- Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062881067
作品紹介・あらすじ
空洞化する将軍・天皇・守護職、激化する応仁・文明の乱。激動の15世紀半ばを活写する。幕府と朝廷の体制はいかに崩壊したか。無力な青年将軍。策動をくりかえす近臣たち。「辞めたい」と口にする天皇──。応仁・文明の乱など激動する十五世紀半ば、「権威」から「権力」へと、時代の転換する様相を描き出す。(講談社現代新書)
感想・レビュー・書評
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応仁の乱前後の室町幕府崩壊を背景に、将軍、守護、守護代、天皇、公家等の各階層の立場や力関係を分かりやすく整理した良書。
その論点から、日野富子の登場が殆ど無いが、それ以外は時代の流れがよく分かる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読みやすく、おもしろい本。戦国という時代が生じた原因を知りたかったので、非常に興味深く読めた。
本書では、義政の無能振りと守護と守護代の争いに戦国誕生の原因を見る。将軍としての権威の失墜と、守護代としての権力の獲得。権威と権力の分離は、決して他人事ではないと思われます。 -
室町幕府3代義満や5代義教など強力なリーダーシップを持った先代にならおうとして取り組んだ若き将軍義政・・・という出発点から戦国時代のスタートを読み込んでいく観点は、その権力の崩壊過程とともに大変刺激を受けるものであった。
物語的なものでもないので、やや文章が読みにくい気もするが、
こうした政権の状況には、現代の政治や経営にも通じ、参考になった。 -
これは面白かった!岩波の「戦国時代の終焉」とセットでお勧めしたい。権力の空洞化と権威との分離が具体的にイメージできてよかった。特に、足利義政の無能っぷりと、後花園天皇、後土御門天皇の仁徳深さ(でも権力なし)の対比が涙を誘う。。。なんか、現代と一緒な気がする。。。
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注!ネタバレ設定してないですけど、内容に触れています。
これは面白かった!
世に嫌気がさして枯れきっちゃったイメージだった足利義政が、実は権力にうじうじ執着するタイプだった(らしい)、とか。御簾の向こうで和歌を詠んでいるだけのイメージだった当時の天皇(後花園、後土御門)が足利義政の浮世離れした行いを諫めていたり、とか。
幕府と朝廷の関係が良かったというのも、意外でした(南朝という共通の敵がいたというのもあるのか)。
流れをやたらぶっちゃけ言っちゃうと。
各地の守護の家の家督争い、あるいは守護と守護代の争い、もしくは乱や変に土地を奪ってみたり等々、あちこちで欲にまかせて好き勝手始めちゃう。
とはいえ、誰もがその好き勝手を正当な事ではないとわかっているから、自分より上の権威を持つ者、守護や守護代だったら、将軍や管領、もしくは自分より強い守護に自らの行為を追認してもらおうとする。
一方、好き勝手された相手は、好き勝手した相手の行為を不当な事とするために、守護の弟等こそが正当な守護と担ぎ上げる。それによって、守護や幕府を巻き込んだ家督争いや土地争いの戦が起こる。
その将軍や管領、有力守護もそれぞれ自分に利するように介入するもんだから、地域の争いは国(守護の国内)に広がり、さらに幕府の有力者同士の争いになっていく。
将軍でも管領でも、もしくは天皇でもいいから絶対的な権力者(例えば義満のような) がいれば争いの裁断が出来、とりあえず争いは治まるのにそれがいない。将軍義政が裁断すると管領が横槍を入れ、あるいは有力守護が幕府に圧力をかける、そんな状況。
絶対的な裁断者がいないもんだから、それこそ細々と残っていた南朝の末裔まで担ぎ上げようとするものまで出て来たり。
そんな状況の中――というか室町時代はずっとそんな状況だったんだけど――(ここ最近大流行りの)応仁・文明の乱が始まるわけだが、そもそも将軍である足利義政の去就がハッキリしないようなグダグダ状態。
さらに義政の後継を巡るのドロドロも加わって、幕府が崩壊状態。
でもって、明応の政変で戦国期に突入と、なんともスゴイ乱暴なぶっちゃけ。
いや、信じちゃダメですよ。あくまで私的な整理ですから(笑)
そもそも、守護が幕府の役人になると国を離れ幕府(京都)に出仕しなかればならないということで、国にいる守護代が有力者(実質的な守護)になってしまうという、幕府の機構の欠陥が大きいでしょうし。
というか、国元の守護代が国を乗っ取っちゃうという、「武士」という者たちの有り余った血の気が騒動の元なんでしょう。
それは鎌倉時代、頼朝による弟や親戚の粛清から始まり、それが終わると執権家によって有力御家人の家が次々滅ぼされていく、あの流れそのままなんじゃないでしょうか。
それでも、鎌倉時代は北条氏が絶対的な権力を持っていたから、幕府(北条氏)による粛清の戦はあっても、一応は平和を保っていられたし。また、土地や後継者等の争いがあっても、幕府(執権)がその権威で裁断を下せた。
つまり、鎌倉時代と室町時代の違いというのはそこなんでしょう。
失脚して地方に追放されたた人が再び政務を執ったり。ひどいのになると、一度辞めさせられた将軍がまた将軍職に就いたり(10代義材)。
ある意味、鎌倉時代だったら夜討ちをかけられて館ごと滅ぼされちゃったりみたいな強権をふるうことが出来ないのが室町幕府のダメダメなところだったのでしょうね。
ていうか、室町幕府のダメダメは昔、大河ドラマの「太平記」を見ていて、戦国時代って必然だったんだろうなぁ~と思ったのを思い出しました。
そういう意味では昔の大河ドラマって、よく出来てましたねぇー。
(今じゃ大河どころか、いいとこお庭のお泉水程度だもんなぁ~w)
それはともかく、この本では明応の政変で室町幕府が崩壊状態に陥り、時の天皇である後土御門天皇が死んでもすぐには葬儀が出来ず、遺体が放置された状態だった、つまりそこまで世の中が乱れたという状態で終わります。
でも、この後って、アレですよね。
阿波の三好長慶なんていうのが出てきて、将軍義晴・義輝を京都から追い出しちゃって、事実上の三好政権になっちゃうわけですよね。
さらに松永久秀なんてもんまで出てきちゃったりと……www
こりゃぁ室町時代って無茶苦茶面白いや…、ってわけですが、とりあえずは例の『応仁の乱』と読みたいな(笑)
この頃は、自分の行いの正当性を将軍や管領、有力守護求めましたけど、今だとそれは「科学」になるんですかね?(笑)
ほら、裁判とかで、訴えた側、訴えられた側、どちらもそれぞれの学者がそれぞれの都合のいいように科学的な証言をすること、よくあるじゃないですか。
えっ!てことは、科学って室町幕府レベル!?(笑)
まーね。いつの時代も争いの種はつきないわけで。人は室町幕府でも、科学でもとりあえずあるものを使うしかないってことなのかもしれませんねwww -
戦国
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20160226読了
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主題がはっきりとしていて、内容・分量も適度。少し長い気もしたけど読みやすかった。
伝わりやすさという点ではこのような本が分かりやすいと思う。