はじめての言語ゲーム (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
3.42
  • (20)
  • (56)
  • (69)
  • (11)
  • (8)
本棚登録 : 656
感想 : 71
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062880046

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2000年以上にわたり論理学の教科書であり続けるアリストテレスの『オルガノン』p26

    記号論理学
    フレーゲ『概念記法』

    ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』
    「写像理論 picture theory」:世界(出来事の集まり)と言語(命題の集まり)はぴったり一致している。p71

    【『論考』のエッセンス】p74
    ①世界は、分析可能である。
    ②言語も、分析可能である。
    ③世界と言語とは、互いに写像関係にある。(同型対応している)
    ④以上、①〜③のほかは、言表不能=思考不能である。
    「世界は、言語があるようにあり、言語は、世界があるようにある」p88

    マタイによる福音書21章42節
    Jesus said to them, "Have you never read in the scriptures: 'The stone that the builders rejected has become the cornerstone, this was the Lord's doing, and it is amazing in our eyes.' p111

    『哲学探求』
    「言語ゲーム language game」:規則(ルール)に従った、人々の振る舞い。p116
    ・家族的類似
    Eg. 足し算を理解すること

    「逆スペクトルの懐疑」:色についての感覚が、人と逆さまになっているのではないかという疑い。p127

    「数列」「考えるな、見よ」p133
    数と言葉は同じ起源を持つ。

    「...根拠を求める営みには終点がないかのようである。だが、根拠のない前提が終点になるのではない。根拠なき行動様式、それが終点なのだ」「確実性の問題」

    【言語ゲームと論理学】p170
    ①世界は、無数の言語ゲームの渦巻きである。
    ②言語ゲームの全体については、のべられない。なぜなら、それ自身が新しい言語ゲームになるからだ。
    ③個々の言語ゲームについてなら、のべられる。これを、論理学という。
    ④論理学は、もとの言語ゲームの効力に影響しない。

    Cf. H.L.A.ハート『法の概念』p172
    「法のルール説」vs「法の命令説」(ホッブズやマルクス・レーニン)

    【あとがき】
    ウィトゲンシュタイン=星の王子さま?


  • 論理学の初歩から、分かりやすい言葉で教えてくれます。

  • 素晴らしい本。ヴィトゲンシュタインの思想が良く理解出来た。言語ゲームという視点から人生を楽しむ事が出来そうだ。生まれてからエイリアンの哲学をしていた自分にも気付けたw 人間とはなにか?自分は人間なのかどうか?みたいなことを考えてしまう人間に送りたい。著者の橋爪氏に心から感謝したい。もちろんヴィトゲンシュタインにも感謝。

  • 息子が大学図書館で借りてきた。

  • 逗子図書館で読む。興味深い本でした。哲学関係の本であるにかかわらず、読みやすい本でした。この哲学者の論理性は、工学出身のせいだと思っていました。しかし、この本によると、工学とは無縁だったようです。また、代々のブルジョワジーではないんですね。一代の成り上がりなんですね。名門一族というのは嘘であり、成金なんですんね。本体はもう一度読んでみたいと思います。それだけです。

  • ヴィトケンシュタインの話。禅問答に近い印象

  • 難しい。

  • ヴィトゲンシュタインを題材に、言語ゲームという考え方を紹介している。ゲームという名前にだまされそうだが、遊ぶゲームとは関係ない。

  • 言語ゲームというものを初めて知るという立場からすると何となくのイメージはつかめるが、詳しいところは良くわからない。
    論考の概略説明も、元々が難解なのは仕方ないにしても、単純化しすぎの様に思う。対角線法の説明は1ページ割かれている程度だが、これだけ見ても自分には理解できないと思う(事前の知識があったから何とかわかる)。
    ヴィトゲンシュタインが生きた時代背景を交えて、思想的な側面をさらうことができたのは良かった。

  • ヴィトゲンシュタイン(この本の表記では「ヴィ」となっていました。一般的には「ウィ」のような気がします)の、伝記と、前期『論理哲学論考』 ・後期『哲学探究』 の哲学の解説が前半で、後半に「言語ゲーム」の応用が載っています。

