はじめての政治哲学――「正しさ」をめぐる23の問い (講談社現代新書)
- 講談社 (2010年12月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062880848
作品紹介・あらすじ
人命救助は私たちの義務なのか? 政治家は市民より正しいのか? なぜ定住外国人に参政権が与えられないのか? もし日本人がマイノリティになったらどうする? 貧しい家庭の子のほうが大学入学に有利になるとしたら? なぜ話し合いが必要なのか? 孤独死と幼児虐待の問題の解決策とは? さまざまな問いから私たちの社会を考えるヒントがいっぱいの入門書。(講談社現代新書)
感想・レビュー・書評
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僕みたいな素人は、原著ばかり読んでいると世界観が読めなくなる。俯瞰できるテキストをときどき読んでおかないといけない。
本書は、グローバリズム、正義、民主主義といった僕らが自然、当然のように使っている言葉を平易に「世界観」の中で広げた本である。大変ありがたい。政治に哲学のない時代だからこそ、こういう本を読んでおきたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2023.03.19 入門書の割には色んな考えが次々と出てきて理解しきれなかった。ある程度の知識がないと読みこなせないのではないか。色んな考え方があるからこそ議論が必要だということはよくわかる。相対化が進んでしまった、多様で複雑で難しい社会だと思う。
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●ベンサム「最大多数の最大幸福」
●ミル「満足した豚であるより、不満足な人間であるほうがよく、満足した馬鹿であるより不満足なソクラテスである方が良い」
●カント 定言命法 常に理性的な行動をせよ。
●リベラリズム 古典的自由主義→新自由主義→ネオリベラリズム→現代のリベラリズム
●コミュニタリアニズム サンデル リベラリズムは非現実な個人を対象にしている。歴史や共同体との関係性をもとに、善い事の議論を行う思想。
●リバタリアニズム その思想は右から左へと多種多様に分類される ベーシックインカムなど。
●どのような形のデモクラシー(民主制)が望ましいのか?ルソーは「一般意志」と呼ばれる市民の共通の意思に基づく社会契約が成立し、それによって1種の直接民主主義的な統治が可能だとしました。これは議会制度のような代表制とは異なる発想です。しかし経済学者のシュンペーターは、ルソーの言うような直接民主主義は非現実的だと言う認識を持っていました。民衆にできるのは、どの政治家に政治を任せるかを決めることだけだと主張しました。それは市場と同じだと言うのです。
●戦後西洋の先進諸国では、社会民主主義と新自由主義と言う2つの思想が占めていました。サッチャー首相やレーガン大統領など。この流れに気をとられたのが、97年に政権を取ったプレア首相の労働党でした。ギデンズの理論。
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各テーマのつながりもよく全体的によくまとまっており、政治哲学を概観するには良書だと思う。最新の思想動向まで記載されているし、参考文献も豊富なので、興味を持ったテーマから読み進めていけば深堀できるだろう。ただし、著者の主観も結構入り込んでいるので、そこは割り引いて読む必要あり。
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「はじめての政治哲学」というタイトルから、リベラリズム、リバタリアニズム、コミュニタリアニズムのそれぞれの立場を概観している本を予想していたのですが、実際には現代の政治哲学の主要トピックを23の項目に分けて簡潔に整理している本でした。どちらかと言えば、2冊目の入門書にふさわしい内容ではないかと思います。
それぞれの項目について学習を進めていくに当たっては、本書の巻末に付されている参考文献リストがよい手引きとなっています。 -
政治哲学を総花的に紹介している本。広い分浅いのであまり興味を惹かれませんでした。最初に全体像を掴むのには良い本だと思います。
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大学時代に何気なくとった授業の中でけっこう心に残っている分野。
きっと正義というごく当たり前の問題が意外と奥深いからなのだろう。
とてもとっつきやすいです。さわりとして。
疑問から始まって論理が展開されます。
かつて何らかの形で学んだこともある方も、そうでない方もオススメです。 -
政治哲学の概要を知るにはちょうどよいと思う。政治哲学のマッピングをおおまかに把握して、ここから各論に入れば理解は進むだろう。
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平易に政治哲学の全体像を解説するもの。勉強になりました。
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入門書であるが今ひとつそれぞれの理論についての説明がわかりにくいと感じた。非常に興味深い学問分野であると感じたので今後とも読み進めて行きたい分野であると感じた。