わかりやすく〈伝える〉技術 (講談社現代新書)

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  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880039

作品紹介・あらすじ

テレビの現場で培ったノウハウをすべて公開。

感想・レビュー・書評

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  • 帯には15万部の大ロングセラーとある

    短い時間で、的確にものごとを伝えるためのノウハウ

    気になった言葉は以下です。

    ・わかりやすい説明とは、相手に「地図」を渡すようなものだと考えている。
    ・それぞれの項目の冒頭に、短い文章で中身の紹介があります。これが、「リード」です。前文という意味です。

    ・放送や新聞では、「記事は逆三角形に書け」と言われます。
     1 こうゆうことがありました リード
     2 詳しくは、こういうことでした 本記
     3 それはこういう理由でした 理由・原因
     4 警察などが調べています 見通し
     5 ちなみにこんなこともありました エピソード
    放送で原稿を削らなければならないときは、文章の最後から切っていきます。逆に言えば、削られても大勢に影響のないような内容は、文章の最後に回せ。です。

    ・話をしたいという事柄を箇条書きにしてみましょう。箇条書きにすることによって、自分が言いたいことが整理されます。その言いたいことがリードになるのです。
    ・何か報告しなければいけないとき、事前にまわりの人に「こんなことがあってね」としゃべってみることによって、話すべき内容が整理されることがあります。しゃべった相手の反応を見て、「そうか、こういうしゃべりでよかったんだ」などと判断することもできます。これが、「しゃべることによる対象化(見えるか)」です。
    ・さらにもう一つ大事なキーワードがあります。「階層化」です。階層化とは、話したい要素ごとにそれぞれ複数の柱を立て、枝分かれさせていく作業です。

    ・どんなレベルの人に向けて説明するのか。対象の読者をきちんと設定しないと、解説は意味をなさない。誰にむかって話をするのか、解説をするのか。まずは相手のことを考えることから始めなければなりません。

    ・パワーポイントに文章をたくさん書き込むことはやめ、大事な要素、まさに文字通りのポイントだけを記し、後はあなたの声でそのポイントを補足するコメントを述べればいい

    ・キャスター時代に学んだことは2つ。①自分が最初の視聴者になって考える。②なんでも図解してみる。です。

    ・テレビで読み上げるのはたった1回。1回で理解できなkれば意味がありません。

    ・伝えたいことがいっぱいあるときは、「荷物を小分けにして、一つずつ運んでいこう」

    ・論理的に筋が通っている文章はわかりやすい。文を短く分けても、破綻をきたさない
     一方、論理的な流れになっていない文章ですと、文を短く切っただけでは、使い物にならない。

    ・間違っていたら率直にその場で謝る。

    ・「無知の知」とは「自分が知らないということを知る」という意味です。

    ・「自分が理解できない原稿を読ませるんですか。あなたが理解できるように原稿を書き直してからもってきてください」自分がそのことを本当によく知っていないと、わかりやすく説明できない。
    ざっくりと説明するなんて、とても恐くてできませんでした。本当によく理解している人は、大胆に省略できるからです。何を話すかではなく、何を割愛するか、ということも大事なこと。全体像が頭に入っていないと、落とすべき要素も、選択ができない

    ・わかりやすい説明をする上では、「絶対に必要な情報」と「あってもなくてもいい情報」を峻別し、「絶対に必要な情報」だけを伝えること

    ・パワポによるプレゼンに大事なのは、ひと目でわかること

    ・メモの長さは、30分までなら、A4で1枚。パワポであれば、1枚40秒を目安に。

    ・ポイントは、3つに絞る。3の魔術

    ・一度、リハしないと、実際に予定通りにいくかはわからない。

    ・しゃべり上手な人 ①ズバリひと言で本質を突いたことをいえて、それを補足することが上手な人 ②奇抜でないが、ありきたりでもない。違う観点から「へぇ」という新しい観点から提示してくれる人。

    ・ここにきたからこその話が聞ける というお得な気持ちを持ってもらえるようにプレゼンをする。

    ・つなぎのことば
      ところで 不用意に使うと、前の話はなんだったの?となる
      話はかわるけど 話の腰を折られることになる
      こうした中で 前と後ろの文章を論理的につなげないときの苦しいごまかし
      いずれにしましても 話を強引に終わらせる
      言い換えれば ①自分はこういっていってるが、こういう見方もできるということ ②同じことを別の言葉を重ねることで強調する

