いまを生きるための思想キーワード (講談社現代新書)

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著者 : 仲正昌樹
  • 講談社 (2011年11月18日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881340

いまを生きるための思想キーワード (講談社現代新書)の感想・レビュー・書評

  • 「正義」や「善」といった古典的なキーワードから、「アーキテクチャ」や「イマジナリーな領域への権利」などの今どきな言葉まで収録された仲正昌樹流の用語集。最近はこの手の流行を全然おさえていないから、ここ数年での新しい言葉を知るのに役だった。なんなんだ、「アーキテクチャ」って…と思っていたが、初めて意味を知った。仲正昌樹って若干口が悪い感じだけれど、この本に関しては比較的おとなしめ。

    思想というものに興味はあるけれど、何から読んでいいかわからないという人は手にとって見るといいかも。おすすめ。なお、玄人は読んでも仕方ないような気も。

  • 中国哲学からの応答を考えつつ。

  • どこかで耳にしたことがあるけど、よくよく考えると曖昧だなぁ、と思うようなワードを新書にしてはしっかりと解説している良著
    テレビに出ているコメンテーターなどがいかにいい加減に言葉を使っているかがなんとなくわかる。
    理系でもわかりやすく読めます。

  • 【目次】
    正義 005
    善 012
    承認 020
    労働 027
    所有 035
    共感 046
    責任 054
    自由意志 065
    自己決定/自己責任 074
    「心の問題」 081
    ケア 088
    QOL 095
    動物化 101
    「歴史(=大きな物語)」の終焉 111
    二項対立 120
    決断主義 131
    暴力 139
    アーキテクチャ 150
    カルト 158
    イマジナリーな領域への権利 169
    「人間」 179

    後書き [191-193]

  • 現在、信頼できる知性の一人である仲正さんの著作であって、さすがにレベルが高い。論旨が明快でわかりやすく、概念を多面的に知ることができる。良書。

  • 中央法の入試で動物化の項が出されていて、感動してしまった。受験後すぐ購入。大学生になって何度も読んでいる。名前がライトなので中身も薄そうだが、そんなことはない。文系のみならず理系の人も読んでもいいだろう。文系生はここらへんまで知っているか知らないかでは議論の質が全然違うのでこの本でもなくてもいいのでここらへんまでは知っておいて欲しい(結構切実に)
    筆者にはどちらにも偏らないでいようという様子がなく、冷静にキーワードに沿って説明をしつつ、さらっとつっこんで自分の意見もいやらしくない程度に入れてくるスタンスが好きだ。

  • QOL(Quality of Life)とSOL(Sanctity of Life:生命の神聖さ)の対立は、自由の中核である自己決定を尊重する考え方と、キリスト教の教えを忠実に生きようとする考え方のいずれもが強く根付いている、アメリカの道徳文化の特徴を凝縮しているように思われる。

    【動物化】p102
    アレクサンドル・コジェーヴ「動物化論」:「人間」の欲望は、「他者の欲望」を欲望する、他者志向的な性質を持つ。
    Cf. ヘーゲル「承認」
    ポスト「人間」の二つの可能性としての「動物(eg. American way of life)vs. スノビズム(日本の能楽、茶道、華道、武士道etc)

    【スローターダイクの「人間性=教養Humanitas」】p109
    言葉の魔力によって人間という元々残虐な性質を持った動物を飼い慣らし、ポリス(=政治的共同体)という枠の中で禁欲化させる術。

    【イマジナリーな領域への権利】p169
    アメリカのポストモダン系法哲学者ドゥルシラ・コーネル「イマジナリーな領域への権利 right to the imaginary domain」:「自己決定」のための基礎としての「自己」自身を再想像する(メタ)権利である。

  • 「無論、各人の経験の仕方によって共感に偏りが出る恐れはあるが、経験が豊富になるにつれ、特定の立場に囚われる度合いが少なくなり、より非党派的=公平(impartial)な見方ができるようになる。」

    正義、善、承認、労働、共感、暴力の項が、私には面白く感じられた。
    特に、労働では、「報酬を得るための労働」と「承認を得るための労働」について分かりやすく書かれており、考えが少し深くなった気がする。

  • 資料ID:C0033234
    配架場所: 本館2F新書書架

  • [2013-1-13]
    kindleで1回目読了。とても面白かった。
    詳細はkindleのメモ参照。
    特に面白かった章は「所有」と「動物化」。

    1. 「所有」
    ・ロックの[労働→所有論]
    =労働による加工。これによる「固有性の注入」が「所有」の根拠。
    →もっとも固有化作用の限界はどこ?どこまでの「固有化」が所有を根拠づける?というノージックの疑問。

    ←これを土地を例に検討。定住して生活する農耕民族と移住を続けて生活する狩猟民族とに土地所有権の帰属に違いがでてくるのでは?

