はじめての認知療法 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881050

作品紹介・あらすじ

自分の「こころのクセ」を知る。気分と行動の悪循環から抜け出す。呼吸法、睡眠法で身体をリラックスさせる。-認知療法への待望の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 自動思考に気づく
    →辛い気持ちになった時や動揺した時
    「その時にどのような考えが頭に浮かびましたか」「その時に何を考えたか」
    と、問いかける。

    スキーマ
    →心のクセ

    特徴的な認知の偏り
    ①思い込み、決めつけ
    →いつも、必ずという言葉が入っている時はまず間違いです。

    →そう考える根拠はどこにあるか、具体的な証拠を考えるようにする。

    ②白黒思考
    →灰色に耐えられず割り切ろうとするのは比較的安易な考え方です。

    →曖昧な部分があるのが現実社会だと受け入れる。白黒それぞれに点数をつけてみる。

    ③べき思考
    →あれこれ思い悩むクセが強い。現実的には時と場合によって柔軟に対応しないといけない事が多い。

    →他の人だったら、親しい人ならと視点を切り替える練習をする。

    ④自己批判
    →良くない事が起きると何であっても自分を責めるクセ。

    →問題点の整理。何を根拠に責任を決めるのか書き出してみる。

    ⑤深読み
    →相手の気持ちを一方的に推測して、そうに違いないと決めつけてしまうクセ。

    →そう考える理由はどこにあるのか具体的な証拠や反証を探してみる。

    ⑥先読み
    →自分で悲観的な予測を立ててしまうクセ。その為自分の行動を制限してしまい、予測通り失敗する事さえある。

    →失敗する原因について現実的に検討して、具体的な対応策を考える。

  • うつの投薬治療を始めてもう6年以上になりますが、
    今まで、認知療法には懐疑的というか、
    積極的に取り入れようという気持ちになりませんでした。


    私のうつは、「何かの出来事」→「憂鬱な気持ち」→「身体が動かなくなる」
    というプロセスを踏まず、
    ある日急に、何の前触れもなく、
    「もうダメだ」って時がおとずれ、身体が動かなくなり、強い希死が出てくるからです。
    希死の理由も分からない。
    だから、認知療法のように、「考え方」を変えても、
    「感じ方」を変えても、回復する気がしなかったのです。


    けれど、「うつと戦わない生き方」という本を読み、
    認知行動療法に興味を持ち、この本を手にしました。


    結果としては、とても役立ちました。
    物事を多角的に見ること。
    そのプロセスが詳しく書かれています。


    「自分はダメな人間だ」
    →そんなことないよ。ダメな人間なんていない! あなただって素晴らしい人間!


    みたいな、単純なポジティブシンキングではありません。
    それだったら、受け入れられなかったですね。。


    何故、そう感じるのか。
    他の考え方はないか?
    その考えから、気持ちは変わったか?


    これは、ある種の訓練ですね。
    1回や2回考えてみるのではなく、
    そう考える「クセ」をつける。


    うん。
    認知行動療法、出来るところから取り入れてみようと思いました。
    さっそく、本書に紹介のあった「うつ・不安ネット」に登録してみました。
    「これできっとよくなる」という気持ちじゃなく、
    よくなるきっかけ、第一歩になればいいな。
    という気持ちで、初めてみたいです。


    印象に残ったのはこの部分。


    『最近の脳科学では、何もしないでいると、何かをしようという気持ちにならないことがわかっています。何かをしたいという気持ちになるためには、行動を通して報酬系と呼ばれる脳のサーキット(回路)を刺激する必要があるのです』


    あぁ、たしかに・・・。
    朝から身体が動かないとき、動かない原因も分からず、
    ただ一日横になって、それでもまったく何も休養になっておらず、
    ただ悲観的な考えに埋もれていくだけで・・・。


    そう!
    もし、ほんの少しでも動けるのなら、動こう!
    そして、「なんで動けないんだ・・・」という問いに一つの解答が出ました。
    「動かない」からです。
    そう解答が得られただけでも、
    「動けない自分はダメ人間」っていうぐるぐる思考から、
    少し開放された気がします。


