フルーツひとつばなし おいしい果実たちの「秘密」 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882224

作品紹介・あらすじ

単に空腹を満たす食べ物としてだけでなく、健康を守るふしぎな力を宿しているフルーツ。しかし、現代人の多くは、その効用や魅力については無知である。本書は、何気なく口にしているフルーツの品種、効用、果実生成のしくみ、品種改良など広範な知識を網羅した、現代人のための『フルーツの教科書』というべき作品。 「ミスター植物学」として知られる田中修・甲南大教授が、フルーツの面白知識を軽妙な文章で巧みに解説する。

感想・レビュー・書評

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  • よく知られたフルーツから、あまりよくは知らないフルーツまで50種の楽しい蘊蓄話。とにかくフルーツにはビタミンなどの栄養が豊富なのには驚く。ビタミンCをはじめポリフェノール、ビタミンE、ビタミンA、βークリプトキサンチン、ヘスペリジン、ペクチンなどの食物繊維、アントシアニン、カロテン、クエン酸、・リンゴ酸・酒石酸などの有機酸、ミネラル(カリウムやカルシウム)、ブドウ糖、果糖など、それぞれの果物によって多少はあるが、「こりゃ、毎日フルーツを食べるべきだ」とつくづく思ってしまう。温州ミカンを食べていると肝臓障害の目安のrーGTPの数値が、アルコール類を飲む人でも上がらないというのだ。さっそく酒飲みの女房に教えた。紫外線によって活性酸素が増えるのを防ぐために、ほとんどのフルーツにはビタミンCが豊富なのだというには、思わず膝を打った。ブルーベリーのアントシアニンは、目にいいことはよく知られているが、ビタミンEは若返りのビタミンと言われるそうだ。もちろん、食物繊維は整腸作用がある。いいことずくめではないか。色や香りの話もあり、香りの成分はリラックス作用がある。フルーツの効能以外にも話題は豊富だ。イチジクは、世界で最も古いフルーツのひとつだそうだが、なるほどアダムとイブのあそこにイチジクの葉っぱが使われていたよね。二十世紀梨は、苗が千葉県松戸市のゴミ捨て場から発見されたのを鳥取県へ持っていって育てたそうだ。日本のフルーツの収穫量1位は温州ミカン、2位はイチゴ、3位はリンゴ、4位はブドウ、なるほどね。パッションフルーツのパッションは情熱の意味ではなく、十字架をさす。花のおしべとめしべが十字架みたいに見えるから。マンゴスチン、チェリモヤ、ジャックフルーツ、ドラゴンフルーツなんて、知ってた?

    • goya626さん
      Macomi55さん
      一位のみかんは予想がつきましたが、2位以下の順位は予想は難しくて、いちいちなるほどなあと頷いていました。果物って、意...
      Macomi55さん
      一位のみかんは予想がつきましたが、2位以下の順位は予想は難しくて、いちいちなるほどなあと頷いていました。果物って、意外と栄養があるのには驚きましたが、果糖があるので、やはりなんでも食べ過ぎはだめでしょうね。銀杏は毒を含んでいるので、食べ過ぎはバツだし、小さい子には食べさせてはいけないそうです。
      2021/12/08
    • Macomi55さん
      ん、銀杏は果物?木になっているから果物ですか。正確にはイチゴは野菜ですね。
      ん、銀杏は果物?木になっているから果物ですか。正確にはイチゴは野菜ですね。
      2021/12/08
    • goya626さん
      Macomi55さん
      メロンもそうですしね。区別はややこしいです。
      Macomi55さん
      メロンもそうですしね。区別はややこしいです。
      2021/12/09
  • 栽培方法から美味しく食べられる保存方法まで簡潔にまとめてくれている。果物の入門書ってところか。

    初版の‘13年以降情報系のテレビ番組が増えているからか聞き覚えのある効能もチラホラ出てきたけど、何だかんだでいざ子供に聞かれると自分なんかはたちどころに回答に困るんだろうな。

    栄養学みたいな分野って、いつも難解な横文字成分を中心に講じられる印象だったから、クイズもまじえた子供にもやさしい解説は有り難かった。(いい歳してそれを言っているのも問題だけど…)よく口にする果物でさえ種からヒラヒラとした花が咲いて、実(固体)になる過程を追うと生命の神秘を感じてしまう笑

    メロンの網目模様の謎なんか今まで知ろうともしなかった分意外で面白くて、出来上がってく過程をビデオに撮って早回しで見たいくらい。
    名前の由来といい、自分の思い込みがどんどん覆されていく。小学生みたいに驚いてばかりだし、スマホ片手に調べれば分かる事だろうけど偶然知るってやっぱり嬉しい。

    臭みを抑えたドリアンに(料理に絞る際邪魔な)種を除いたスダチ…etc.と、品種改良が思っていた以上にされていたのにもビックリ。幾らでも作れるのかと思いきや、元から改良できない果物もあったりと運命まで決まっている…
    それを踏まえてまえがきを読み直すと、別で先生のメッセージが勝手に脳内で続いてく。

    “果物たちの役割を理解し、美味しくいただきましょう。あれこれ無闇に食べてはいけませんよ”

    きもにめいじます!


    【その他】
    ・「果物の王様」「ビタミンCの女王様」…と君主が大勢おわして笑った。
    ・「果物語録」(と勝手に呼んでいる)は無関係な話も多かったけど、ちゃんと栄養を考えるヒントになる。「朝の果物は金」、肝に銘じます! 

