- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062880657
作品紹介・あらすじ
大切なことはみんな落語が教えてくれた。江戸庶民の暮らしと知恵に学ぶ。
感想・レビュー・書評
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昔の人は神様や狐狸と言った目に見えないものの存在を信じていた。 近代化と共に忘れてしまった。
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779-H
閲覧新書 -
名著「落語地図」のように落語の舞台を歩く本はあるが、この本は落語に登場する江戸の「こと」を詳細に語っている。病、火事、花見、狐狸、蚊、棺桶、貧乏。無尽、お米、お金。
実は、今年、3月、コロナがまだそれほどでない時
何名かと飛鳥山の花見をした。その時、話の材料に落語を使った。「花見の仇討ち」と「長屋の花見」
それに「王子の狐」。だから面白くないわけがない
人間が狐にだまされなくなったのはテレビが普及した昭和40年ごろ、テレビで、人間が夜遅くでも活動しているを見て知ったことにある、としている。達見だ。また、それは狐にだましてもらえなくなった、と言う言葉がまたいい。
蚊 -
落語の背景が理解できたという意味では収穫があった。しかし、しかし、全編を通じて「である調」と「ですます調」が混在する筆致はいただけない。この違和感はあとがきまで読み進めても同じだった。また、筆者は京都出身ということで、のっけから上方落語を引用しており、江戸≒昔の東京という先入観をもって読むと、文体と相まって「え、え、ええ~」という違和感だらけになる。本のタイトルが読み手に与える影響の大きさを改めて感じた。
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なかなか面白かった。
語り手(著者)の口調が落語のようである。
落語を題材に、江戸の生活や少し昔の日本と
今の生活との違いなどが書かれている。
病気に関しての江戸の人々の考え方、
狐や狸に騙された話などは面白かった。 -
2065
目黒の田舎と秋刀魚、草深い
高田馬場駅
山くじらすき焼きとももんじゃ
金をまわす -
フロイトは「キツネタヌキに騙されるな」ような心理を未熟だというが、本書ではそれを豊さであるという、20世紀最大の科学者フロイトの知恵と江戸の知恵はどちらに共感できるかという形で読むと非常にスリリングでした。「蚊帳という結界」という着想や、無尽の話から始まる江戸のお金の話がいい。
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落語が好きなので、「江戸の気分」というものを知っておきたいと購入した次第。堀井さんの本は「落語論」「いつだって大変な時代」(ともに講談社現代新書)を読みましたが、いずれもためになる作品でした。
で、「江戸の気分」は、というと、これが現代人にもためになるのですね。
たとえば、江戸の人は、「病い」を「引き受ける」と考える。ただ、どうしようもないから諦める。「それが幸せとはいえない。でもどうにもならないことを、なぜ、私が、家族がこんな目に、と考える苦しみはそこにはない」と著者。
江戸の気分とは直接関係ないですが、本書によると、「キツネ」はかつて身近な存在だったのですね。1965年といいますから、私が生まれる8年前ですが、それまでは「キツネが人を騙す」ということが人々の口にしょっちゅう上っていたそうです。
懐旧趣味はほとんどあまりない自分ですが、現代人が「江戸の気分」から学ぶことは大いにあるのではないかと考えた次第です。 -
落語からみる江戸時代の習慣が面白い。蚊帳や早桶の話など、江戸も大阪に負けず面白い集団ばっかりと思わされる。季節に応じた楽しみ、貯金などしない日々の暮らし、貧乏でも戸がなくても暮らしていくたくましさ、悲惨な割に笑いがある。このレベルでは悲惨と考えないのかな、と思う。前向きで実直。面白い中にも、厳しい階級制度がある悲しい現実。違う階級同士は絶対に同じ土俵に立たない徹底さなど、勉強にもなる。