    とても良い、役に立つ、読んで損のない本だと思います。

    ★★★

    「言語ゲーム:規則(ルール)に従った、人びとのふるまい」本書によると、言葉が通じる理由について、ヴィトゲンシュタイン前期では、世界(出来事の集まり)と言語(命題の集まり)は1対1対応しているからと考えていたそうです。

    しかし、同じ言葉でも、石工がその助手に向かって「ブロック」と怒鳴れば、助手はブロックを持っていき、「柱」と怒鳴れば柱を持っていくことから分かるように、石工と助手との間では「ブロック」という言葉は「ブロックと言う物体」を意味しているのではなく、「ブロックを持って来い」という意味で使っていて、しかも、お互い不自由していないわけです。

    これは、「建築材料の名前を怒鳴ったらそれを持っていく」という規則(ルール)が石工と助手の間で成立しているから言葉が通じていると考えることができます。

    つまり、ある世界(ここでは石工と助手の世界)を理解したかったら、じっと彼らの「ふるまい(の一致)」を観察して、彼らがどのような「ルール」にしたがっているかを理解することが大切ということになります。

    筆者は、

     異なった歴史と伝統をもち、異なった価値や意味を支えている人びとが、この同じ地球上に生きている。そして、共存の道をさぐっている。
     共存は可能か。異なるグループの異なる価値観が、衝突するとすればどういう場合か。その原因を理解し、どう調整し、どう解決すればよいのか。……。
     地球上に生きるすべての人びとが、平和にまた豊かに生きていける、その条件とはなにか。そして、そのためにいま、何をすればよいのか。……。
     そうした現代の課題を考えるのに役立つのが、言語ゲームである。
                 *
     まずやるべきなのは、異なった伝統、異なった文明に属する人びとがどうやって生きているか、そのアウトラインを記述することである。
     言語ゲームには、人びとのふるまいの一致である。その背後には、ルールがある。ルールを記述し、ルールとルールの関係(ゲームとゲームの関係)を記述していく。
     つぎにやるべきなのは、異なった伝統、異なった文明に属する人びとの従うゲームのルールを、互いに比較することである。そして、矛盾や衝突がないか、調べることである。
     あるゲーム(たとえば、民主主義)が、ある文明から別の文明に(たとえば、アメリカから日本に)移植されると、もととは違った性質をもつことがある。それはなぜかも、解明しなければならない。
     その次にやるべきなのは、それらをよりよくつくり変えていく提案をすることだ。そして、実際に、人びとが新しい(前よりもちょっとだけ違った)ゲームを生きはじめることだ。
     そうやって、世界がいくぶんか生きやすくなったなら、言語ゲームの考え方が人びとの役に立ったことになる。

    といいます。

    今、私は、テストの仲間たちと、智美塾で、各種テスト技法を並べ整理し、比較し、それらを現場で有効に適用してもらうための土台をつくるということをしています。

    そのような方法論(実際には、方法論を作るための方法の整理や、方法論を自分の課題に適用するための方法ですが)の確立には言語ゲームの考え方の理解が役に立つのではないかと思いました。

全71件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

橋爪大三郎(はしづめ・だいさぶろう):1948年生まれ。社会学者。大学院大学至善館教授。東京大学大学院社会学部究科博士課程単位取得退学。1989-2013年、東京工業大学で勤務。著書に『はじめての構造主義』(講談社現代新書)、『教養としての聖書』(光文社新書)、『死の講義』(ダイヤモンド社)、『中国 vs アメリカ』(河出新書)、『人間にとって教養とはなにか』(SB新書)、『世界がわかる宗教社会学入門』(ちくま文庫)など、共著に『ふしぎなキリスト教』『おどろきの中国』『おどろきのウクライナ』(以上、講談社現代新書)、『中国共産党帝国とウイグル』(集英社新書)などがある。

「2023年 『核戦争、どうする日本?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

橋爪大三郎の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×