    読んで良かった一冊です。

  • 10年以上ぶりに再読した。コンパクトかつ安価で読めるという点では2022年時点でも最良の入門書だろう。

    > そんなに簡単にポジティブに考えられるようになるなら、あなたも悩んでいないはずです。気持ちを切り替えようと思っても、それがなかなかできない。だから悩んでいるのです。(pp.23)

    のように、しんどさの渦中にいる人間に語りかけるような口調が優しい一方で、優等生的な感じが強い。表層にある自動思考を通して深層にあるスキーマにアクセスしていくという考え方は、いくら否定しようとも

    > 認知療法は、うつ病の人の間違った考え方を変える治療法だという誤解(pp.5)

    に漸近してしまう感がある。結局は社会適応を目標としてしまうので、この辺りはラカン派の持つ開き直りのほうが合う人も多いだろう。

    また、具体的な技法については分厚いぶんD.D.バーンズの『いやな気分よ、さようなら』のほうが手厚い。「はじめての」と銘打っているので本書で感覚を掴んで、具体的な部分はバーンズを参照したほうが良いように思える。

  • 認知行動療法とは何か?を簡潔に分かりやすく網羅的に書いた書籍。専門家にもお勧めできる

  • メンタルクリニックの先生に勧められて読みました。実際は同じ著者の別の本を勧められたのですが、こちらの方がすぐ手に入ったので購入。

    自動思考、否定的認知の三特徴(自分を責める、みんなから嫌われてると思う、将来に対して悲観的)は、うつ病特有の考え方なのだと認識できたのが良かったです。

    またコラム法も役に立ちそうだと思いました。本に書いてあるほど細かくできなくても、少し立ち止まって振り返ってみるくらいなら出来そうだし、効果もありそうです。

    すごく目新しいことが書いてあるわけではないけれど、うつ気味のときに読むと心が落ち着くので、手元に残しておきたいです。

  • 最新の所在はOPACを確認してください。

    TEA-OPACへのリンクはこちら↓
    https://opac.tenri-u.ac.jp/opac/opac_details/?bibid=BB00500868

  • 他人の思考の癖はわかりやすいが、自分の思考の癖はわかりにくい。
    鬱になってからだとなかなか意欲が湧かないので、前知識として心得ておくと良いかもしれません。
    普段生活するにしても、俯瞰的で多角的な視点は非常に役立つので、一読の価値ありかと思います。

  • 心理学の勉強をしている時に、当然のことながら認知療法の勉強もしたので、久しぶりに復習のつもりで読んだ。
    大野先生はこの分野の第一人者であるし、文章も読みやすくわかりやすい。
    認知療法の基本をおさらいするのに、初学者にも既修者にもちょうどよい本だと思う。

  • 一般人〜初学者用だが、「これに書いてある技法で認知の歪みを治そう」というスタンスを認知療法だと初学者が安易に考えてしまうと危ない。もっと基礎的な、傾聴や共感などの面接スキルを学ばずに、技法だけバラ売りしようとしてスベることになる。というか僕はスベった。

  • 認知療法の基礎から実践的な方法までわかりやすく解説した本。初心者から専門家まで幅広く役に立つ。付録や具体例が豊富で、メッセージも一貫しているためややこしいところがない。どんな人にも役に立つ実用書となっているだろう。

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著者プロフィール

一般社団法人認知行動療法研修開発センター理事長、ストレスマネジメントネットワーク(株)代表
1950年、愛媛県生まれ。慶應義塾大学教授などを経て現職。日本認知療法・認知行動療法学会理事長。認知療法活用サイト「こころのスキルアップトレーニング」監修。著作に『はじめての認知療法』(講談社、2011)、『こころが晴れるノート』(創元社、2003)、『認知療法・認知行動療法 治療者用マニュアルガイド』(星和書店、2010)、『不安障害の認知療法』(監訳、明石書店、2013)、『〈正常〉を救え──精神医学を混乱させるDSM-5への警告』(監訳、講談社、2013)、「認知行動療法の新しい潮流シリーズ」(監修、明石書店)ほか多数。

「2016年 『ベックの認知療法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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