王后が「女には何としても生き延びないといけないときがある」みたいな心の声があったから、まぁ、すぐにわかるよね、背景が。
    この辺りが雑に感じてしまったので、そこだけが残念。

    国を立て直すことなく他へ旅することにした飛牙には、今後どう天意などに関わることになるのだろう。続きが楽しみです。

  • 十二国記と似ている。とあったので読みました。
    むしろ十二国記という言葉がなければ読まなかったのではないか――と思います。
    似ていると言われれば似ているが、違うと言われれば違う。
    ファンタジーって結局どれも根本は変わらないので、どのファンタジーも似たり寄ったりになってしまうものなのかなと思うので特に問題ないかな、と思います。雰囲気が似ている――だからなんなの?面白ければよくない。って思いました。
    でも、読んでみて、パクリとは違うと思います。主人公は四巻ずっと変わらないし、一人が四つの国を見て回るという形なので、十二国記と言われると肩透かしを食らうと思います。
    国があって、天があって、王がいる。そして地図。作り込まれていれば何でも十二国記かと言われると、ちょっと違うかな、と。これはこれで面白かったです。最後の決断が個人的に気に食わなかったので★4です。実際には3.8といったところかな。

  • これからの物語なのだろうけど、
    その「これから」に興味が持てないという…。

  • 天は意思。実体のないもの。
    だけど天令は実体を持つ。
    実体を持ってしまった以上は、天と同じ存在ではいられない、自らの意思を持っているのだから。
    それは、王も、そしてその忠実な臣下も同じ。
    自分に与えられた役割を理解していても、行動するのは自らの意思。
    迷いもする、ブレもする。
    だけどただひとつ。
    それぞれがそれぞれに精一杯生きる中で行った選択であることは間違いがない。
    弟さんに天の祝福あれ。

  • 生き延びた王太子は、かなり変貌して戻ってきた。彼の中の「玉」を取戻しに天からやってきたのは……。王太子のいぎたなさが痛快。もっと評判になっていいと思うけど、X文庫まだ読んでいる人があまりいないかなあ……。次も読んでみよう。

  • 寿白こと飛牙は、なかなか壮絶な人生を送ってるな。
    王太子としてずっと温室育ちだった幼き寿白には、王都を落ちてから趙将軍が自刃するまでの間本当に辛かっただろうなあれは。
    よく発狂しなかったもんだよな。
    趙将軍は最後の最後、英断とはいえ、少しだけ狂気も孕んでいたようにも思えた。
    ようやく死ねる、と。
    それからの寿白がどう過ごしたのか詳細に描かれていないから、すごく気になる。
    南の国、未知なるものが治めた国で一体どんな10年を過ごしたのか。

    悧涼こと裏雲も壮絶な人生を送ってたんだな。
    黒翼仙になってしまうほどに…。
    でも、白翼仙の人もきっと裏雲がどうするのか分かっていたと思う。察していたというか。
    裏雲、本当に寿白のことが大切で大切で大切なんだよな。
    だから、黒翼仙になる道を選んだ。
    仕方のないことだったと簡単には言えないけど、でもどうしようもなかったんだよなぁ。
    裏雲を助けられる術があれば良いのだけど。
    飛牙がきっと見つけてくれるような気はする。

    那兪可愛い〜!!
    ツンツンツーンだったのにどんどん飛牙に絆されていくのが可愛かった。
    飛牙に干渉してしまうのは分からなくもないけどな。
    特別なんだよな飛牙は。天令にとっても。
    迎玉出来る王なんてそうそういないだろうから、それだけに自分が天令のときに迎玉出来た王である飛牙には思い入れもあるよなぁ。
    天に戻れなくなってしまったのは可哀想だけど、これから飛牙と一緒に旅をするのだと思うとその様子が楽しみ(笑)

    この間完結したみたいだから、ゆっくり読んでいこう。

  • 色々と意見はあるけど、読んでみて損はないと思う。

    確かに最初の地図はちょっといただけない。王と天令っていうのもたしかに某小説を想起させる。

    けれども既刊の本3冊を読んだ感想としては途中からは全く気にならず別の小説として楽しめました。
    一巻を読んでもういいや、っていうのは勿体無いかと。1巻よりも2・3巻が面白かったので。

  • 王のしるしである玉を身体に宿した亡国の王が零落した姿で故国に帰る、と粗筋から言えばそうなるのですが…裏表紙の解説風に言えば『すれっからしに成り果てて』の帰還です。
    天から与えられた玉をすれっからしの王から取り戻す役を与えられた天令と呼ばれる少年の姿をした使いと共に色々と巻き込まれたり飛び込んだりの物語。
    結末は何となくそうなるのかな、と思った通りでやや物足りなく感じました。

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著者プロフィール

秋田県生まれ。『裏閻魔』で第1回ゴールデン・エレファント賞を受賞し、デビュー。他の著作に『陰陽師と無慈悲なあやかし』『なぞとき紙芝居』「夜見師」シリーズなど。秋田県在住。

「2022年 『異邦の使者 南天の神々』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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