なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか (講談社現代新書)

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著者 : 想田和弘
  • 講談社 (2011年7月15日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881135

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なぜ僕はドキュメンタリーを撮るのか (講談社現代新書)の感想・レビュー・書評

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  • 映画作家である想田監督が提唱・実践する「観察映画」とは?監督のドキュメンタリー論に触れて人、環境、社会、あらゆる出来事に対する見方が変わりました。想田監督の映画とあわせてオススメです!

    【九州大学】ペンネーム:カカオ

  • ドキュメンタリー映画を最近好んで見る。多額のお金をかけずにプロの俳優も使わずに、自分たちのお金で自分たちの映画を撮るドキュメンタリー映画。有名になって大ヒットしたりすることもないけれども、じわじわと感じられるよさがある。

    そんな映画の中でもマイナーのドキュメンタリー映画の中で、ちょっと変わった映画が想田監督のドキュメンタリー映画である。彼はセレンディピィティを追い求めて映画を撮るという。
    “Serendipity” :思いがけないものを偶然発見すること、能力
    想田監督の映画は「観察映画」というスタイルを標榜する。台本を書かない観察映画の方法は予期せぬ偶然や発見を呼び寄せ人々の内面のやわらかい部分を描き出す。
    作り始めの時にはテーマもなく撮影がどうなるか分からず、一種のギャンブルともいえるが、偶然が拾える準備は入念にしておき、Serendipityが訪れるときを逃さない。

    もともと彼はNHKのドキュメンタリー番組を撮っていた。ひとつのドキュメンタリー番組では撮影スタイルは今とは間逆で、台本通りに撮ることに重きが置かれていた。
    一方、観察映画を撮るにあたっての10の具体的方法論は以下の通り。
    1. 被写体や題材に関するリサーチを行わない。
    2. 被写体との撮影内容に関する打合せは原則行わない(集合場所などは除く)
    3. 台本は書かず、撮影前や撮影中に作品のテーマや落としどころを設定しない。行き当たりばったりでカメラを回し、予定調和を求めない。
    4. 機動性を高めるためカメラ・録音は原則一人で回す。
    5. 必要ないかも?と思ってもカメラは原則長時間で回す。
    6. 撮影は広く浅くではなく狭く深くを心がける。
    7. 編集作業でもあらかじめテーマを設定しない。
    8. ナレーション、説明テロップ、音楽を原則として使わない。
    9. 観客が十分に映像や音を観察できるよう、カットは長めに編集し、その場に居合わせたかのような臨場感や時間の流れを大切にする。
    10. 制作費は基本的には自社から出す。

    本当に上記の方法でうまく撮影できるのだろうか、と思ってみてみたのが、想田監督の最新映画は「牡蠣工場」という映画。奥さんの実家のある岡山県牛窓で漁師さんに出会う。日本の漁業に関しての映画が撮れると思い、「仕事場」に行くと、そこは牡蠣の殻剥き工場。船で魚を撮るイメージを想像していたがはじめから大きく覆される。
    しかし、監督は観察を欠かさない。工場のカレンダーの脇に「9日中国来る」という書き込みがあり、そこから牡蠣工場の牡蠣剥きという作業が高齢化が進み中国からの研修生無しには成り立たなくなっている現状や、しかし中国から来た研修生がいつの間にかいなくなってしまって受け入れが必ずしもすんなりうまく言っているわけではない現状が次から次へと明らかにされていく。

    多分いいドキュメンタリー映画は遊びがあり、見た人それぞれの感じ方が異なり、いろいろな解釈がある映画を指すのだろうと思う。
    例えば、普段の仕事でも、計画通り(台本通り)にある決められた範囲の答えに向かって進めるのはとても大事なことだけれども、計画や結論ありきの仕事はこなす感じになってしまうし、なにかとても大事な出会いを失ってしまうような気もする。
    そんなことを考え、来るべきセレンディピティが来たときに気付けるように、適度に計画を緩めて過ごして行きたいと思う。

  • 778.7

  • ドキュメンタリーというジャンルで映画を作っている監督が自分が撮った映画『選挙』『精神』『peace 』という作品をベースにドキュメンタリーについて、自分の作品について深く記述してある。ドキュメンタリーといっても様々な方法や手法があることや、監督自信が撮影するに当たって気をつけていることや自分の作品への回顧など、ドキュメンタリー映画の業界の事など、映画好きの人は楽しく読める。

  • タイトル通り。
    「選挙」「精神」「Peace」の裏話も知ることが出来ます。

  •  「精神」や「選挙シリーズ」のドキュメンタリー映画監督の想田和弘が「PEACE」の撮影の裏側交え、ドキュメンタリー映画とは何かを語る。

     ナレーションもBGMもない観察映画を手法とする想田監督。テーマを持たず撮影をし、撮り終えてからテーマが見えてくるのだと言う。だからこそ、映画を見る方は多彩な感じ方をすることができるのだと思う。
     ドキュメンタリー撮影のカメラを向けることの怖さについても触れられている。その危険性は常にあるが、ドキュメンタリーの必要性は決して揺るがないと思う。

     この本を読めば、想田監督の作品に限らずドキュメンタリー映画をもっと楽しむことができるはず。

  • ドキュメンタリー監督想田和弘が徹底してこだわるのは、リサーチ、台本、ナレーション、テロップ、BGMなどの添加物を排し、対象のリアリティをえぐりだす「観察映画」という方法。

    本書はその具体的な方法論と撮影についてのエピソード、方法の背景にある哲学などをまとめたもの。

    テレビが往々にしてそうであるように、ある対象に最初から楽しい、正しい、悪い、汚いというようなラベルを貼る「テーマ至上主義」は、作り手としても合理的、受け手としてもわかりやすい。
    僕も研究をしていると、最初に明確なテーマを設定するかということを口酸っぱく言われる。

    たしかにテーマ至上主義は合理的なんだけど、そうすると現実がもつ多様性、リアリティを枠にはめ込むことになり、つまらなくしてしまうのだ。

    日常生活でもそう。最初から「近頃の若者は」とか、「限界集落はもはや」とか、ラベルを貼ってしまうことで見落としているものは多い。

    安易な決めつけを排した「観察」を意識することは、他者への理解、やさしさにつながるはずだ。

  • ドキュメンタリー映画って客観的と思われがちだけど全然そうじゃないんやな。それがすごくよくわかった本。

  • レポートの課題本
    これから色々考えます

  • ナイロビへの乗り換えのアブダビ空港にて読了。
    西南で原一男のドキュメンタリー講座を受けた

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なぜ/どうやって、ナレーションや音楽なしでドキュメンタリーを作るのか?なぜリサーチや打ち合わせなどをしないのか?インディー映画作家の制作費や著作権について。"タブーとされるもの"を撮って考えることは?客観的真実とドキュメンタリーの関係とは?映画『Peace』のメイキングを通して、このような問いへの答えを率直に語る、ドキュメンタリー論の快著。

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