    ←本書ではロックの[労働=所有]は農業のための土地所有を前提としているとする。
    =「定住」を前提とすると、最初に開墾した者に同じ土地を耕作させ続けることがその「農業共同体」にとって都合がよい。
    ⇒都合がよいかどうか、これが「権利」の帰属の決定要因。

    ■再読する本
    ⇒「新民法体系」の物権法(加藤雅信)p321以下参照。
    ※入会権も。


    2. 「動物化」
    ・自由主義の勝利=「歴史(大きな物語)の終焉」
    →理想の消失=ポストモダンの現状
    →ヘーゲルにいう承認のための「闘争」の消失=「人間の本質」の喪失

    ・コジェーヴによる「ポスト人間」の2つの可能性
    ①動物化するアメリカ人
    ②スノビズムを追及する日本人(形式美・様式美の追求)

    ■再読する本
    ⇒「物語消滅論」(大塚英志)
    ⇒「動物化するポストモダン」(東浩紀)

  • あとがきにもありましたが、とても仲正さんらしいキーワード集。一番最後の「人間」の項目が特に印象的。

  • 帯には「高校生にもわかる」とありますが、旧制高校の間違いだと思います。入門書としてはどうなんでしょう。歯ごたえあります。21の政治哲学・倫理学系の術語(述
    語ではない)集です。承認、所有、共感、自己責任など、面白い。

  • 現代思想を語る上で重要となるキーワードを著者が説明するという切り口の書。正義、労働、責任など一冊でまとめきれるはずのないキーワードを歴史、語源から読み解き、現代と照らし合わせている。
    こういったテーマを広く知る上では適したものであるのでは…。

  •  「私」が安心して「主体」として振る舞えるようになるためには、「私」から見て、立派な自立した「主体」であるような他者たちから、対等な立場で「承認」される必要がある。その他者もまた他の”他者”からの承認を必要とするはずである。つまり相互に(無限に)承認し合う関係が成立していることによって、「私たち」は安定的に「主体」たり得るのである。
     自己の個性・自由・歴史性を意識する「人間」の欲望は、「他者の欲望」を欲望する。①他人が欲しがるものを「私」も欲しがる。②他者の欲望を「私」の思うようにコントロールする。③欲望する主体としての「私」を(同じように欲望する主体である)他人に認めさせる。―③相手に認められたいから、①同じものが欲しいし、②相手の欲望を自分の方に向かせようとするわけである。ヘーゲルは、この③を「承認」と呼んでいる。

  • 仲正先生の本、久しぶりに読みました。

    おもしろすぎて頭が変になりそうでした。


    帯には

    高校生もわかる「思想」入門

    なんて書いてあるんですが、
    こんなの高校生のときに読んでたら、頭破裂していた気がしますよ僕は。
    それは良いことかもしれないし、悪いことかもしれないし、そこは分からないんだけども。


    政治やメディアの場でなぜかよく使われるようになっている、哲学・思想用語を取り上げ、
    学術上の意味や文脈を自身の考えを織り交ぜながら解説していきます。

    その「仲正先生の考えを織り交ぜながら」の部分がだいぶ乱暴です。いい意味で。
    一つの項を読み終わって、そのキーワードに対する理解が頭の中ですっきりするなんてことはなくて、
    むしろ頭をざわざわにしていってくれるんです。
    こわい。たのしい。


    メディアに触れてるとホントに良く見る言葉ばかりですし、
    誰しも関係ある(ようにメディアで強烈に見せる)キーワードなので(いや実際みんな関係あるんですけどね)、
    どれか一つでも関心ある人はその項だけでも読んでみるとなかなか面白いと思います。


