- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062880169
感想・レビュー・書評
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職場は感情で変わる (講談社現代新書)
2009/9/17 著:高橋 克徳
著者は㈱ジェイフィール執行役員。大学院卒業後、㈱野村総合研究所、ワトソンワイアット㈱を経て、㈱ジェイフィールの設立に参画。人間本来の力が輝く経営の実現を支援すべく、人材育成・組織改革手法の開発や研修・講演・コンサルティングに取り組む。
職場の中での関係性を変えていくのは、一人ひとりの社員であり、身近な職場の仲間たちである。いくら、会社から方針や仕組が与えられても、それを実際に活かし、変わっていこうという思いをみんなで共有できなければ、何も変えることはできない。
みんなで組織という生き物、組織に働くある種の力学を学び、理解する。その上でその組織にかかわるすべての人たちを幸せにする場に変えていくために、みんなで思いを伝え合い、知恵を出し合う。そういったことが当たり前のようにできる。そんな職場に変えていくことが大切である。
この時鍵になる概念が組織全体に広まっている感情である「組織感情」であり、それをみんなが知り、それを良い状態になるようにマネジメントすることが幸せな組織づくりを助けてくれる。
本書の構成は以下の5章から成っている。
①組織にも感情がある
②そもそも感情って、何?
③組織感情をマネジメントする
④組織感情を引き出し、共有する方法
⑤良い職場、良い会社をつくろう
他人を変えることは出来ないとよく言われている。
しかし、本書でも取り上げられているように感情は伝染する。プラスの感情もあれば、マイナスもしかり、変えることが出来るのは自分。自分の思いを変え行動を変える。その時現れた感情は少なくとも周りには影響することになる。この感染する感情をプラスに変え、そしてそれを継続し続けることが組織感情を変え、そして組織を変えることにつながる。
組織感情を捉え組織を変えるということは、改善の筋道と大きな違いはない。まずは現状の組織の状況を知る。そして自分たちが理想とする組織の姿が何なのかをイメージする。そして現状とあるべき姿のギャップを問題として捉え、ひとつずつ階段を昇るようにその課題をクリアしていく。
一人では階段を昇ることは出来ないし、皆で昇るからこそ価値がある。一人で昇るのは簡単ではある。一人で皆で昇っても昇る階段は同じかもしれない。しかし、昇り切った時の達成感やそこから見える景色は一人よりは皆で昇った時の方が素晴らしいのは確実ではある。
難しいことはわかっている。
しかし、長期的かつ成長しつづける強い組織をつくるにはトップダウンのみならずボトムアップから個々人の成長や思い・行動の蓄積の積み上げでしか方法はないように思う。
具体的に明日からやることは明確ではない。
ただ、プラスの感情を長期的な目線を持ち伝染させ続けることと、協力者を一人ずつ増やしていくことからまずははじめようとしよう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
職場全体が一つの感情を共有しており、その目に見えない感情が、自分の行動に少なからず影響を与える。
本書は組織感情を整理して、良くなるための具体的な方法が書かれているのが良いと思う。
「不機嫌な職場」からの引用が多いので、そちらも読んだ方が良いのかも知れない。 -
組織には感情がある。と薄々感じてはいても、うまく言語化できなかったことを、すごくわかりやすく具体的に書いてくれていると思う。
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たとえポジティブな感情でも、その感情崩壊ラインを越さないように組織感情に気をつけて、イキイキとあたたか感情を高めていこうという内容。確かに同感。ただ、町工場的な会社ではどのように実際展開していけば良いのか?と思ってしまいました。
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組織は、そこに関わる人たちを幸せにする一つのツールでしかありません。
しかし、組織は時に人の活力を奪い、人のこころや身体の健康すら奪ってしまう。
だからこそ、そうならないために、そこに関わる人たちが自分たちの手で組織をマネジメントする必要があるのです。
序文より引用 -
同じ著者を何冊も読んだので、内容がかぶってやや飽きたが、にしても、大事なことだから何回も読んでよし。
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【MM279 mylibrary マイライブラリ・アウォード!2009 2010/1/27】
【第8位】『職場は感情で変わる』(高橋克徳著、講談社現代新書、2009年)
http://tinyurl.com/yfu3wlw
(コメント)ベストセラー『不機嫌な職場』の続編・解決編。良い組織・悪い組織には特有の組織感情というものがあり、その感情をコントロールすることで、よい職場環境を作り上げていく方法を解説しています。職場の雰囲気がどうも気になる、何とかしたいというかたにはオススメです。
参考:『不機嫌な職場』http://tinyurl.com/yausmnk -
「こうでなければいけない。」「こうあるはずだ」
という自分の中にあるものの見方、決めつけを一回緩める。
自分の許容範囲を拡大してみる。
そうすると、物の見方も変わる。
良い職場、組織にとって一番大切なこと
自分がだれかの役にたった。誰かの力になった。
そんな思いを持てる関係、つながりができていることが
組織を支えているという。
組織も感情のつながりからできている。業績が厳しい中
いろんな感情がもつれあう。それを、うまくいかすのが
マネージャーの役目でもあるのだろう。 -
<図書館で借りる>
こういう取り組みは、気がついた人たちが失敗しても粘り強くやり続けないと実現できないものなのかもしれません。。
一緒にやろうと根回ししても土壇場で手のひら返されてしまうので、しっかり巻き込んで仲間にしないといけないかもしれません(笑)
【参考なったところ】
p.15
職場の空気や雰囲気を作り出している=「組織感情」
イキイキ感情 快感情×活性状態 燃え尽き
あたたか感情 快感情×沈黙状態 ぬるま湯
ギスギス感情 不快感情×活性状態 攻撃
冷え冷え感情 不快感情×沈黙状態 ひきこもり
「感情はいらない」は間違い。 むしろ向き合うべき
「モチベーションの源泉としての感情」(p.75)
適正範囲内にコントロールしよう。
コントロールできない領域に達すると・・
イキイキ感情 → 燃え尽き感情
あたたか感情 → ぬるま湯感情
ギスギス感情 → 攻撃感情
冷え冷え感情 → ひきこもり感情
になってしまう。
p.188
理不尽なプレッシャーに押しつぶされないためには
目標だけじゃない その先の ビジョン描くこと大事
主語「自分たち」に(自分たちがやりたいこと)
p.191
職場全体でコーピング力を高めよう
コーピング=ストレッサーに対処すること
― 積極的コーピング 解決する 助けを呼ぶ
― 消極的コーピング 耐える 逃げる -
職場の感情とは、職場のメンバーが共通して持つ感情のことである。
この共通の感情をよい方向に持っていくことによって、仕事の効率を高めると共に、メンバーの精神状態もよくすることができるというもの。
人間の感情が脆いのと同様、職場のよい感情を全体で維持していくには、それなりの努力が必要である。リーダーの意識の持ち方、部下への働きかけ方が重要となろう。