勝つための経営 グローバル時代の日本企業生き残り戦略 (講談社現代新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062881517

作品紹介・あらすじ

日本企業が技術、品質を誇っている間、世界の現実は大きく変わっていた…「負け」を認めることから始まる日本企業復活の道筋。ものづくりの世界を熟知するふたりが探る再生の道。

感想・レビュー・書評

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  • 1.この本をひと言でまとめると
     日本の製造業企業再生の道

    2.お気に入りコンテンツとその理由を3から5個程度
    ・人を通じた情報流出は、日本の企業が長年にわたって行ってきた「技術者の使い捨て」のツケという側面もあります。「義理堅く誠実」という日本人のメンタリティを考えると、企業が大切な技術情報を扱ってきた人たちをそれなりに優遇するとか、定年後も彼らの力をどこかで生かすような扱いをしていたら、おそらくこのようなことは起こらなかったでしょう。(p73)
    →会社の姿勢そのものが原因。ここまでの視点を持ち合わせた経営者がいなかったのが残念。

    ・デジタルものづくりの本質とは、組織の在り方、動き方の変革を伴うもの(p95)
    →うちの会社はまだアナログものづくり。危機感をもちました。

    ・自由で柔軟な発想の芽を摘む話(p136あたり)
    →地元の公園でも遊具の撤去がありました。。。マニュアル通りで責任を取らない人を増やさない教育を考えないといけない。

    ・サムスン電子が大飛躍を遂げた秘密は、松下幸之助の理念を愚直に実行してきたことにあった(p214)
    →これを聞くとなんだかうれしい。日本もまだ可能性があるような気持ちになれる。

    ・いまの日本がまずやるべきことは、『負けている』ことを一度きちんと認めることだ(p215)
    →変なプライドはいい加減捨てたほうがいい。現状を受け入れ、再出発して成功すればいいのだから。

    3.突っ込みどころ
    ・日本の法人税の高さは、海外で活動している競争力のある他国の企業の日本進出を阻む防波堤(p46)
     →TPPに賛成するなど、グローバル化の立場からはこの考え方はおかしいのでは?製造業を政策で保護しているだけのように思える。
    ・元サムスン電子常務の吉川氏がほとんど書いたのでは?サムソン電子の事例が多すぎる。

    4.自分語り
    ・この本の内容は大部分が以前から指摘されていた内容だと思うが、それでも日本の大手企業(パナソニックやシャープ等)がなぜ赤字なのか、なぜ変れないのか本当のところを知りたい。

    5.類書
    ・空洞化のウソ――日本企業の「現地化」戦略 (講談社現代新書)  松島 大輔 (著)

  • "物づくり、製造業がグローバル競争でいかに生き残るかを、サムソン電子の常務を経験した著者が喝破する。円高、社会インフラコストのせいだと言い訳を言っている場合ではないと。

    日本の技術流種が大規模に行われている現状に、驚く。

    とはいえ、まだまだ日本が世界に秀でる技術もある。各企業が世界中で社会貢献ができるはず。政治や経済動向に左右されずに。"

  • 組織に「独立した個」が必要。

  • 畑村さんは「失敗学」の権威、吉川さんは元サムスン電子常務という経歴の方。

    凋落している国内のデジタル家電業界と、躍進しているサムスンなど韓国メーカを比較しながら、今後の国内メーカの方向性が示されています。
    やはりというか最後は、必ず"戦略" "人・組織" というキーワードが出てきます!
    自分の会社もそうですが、"変革、変革"といいながら、なかなか行動に結びつかず…というのが、日本人というか人間の本質的な性。
    ただ、"勝つ"という意味を自分なりに再構成しておきたいと感じました。

  • サムスンの元役員と失敗学の創始者による共著。実務を行う中で感じる日本企業のアカンところが、これでもか!と羅列され、しかし否定できず、読んでて心が苦しくなる、、、小さくまとまらず、自律した個の力で切り開け!と結ばれている。
    サムスンの成功の裏に、松下幸之助の研究があるという。幸之助さんの言葉を役員全員で読み、自分の言葉に代え、社員に語っていたようだ。本家でも少なくなっているというのに。自らの足下を見直そう。

  • し失敗学でお馴染みの畑村先生とサムソン成長の功労者でもある吉村先生の共同著書。
    技術的に優れたよい物をつくれば売れる時代は、終わった。基礎技術を組み合わせ、顧客のニーズにあったものをつくることが大事と本著は、語っている。
    Appleやサムソンのように既存の基礎技術の組み合わせで画期的な商品が作られる。
    今の日本企業にそうしたものを生み出す土壌はあるが、問題がある。
    日本企業は、組織の問題(意思決定に時間がかかる、決断しない経営者)、制度の問題(税制)、考え方の問題(技術のおごり)がある。
    いかにこの問題をクリアして、顧客のニーズに迅速に答える商品、サービスを提供できるかが今後の日本企業の鍵。

    今の私は一企業のマーケティング担当であるが、だからころできる変えていけることがあることを認識することができた一冊でした。

  • 日本企業、特に製造業は世界を席巻した。
    しかし、それも今は昔。
    どうして電機業界のように、衰退の一途をたどっているのか?
    それは過去の成功体験が邪魔をし、韓国企業など新興国の企業を甘く見くびっていたからではないだろうか。
    素早い決断が求められるが、大企業病といわれる責任の所在があやふやで決断が下せない。
    マイナス採点主義の日本企業はこの先大丈夫なのだろうか?

  • 日本の製造業が苦境にある原因を考察し、その対策を書いた本。2000年以降に起きた
    ①新興国の生産国・消費国化
    ②デジタル化による設計~量産プロセスのハードル低下
    に対応しきれなかったのが原因と論じている。
    昨今の「デジタルものづくり」の時代では、製品開発(市場分析、製品企画、設計開発)の観点がより重要であり、技術力が必ずしも競争優位に結び付かない、という考え方は技術に疎い自分にとって衝撃的だった。
    しかし、内容は解りやすいものの、主張を裏支えするための統計データ(シェアの推移は欲しかった)が少ない事が残念だった

  • 日本の製造業は過剰品質?各工程で検査が行われるだけでなく、出荷前にも品質チェックが行われる。
    不具合品が出る可能性がどれだけ低くても、また不具合品が出てもすぐに取り替えられるようになっていても、高いお金払って買ったものがそんなのだったらいやだけどなあ。

  • 失敗学の先生の本なので期待していたんだけど、共著のサムスンおじさんに引っ張られたのかな、今ひとつ切り込みが浅い一冊になっている印象。
    もっとよいケーススタディはいくらでも手に入る一にいる方なので、そういうものをもっと紹介して欲しかった、ということで期待値の乖離かもしれませんが。

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著者プロフィール

1941年東京生まれ。東京大学工学部機械工学科修士課程修了。東京大学名誉教授。工学博士。専門は失敗学、創造的設計論、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学。2001年より畑村創造工学研究所を主 宰。2002年にNPO法人「失敗学会」を、2007年に「危険学プロジェクト」を立ち上げる。著書に『図解 使える失敗学』(KADOKAWA)、『失敗学のすすめ』『創造学のすすめ』(講談社)『技術の創造と設計』(岩波書店)、『続・実際の設計』(日刊工業新聞社)『3現で学んだ危険学』(畑村創造工学研究所)など。

「2022年 『やらかした時にどうするか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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