    例えば自分が何かしらのwebサービスに携わり、
    それを通じてメッセージを発するとき、
    そのメッセージがどんな意味を持っているのか、持ちうるのか、
    うまくコントロールはできないにしても、
    せめて敏感でいたいな、とは思っています。
    (webサービスじゃなくてもそうですが)


    あとがきで、言及してますが、
    「カリスマ」「セカイ系」「リア充」など他の候補たちの術語集もものすごく読んでみたい。
    続編に期待したいんですが、出ないかなあ。


    扱われているキーワード
    「正義」「善」「承認」「労働」「所有」「共感」「責任」「自由意志」「自己決定/自己責任」「「心の問題」」「ケア」「QOL」「動物化」「歴史(=大きな物語)の終焉」「二項対立」「決断主義」「暴力」「アーキテクチャ」「カルト」「イマジナリーな領域への権利」「「人間」」

  • リベラル(自由主義的)な立場の人は、いかに自分にとって正しく思えることでも、他人の心の中のこと、価値観にまで干渉することは避けようとする。
    リベラル系の政治哲学、倫理学では通常、正義の根底にあると想定される共感の問題はあまり表に出てこない。
    自殺を禁じるキリスト教の教えとの関係で、安楽死、尊厳死に反対する人が多いアメリカでは、安楽死らを容認することにつながるQOLに反対する意見も多い。
    近年、社会学や法哲学、文芸批評の分野で社会的規制の手段としてのアーキテクチャーの有用性とそこに秘められた危険が話題になっている。

  •  政治哲学や倫理学の関連用語21を,各7ページ前後で紹介。特に「正義」「善」など,翻訳から来てる用語は日常語の色がついてまわるので,思想の文脈では注意が必要。
    「正義」なんかは,日本語で「義の人」みたいに人情あふれる感じの語感があるけど,英語の「justice」は全然違って「法」「公正」という意味合いが強い。正しい解決のためのルールというある意味冷たい含意がある。
    「アーキテクチャ」だけでなく「所有」の項にも登場するアメリカの法学者ローレンス・レッシグに興味をもった。クリエイティブ・コモンズの運動を提唱してる人。(主に)ネット上の知的所有権の範囲を限定して,共同創作を推進する活動は,なかなか意義深いと思う。
     著者の本はみなそうだが,全体を通じてシニカルな記述が多い。法,市場,社会規範に続いて,人間の行動をコントロールする手段としてアーキテクチャの比重が増してきているが,これが行きつく先はどうなるだろう,とか。
     アーキテクチャは,マクドナルドのイスに代表されるように,物理的・技術的な手段で意識させずに人を望ましい行動をとるように仕向ける方策。ルールを守ろうと気遣う煩わしさが避けられるかわり,知らず知らずに主体性が排除されていかないだろうか。最終的に残るのは人間だろうか?

  • みそ汁をしばらく放っておくとみそが沈んでしまいますよね。アイデアやイメージがその沈んでしまったおみそだとすると、この本は、そのみそ汁をお箸でくいくいっとまぜるような読みものです。

    ちゃんと言うと、あたまのなかに沈澱し(そしてある意味では安定化し)たイメージやアイデアを掘り起こして思考する意欲を刺激してくれるような本です。あまりたくさんの知識を与えてくれる本ではありません。むしろ、映画の予告編のように、いろいろ考えたく、知りたくなる本だと思います。

    ご本人もあとがきで言っておられますが、けっこう毒舌で、譲歩やカッコ書きのあたりにユーモアやアイロニーが見え隠れしています。けっこう笑えます。

  • 2012.01.15 最近サンデル先生のおかげで有名になった「正義」や「善」からはじまって「動物化」や「アーキテクチャ」まで、哲学や思想用語としてのその言葉の意味を一通り理解することができた。まだ1回読み流しただけだが・・・なるほどそういうことだったかという感じです。再確認につながることも多かった。

  • 哲学・思想系述語集です。意外に読み応えたっぷりです。マスコミやネットで良く出てくる言葉を著者が選択して,その意味を語っている。
    ちょっと毒づいてみたり,淡々と説明していたり,著者のカラーがとてもよく出ていると思いますが,哲学に関して全く知識のない僕にとっては,若干難しいと感じることもありました。