    ・話は簡潔に、突っ込みを入れられるような表現はさける  「〇〇します」は◎。「〇〇したいと思います」は× しかも長い

    ・子どもへの説明 私たち大人の常識が子どもには通用しない ⇒ 暗黙知のギャップ という

    ・目で見てわかることということ、耳で聞いてわかることはまったく別の話。

    ・長い修飾子を付けないこと。わかりにくくなる

    ・専門用語をどこまでかみくだくか
      ①専門知識をもつ人 そのままでかまわない
      ②一般の人     一つ一つ言い換えて説明
      ③子供       さらにかみくだきます

    ・聞き取りにくい話し方をすることを「滑舌がわるい」という。

    ・情報を集める ①愚直に集める ②読んで使えそうなものはスクラップ ③新書は入門書

    ・頭の中にあった別々の用語の関係がつながった瞬間、「あっ、わかった」①自分が理解する ②他人に説明ができるほど理解する。

    ・わかりやすい説明をするには、インプットだけではだめ、実際に自分で説明してみれば何が足りないかがわかる。

    ・結論

     たどたどしくてもいいので、人の心をつかむ話し手になってください。
     あなたらしい、個性的な話し方を生み出してください
     自分はどうして話が下手なのだろうという自問自答をくり返すこと、謙虚な気持ちを忘れないこと

    目次

    はじめに

    第1章 まず「話の地図」を相手に示そう
    第2章 相手のことを考えるということ
    第3章 わかりやすい図解とは何か
    第4章 図解してから原稿を書き直す
    第5章 実践編 三分間プレゼンの基本
    第6章 空気を読むこと、予想を裏切ること
    第7章 すぐ応用できるわかりやすく<伝える>ためのコツ
    第8章 「日本語力」を磨く
    第9章 「声の出し方」「話し方」は独学でも
    第10章 日頃からできる「わかりやすさ」のトレーニング

    おわりに

  • 私は職場において、年に5回程度の研修の講師を行うことがある。
    あがり症であり、話下手な私が30人程度を前にして講師を行うのはかなり大変な思いをしている。

    著者の池上彰氏は、テレビでもわかりやすい丁寧な説明をしてくれており、参考にさせていただこうと思い、読むこととした。

    まず、「リード」=「話の地図」を作成することの大切さに納得。
    私の場合、目次に沿ってその内容を示すようにはしているが、リードといえるかは疑わしい。
    最初の掴みとともに大切にしていこうと思う。

    このリードによって全体の流れ、構成がしっかりできるわけで、その点においても重要なポイントとなろう。


    次に、文の一つ一つの長さ。
    あまりに長く、修飾語ばかりだと、聞き手にとって理解しづらいものとなる。
    話し手にとっては意外と気づかない点であるので、ぜひ気をつけていきたい点である。

    研修の講師ともなれば当然、内容についてはしっかり理解して、何を聞かれても回答できるはずであるものの、実際に説明しようとしたときに、思うように説明できないこともある。
    自分は分かっていたつもりでも、相手にわかるように解説できないということは根本から理解できていない証拠である。
    この本の中でも著者の経験が書かれている通り、注意していきたいし、自分の知識を確認するうえでも役立てていきたい。

    また、原稿を書かずにメモを作ること。
    これはその通りだと思う。
    実際に人前で話すときは、原稿を書きたくなるのであるが、原稿を書いてしまうとついついそれを読んでしまい、途中で詰まるとかなりあわててしまう。

    メモであれば、話すことは自分で考えながらなので、意外とスムーズにできるもので、私も経験している。
    まずは原稿は作るが、講義の場では使わないようにしている。

    そして「三の魔術」
    実際に使わせてもらった。
    使いこなすには技術も必要だと思うので、まだまだ生かし切れていないと思うが、確かにちょうどいい数ではあると思うので、選ぶべき3つの事柄をしかkり選べるようにしたいものである。

    最後に使うべきではない言葉。
    「そして」「ところで」「話は変わるが」。
    私もよく使っているように思う。
    確かに話は変わるようでは、使えたいことをしっかり話せていない証拠である。

    何を話すべきで、何を伝えたいのか。
    図を利用しながら、わかりやすく伝えるための技はシンプルではあるが、使いこなすのは結構大変である。

    事前に人に聞いてもらって、ちゃんと評価してもらうことは必要であろう。

    これからも人前でプレゼンを行うことも多くなると思うので、いろいろ試しながら自分のものにしていきたいと思う。

  • まずは反省させられた。
    以前から池上さんの話はどうしてこんなに解りやすいんだと感心していた。なるほど!と感じるところもあるし、既出のノウハウもたくさんある。伝える技術を洗練させてゆくためには、何よりも伝えたいという熱意が必要なのだということ。また、人に伝えるためには、理解、知識が十分であることが求められる。これまた反省。

