見えないアメリカ (講談社現代新書)

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著者 : 渡辺将人
  • 講談社 (2008年6月17日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062879491

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見えないアメリカ (講談社現代新書)の感想・レビュー・書評

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  • 2008年刊行。保守とリベラルで大きく色分けされる米国の国民性。その2項対立的な分析枠組について、地域による色分け(南部と都市部)、宗教等から検討し、一方、大衆化が亢進する現代の特殊性をメディアを切り口として検討。著者はジョージ・ワシントン大学ガストン・シーグル研究センター客員研究員。

  •  日本人でありながらシカゴで政治を学んだあと、民主党の議員事務所で集票戦略を練る仕事をしたという著者ならではのアメリカ政治についての解説。「保守」と「リベラル」に単純に分けられない事情を、具体的なエピソードも交えて分かりやすく解説している。
     アメリカでの経験があるから書けることがたくさん載っており、単純な二項対立で終われない微妙な部分をうまく解説しているところがとても良かった。共和党=保守、民主党=リベラルには決してならず、保守とリベラルの中にスペクトラムがあって、さらに土着保守、土着リベラル、アカデミック保守、アカデミック・リベラルといった志向の違いがあり、様々なアジェンダについて賛成から反対、中立、無関心など多くのパラメーターが設定された結果、現実は多様で、その多様性が「保守」と「リベラル」というイデオロギーの陰に隠れてしまう「見えないアメリカ」ということがよく分かった。
     実社会での経験があるからこそ、という部分で言えば、まず「いちばんやってはいけないのが、黒人英語や黒人のラップを表面的に真似ること」(p.134)で、政治現場で「安易なリベラル思想で気楽に扱ってはならないアンタッチャブルな聖域」(同)らしい。人種問題は日本人が想像できない奥深い部分があることが分かった。あとこの本を読んで得るところが大きかった部分は「原理主義」についてだ。「何かひとつの原理に忠実にありたいという姿勢のこと」(p159)が原理主義で、「アメリカでは、なにかひとつのことを信仰することにかけては、特別な重きがおかれやすい」(p.178)ことと相まって、結果として色々なイシューをめぐって原理主義になってしまうということは納得できた。「アメリカでシングルイシューにのめり込むときに、はたしてどこまで原理主義とは無縁でいられるだろうか。」(p.177)、「宗教右派を軽蔑する人」も、「彼ら自身が別の原理主義にとらわれていることはないか。」(同)という疑問は納得だった。そして、「見えざる公共性」に目をみひらく(p.181)ことの意義まで述べてあって、一応の解決のための姿勢まで示されているのが良かった。他にも選挙のキャンペーンは内側に向けてのものであり、棄権させないためであるとか、銃規制が進まないのはハンティング文化の影響であるとか、今までにない視点が得られたのが有意義だった。(16/07/21)

  •  日本人が抱くアメリカに対するイメージは人に様々だ。ハリウッド映画、自由の国人種問題、軍事大国、覇権国家etc…。多種多様なイメージが錯綜して実態は容易には見えない。
     政治的にはよくリベラルと保守の二項対立が語られる。確かにアメリかは二大政党制で民主党と共和党はリベラルと保守掲げている面もある。しかし政治に関心のある層とない層、宗教に熱心な層、そうでもない層など党内の中にもさまざまな断裂がある。
     アメリカは複雑で見えないことが多いが見えないことを認識して見えるアメリカから推測することはアメリカを理解する上で確かに有効だ。

  • アメリカの「保守」と「リベラル」の単純ではない様相を、著者の実体験も踏まえて、多角的に描いている。リベラルはスターバックスを好むというように、特定の商品や店と保守、リベラルが結びついて捉えられていること、共和党=保守、民主党=リベラルではないということ、アメリカの保守、リベラルには、アカデミック保守とアカデミック・リベラル、土着保守と土着リベラルがあるということ、反「中央政府」ポピュリズムの根強い伝統があることなど興味深い内容が多かった。ただ、記述が随筆的で、全体的にやや散漫な印象は受けた。

  • 『スターバックス』に行く人はリベラル、『クアーズビール』を飲む人は保守的という傾向があるのは確かだと思いますが、クアーズについては、その創始者のことについて知っている人はそれほどいないはずです。

  • 地元の図書館で読む。非常に読みやすい文章です。ワシントンに関する解説は、納得できません。それに対して、南部の解説は面白かったです。反中央ですか、面白いですね。

  • 著者の最新本、「分裂するアメリカ」を理解するために、アメリカ政治の基礎的だと評判のこの本を選びました。すごく複雑なアメリカ政治が、なんとなく形が見えてきます。

    シングルイシュー固執や宗教、ドラマや雑誌まで、政治色が強いなんて、日本人の私から見たら息苦しいけど、自由主義を貫いた結果の貧困や移民、差別とか日本よりもっと深刻な問題があるからこそ、みんな真剣なんだなと感じた。

    とくにキャッシングの重要性の部分で、2年前に住んでいた町が廃墟になっていたり、高速度道路の出口を一つ間違えたら、別世界に来てしまうなどはリアリティーがあって読み応えがありました。


    この本で基礎的な部分をひと通り理解したら「分裂するアメリカ」はもっとリアルで面白いと思います。私は分裂のほうが好きです。

  •  本書は、アメリカという国家の内実を詳しく描いている。その姿は一般に知られているよりも多くの顔を持ち、著者はそれを「多様性」と表現しているが、全体像はわかりにくいと感じた。
     本書の「保守とリベラル」「都市―移民のシェルター」「南部―怒りの独立王国」「信仰―共同体にひそむ原理主義」、どれもがアメリカの一面であり、アメリカの顔なのだろう。それぞれの現状は、本書によってある程度はわかったような気持ちになるが、これらへの分析や考察がちょっと不足しているように感じた。
     それぞれの国には独自の文化や歴史があり、それにより個性的な国民性が形成されていると思う。アメリカにも一般に語られる「自由」だけではなく、独自の文化的特性があることが、本書でよくわかる。
     一般に新書の終章では、それまで明らかにされた内容から結論を引き出すことが多いのだが、本書での終章「自由主義―アメリカ精神の奥底」は、わかりにくい。本書ではアメリカの多様性は描かれているが、それが何を意味するのか、それが何を生み出しているのか、それが歴史的にどういうことなのかの考察が少ないと感じた。その意味で、読後にちょっと物足りない不満感を感じた。残念な書である。

  • アメリカではスターバックスはリベラルな人が行くところ。
    国際政治理論におけるリアリズムの国益は狭く定義されがちなので、まさに孤立主義と同じ結論に結び付く。また平和主義とも一致する。
    エスニックメディアが発達したことによって英語が話せなくても生活できるようになってしまった。
    保守の人をリベラルに、リベラルの人を保守に転向させることまでは選挙キャンペーンの目的とはしていないのである。
    これは空中戦といわれるテレビCMの世界でも地上戦といわれる動員戦略の中でも共通していることである。
    アメリカでは宗教を軸として大学選択をすることが多い。ジョージタウンはカトリックで優秀な学生はハーバードに行かないで、ジョージタウンに行く。モルモンはブリガムヤング大学に行く。

  • 日本にいて外から見るだけでは知ることのできない「アメリカ」という国の持つ側面について,ちょっとだけでもうかがい知ることができた

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見えないアメリカ (講談社現代新書)の作品紹介

アメリカ人はみんなワシントンが嫌いだ!日本からはわからないその意外な素顔。スタバ好きはリベラル!?知らないアメリカ発見の旅へ。

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