  • 昨今において、様々な所で語られる言葉の幾つかについて、著者の考え方が書かれている。

    よもすれば、私たちはこれらについて語る時、世論のコピーになりがちなのを、改めて自分自身で考える大切さを教えてくれていると思う。

    以下、ややネタバレも含むが、この本で取り上げられているキーワードを元に、沸き上がってきた私の考えを整理してみた。

    正義
    更生なルールを追求する議論から、心の奥底にまで入ってきて導きを与えてくれるような正義論への移行


    何が善かを特定しようとすれば、主体的に係わらなくてはならなくなると思う。
    日本のように、自分の立場をはっきりさせなければ生死に関わるような宗教紛争もない国では、抽象的、曖昧、日和見な態度で、善を特定しないことが身の守りなのだろう。
    確かにそれは、戦争に突き進んだかつての日本、あるいはナチスドイツのような状況を産まずには済むかもしれない。
    しかし、そのままでいいのか。
    長いものにまかれろで済んだ、高度成長期は既に過去。
    これからは、自分にとって何が善かを語らなければ、個としてどう生きるべきか、わからなくなってしまうのではないか。

    承認
    『人間関係や仕事や勉強がうまく行っているときは、自分が「認め」られているかどうかなどとわざわざ考えたりしないが、いったん「認められていない」と”気づく”と、どうなったら再び認められることになるのか、見当がつかなるなるからである。周りの人も、どうしたら、本人が認められていると確信する=自信をもてるようになるか分からない。』
    世間の大筋の流れに載っていられた時代は、周りに合わせていればよかった。今はもうそういうものはない。
    自分で自分を承認できる基準を自分の内に持たなければならない。
    それは、【質の良い読書】によるものと、私は考える。

    労働
    あくまでも金を得る手段か、社会の一員であることを示すためか、「好きな事を仕事にしている」などの喜びのためか、食べていくためと労働を切り離すべきか、自己実現を目的とするのか。
    労働というものの意味が崩壊している。
    「労働に向き合わない自分」と向き合わなければならないことに、まだ、特に日本人は、慣れていないのに、それと向き合わなければならない情勢を迎えている。

    所有
    ネットでの匿名が本名での活動か、どこまでも自分の個人情報で、他人の権利であるデータなのか。
    金銭的、物理的なものは無料シェアに移行する。
    これが、あるいは個々までが「私」というアイディンティティが不明になり、どんどん希釈されていく。
    どこに、何によりどころを求めればいいか、その答えもどんどん遠くなっていく。
    この先、どうなるのだろう。

    共感
    共感というものは、すでに食いつくされてしまったように思える。
    今のように情報がこれでもかというくらい溢れまくる様になる前は、率直な自分の「感じ方」だけがその場に存在した。
    だから共感できたのだと思う。
    しかし、今は感じる前に、というか感じる必要を忘れさせるほどの情報が溢れている。
    あまりに多いので、自分が必要と思う情報だけを選択する。
    本当に相手が困っていても、それが選択基準ではなく、自分の「お気に入り」や「いいね!」が基準なのだ。
    よほどの震災でもなければ、「共感」は不要になってしまったのだろう。

    責任
    小沢一郎氏や堀江貴文氏への裁判所や検察の対応を見ると、本当の責任追及とはなにか首をかしげてしまう。
    東電もオリンパスもそうだ。
    明らかに間違っているものを罰しようとするのではなく、単なる祭りになっている。
    責任追及ではなく、個々が「これに対してどう対処しようか」と知恵を絞り行動することもまた大切なのだが、それが欠落しても責任追及は、本当の公正さを... 続きを読む

  • 読む価値あり。これだけの論点の本質を掴み取り、コンパクトに解説するなんて、普通できることじゃない。さすが。
    取り上げられているキーワードは正義、善、承認、共感、アーキテクチャ、人間など、ぼく的に気になるものばかり。さらっと読めるのに密度はとても濃い。お勧め。

  • どんな人でも生活に関係するキーワードを批評。

    私も含め,言葉の一側面だけを捉えて考える傾向多い気がする。

    思考の整理・再編成にはうってつけの本。

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いまを生きるための思想キーワード (講談社現代新書)の作品紹介

高校生もわかる「思想」入門。政治哲学・倫理学系21のことば。

いまを生きるための思想キーワード (講談社現代新書)はこんな本です

いまを生きるための思想キーワード (講談社現代新書)のKindle版

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