  • わかりやすく<伝える>技術をわかりやすく伝えてくれる本だ。実用書だからということを差し引いても、さくさく読めて、腹落ちする点がいくつもあった。さすが池上彰氏だ。

    本書でもっとも参考になった点は、わかりやすい話をする上で大切なのは、地図→対象化→階層化→地図...という流れであるということだ。まず、伝える相手に内容を一言でまとめるリードを示す必要がある。そのためには、話す内容を対象化しなければならない。箇条書きなどで対象化した内容を階層化することで、整理ができる。階層化により整理されたものは、わかりやすい地図になっている。このシンプルな流れで全体像を明確に示すことができる。
    以前、私は会社で報告書を作成するとき対象化と階層化を同時に行っており、うまく階層化ができないときがあった。そうではなく、伝えたいことを先にすべて書き出して、その後で階層化を行うべきだったのだ。本書のおかげで資料作成が以前より楽しい作業になった。ありがたい。

  • 久々の岩隈の本が面白かったので、もう1冊読んでみた。今回はTVでよく見る池上さんの本です。『主人公は聞き手』というよくあるフレーズを最初に取り上げた後は、NHK時代から築きあげてきた技をご紹介っといった内容です。使える内容も多いので、ちょっとでも話がうまくなれたらって思いますね。

  • 池上彰さんの話は経験に基づき咀嚼されていて大変分かりやすい。
    そんな池上彰さんによる分かりやすい伝え方の教科書。

    記者時代からキャスター時代、そして子供ニュース時代を経て現在に至るまでの自身の経験に基づき書かれている。

    プレゼンの技術や、資料の使い方、間の置き方など多岐にわたって書かれているので大変ありがたい。

    それにしてもこの本のタイトル、本自体がわかりにくかったら話にならないけど、わかりやすい説明をわかりやすく書いている所は流石。

    自分のことを話し上手だと思っている人よりも話し下手だと思っている人の方が努力したり調べたりするので、
    人は感動するという所は納得しました。

    自分自身も驕らず努力を続けていきます。

  • すばらしい!!
    内容をどれだけ実践できるかは分かりません。

    今回の衆議院選挙後、下記のコメントをされています。

    ”(石原慎太郎氏へインタビューする際に)「パプアニューギニアやフィリピンを北朝鮮と同列に語るから、暴走老人と呼ばれるんじゃないですか?」
    (橋下徹氏に対して)「原発に厳しい意見を言っていたのに、石原さんと組んだ瞬間に意見が変わっていませんでしたか?」
    (安倍晋三氏に言及)「首相退陣時の記者会見では、体調不良に一言も触れていませんでしたよね?」
    (鈴木宗男の娘・貴子氏に向かって)「お父さんが出れなかったから、代わりに出たんですよね?」
    (福島瑞穂氏に痛烈なひと言)「社民党と共産党、政策が似ているのに、なんで一緒にならないの?」

    それでも、つっこみがないのは分かるような気がしました。

  • 話すべき内容を箇条書きにしてみよう。
    その箇条書きに基づいてリードを作る。
    今度は箇条書きの内容がそのりード通りになっているか検討する。

    世界各国にいるスパイの情報源も90%以上はその国の公開情報。誰もが入手できる情報を分析することで情報をインテリジェンスに加工して本国に送っている。

  • 仕事で人に説明する機会が多くあるのに分かりやすい説明をできないので興味を持った。分かりやすさに定評のある池上さんに少しでも近づきたいと思って。
    相手が分からないことが何かを知ることが大切。相手のレベルに合わせて説明を変えなければいけない。当たり前のようでできていなかった。あとはテクニック的なことも書かれていたが、分かりやすい説明はどういうものか考え抜くことが上達の秘訣のように感じた。
    身近な話の上手い人を見つけて勉強したり自分の説明の至らない点など考えていきたい。

  • とてもわかりやすく伝え方の方法が記されている。
    子どもに物を教える時にどのように工夫したら良いか、これから実践して見ようと思う。

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著者プロフィール

池上彰(いけがみ・あきら):1950年長野県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、73年にNHK入局。記者やキャスターを歴任する。2005年にNHKを退職して以降、フリージャーナリストとしてテレビ、新聞、雑誌、書籍、YouTubeなど幅広いメディアで活躍中。名城大学教授、東京工業大学特命教授を務め、現在9つの大学で教鞭を執る。著書に『池上彰の憲法入門』『「見えざる手」が経済を動かす』『お金で世界が見えてくる』『池上彰と現代の名著を読む』(以上、筑摩書房)、『世界を変えた10冊の本』『池上彰の「世界そこからですか!?」』(以上、文藝春秋)ほか、多数。

「2023年 『世界を動かした名演説』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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