  • フルーツ大好き!だけどあまりよくわかっていなかったので豆知識を得るために取り寄せてみたら、想像以上の情報でした。
    産出ランキングや別名、栄養素、英語名などの紹介で次の果実は?とクイズ形式になっているのが興味を更に増す内容です。

    p97スイカのところに野菜と果物との定義が載っていました。
    農林水産省の『農林水産統計用語事典』では、「野菜とは食用に供し得る草本性の植物で加工の程度の低いまま副食物として利用されるもの」「果樹は、木本性などの永年作物のことをいい、その実を果実という」
    スイカもイチゴも農林水産省の定義に従うと野菜だが、果物屋さんで売られ、果物として流通している
    食品の栄養成分を記載している『食品成分表』(女子栄養大学出版部)でも、スイカとイチゴは、野菜でなく、果物として扱われている
    そこで、農林水産省は、「野菜」の分類をスイカ、イチゴ、メロンは「果実を食用とする野菜、家事的野菜と」しているとのこと

    ぶどうのたね無しにしたジベレリンは日本人発見でカビだったとは。
    メロンの表面の網目は中身の方が表皮より勢いよく成長して亀裂が生じたものだそう。
    パイナップル畑の地図記号にまつわる話、植物たちは体に当たる紫外線の害としての活性酸素を消すためにビタミンCをつくってるんですって。
    カスタネットの由来はくり、などなど、面白エピソードが様々な果実毎に載っています。季節ごとに果物を味わうときに楽しい時間になりそう。

  • 他の田中さんの著作に比べると、へーという話がすくない。
    果物の種類は網羅はされている。

  • 果物の知識が増えてうれしいです。各果実の紹介には必ずクイズも付いていて読んでいて楽しいです。

  • ポピュラーな果物から、日本ではあまり知られていないけれど、おいしくて世界で愛されている果物まで、50種類の果物をかんたんに解説し、さらに果物の「なぜ?」と思えるようなところのおもしろい話を盛り込んだ本です。世界には、おいしそうだけど知らない果物がたくさんあり、それを本書で知りました。食べる機会があれば、初めて味わう味に感激するのだろうなあ、と想像してみたり。ジャックフルーツ、チェリモヤはまったく知らなかったです。ドラゴンフルーツ、マンゴスチン、スターフルーツも、名前だけ知ってたり店先で見てたりしていても、食べたことはないですね。僕くらいのフルーツ音痴だと、マンゴーの正式名称がマンゴスチンだと思ってましたから。まったく見た目も、たぶん味も違う果物なのでした。実は、ビワも食べたことが無いし、アケビやザクロもなんかも食べ方すら知らないです。キンカンはミカンの小さい感じの果物ですが、これはスーパーの青果係をやっていたときにつまみ食いしました、どうも。おいしかったんですよね。へえ、おいしくてマイナーだな!と驚いたりして。きっと、果物に限らず、世の中にはそういうのって多いんだと思います。

  • フルーツについての雑学本。
    カラー写真がふんだんにあって、読んでいるとだんだん食べたくなってきた。
    写真提供のほとんどが新宿高野なんだけど、たかがフルーツが転がっている写真でもやっぱり違うものなんだなと思った。きっと計算されつくしてる。
    カットしてあるフルーツだと、もうその断面の瑞々しさがキラキラしてて。美味しそう。

    ひとつひとつが短い中でも、フルーツに関する豆知識やクイズなども織り込んでいて楽しい。
    ちょっと物足りなくなるけれども、その辺でやめておくのが新書としては正解な気もします。

    柑橘類の種類の多さと、知らなかったけれどたくさんのフルーツがバラ科(リンゴ・ナシ・イチゴ・サクランボ・モモ・スモモ・ビワ)なことが印象に残りました。

    装幀 / 中島 英樹

  • 色とりどりに美しく香り高いフルーツという名の球形は
    その中にいったいなにをかくしているというのか
    みずみずしく芳醇な甘酸っぱさを期待してこれを割ったならば
    その中から人間の赤ん坊が生まれてきたという昔話もあるように
    人々は、みずからの心の楽園をその美しさに投影する
    アダムとイヴもまた
    エデンをしのぐすばらしい楽園を
    リンゴのなかに期待したのかもしれない
    しかし食べてしまえば、それも文字通り「梨のつぶて」だろうか?
    いや、残された種を見る、そのときこそ我々は
    「歴史」とむきあう機会に立っているのだ
    皮は風呂にでも入れればよいだろう

    写真がたくさん使われてて楽しい新書
    さいきんこういうの多いですね

  • おもしろすぎる。自家不和合性、雌雄異株の理由、品種の生まれ方、植物の生きる工夫とそれを巧みに利用する人間の知恵!
    冗談エピソードだけの項もあって田中先生、お茶目。

  • 後半に行くほど、あまり馴染みのないフルーツが出てきて、おもれー、くいてーとなる。
    メジャーな果物はたくさんの蘊蓄があるけど、そのマニアックな方に、もう少し情報があったらなぁ〜と。

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著者プロフィール

1946年 群馬県生まれ
1976年 九州大学大学院博士課程修了(農業経済)、農学博士
1976年 群馬県勤務、県農業試験場研究員、県農業試験場農業経営課長、
県農林大学校農林学部長、県環境保全課長、県第一課長(企画課)、
県農政課長、県民局長、県理事兼農業局長を経て、2007年3月退職

「2018年 『老農船津伝次平の農法変革論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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