漢字はすごい! (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882378

作品紹介・あらすじ

中国の文字を、われわれは「漢字」と呼ぶ。言うまでもなく、「漢族の文字」という意味である。いまでこそ、中国でもそう呼ばれるが、じつは中国で「漢字」という言葉が使われるようになったのは、それほど古いことではない。それは、モンゴル高原に起源を有する元王朝が中国を統治して以降のことである。それまでは、「漢字」は中国では「文字」と呼ばれていた。
「中国」とは、「世界の中心」を意味する言葉である。世界有数の歴史と国土を有する「中国」で生まれた文明を創り出した漢族にとって、わざわざ自らの文字を「漢字」と呼ぶ必要はなかったのである。
翻って、わが国日本にとって、漢字はなくてはならないものである。日本独自の表音文字である「ひらがな」や「カタカナ」が漢字を元にしてできたことはよく知られているが、漢字抜きにして日本の歴史・文化は成立しえなかったかもしれない。
漢字が重要な位置を占める日本語は、和歌や短歌に代表されるように、文字や言葉を使って「遊ぶ」ことで、その表現や語彙を増殖させていった。その中心にあったのは、漢字だったのである。
日本語のおもしろさ、不思議さは、漢字なしには考えられない。それゆえ、漢字には、日本の文化や智恵が凝縮されているのである。と同時に、漢字を知ることは、中国、日本のみならず、漢字文化圏と呼ばれる東アジア全体の文化を知ることにもつながっていく。
たしかに、古代の日本にとって、漢字は中国からの借り物であったかもしれない。しかし、漢字は日本語をつくるためには必要不可欠なものであった。漢字によって、古代の人々は心を豊かにし、さまざまな思いを他者に伝えていったのである。
本書は、漢字の成り立ちからその歴史を振り返り、今日では使われなくなった古代の文字や日本独自の漢字「国字」などを紹介しながら、漢字のおもしろさ、奥深さを案内していく。

感想・レビュー・書評

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  • 漢字に関して、なるほど、そういうことかと、知識を深めてくれる本でした。

  • 漢字の歴史。
    鬼が哭いた。の表現はおもしろい。昔は感情を文字にすることができなかったとは聞いたが。
    文章より言葉より詩であり歌。書かれたこと以上に信用できるものがあると本書で感じた。
    話し言葉が書き言葉になって初めて文字が。
    明朝体の明は江戸時代の明か。

  • 20150701

  • 表音文字と表意文字は言語構造によって進化していったのか!

  • 漢字なるもの、どこから流れどのような変遷を辿り現在の形に落ち着いたのか。長い中国の歴史に日本独自のアレンジが加わる。世界に冠たる絶妙な手法が根付き定着する経緯が丁寧に述べられている。象形、指示、会意、形声、仮借、転注など、漢字は視覚的方法と聴覚的方法とをまことにうまく組み合わせてできてた傑作。偉大なる先人の叡智にただただ拍手。幅広い漢字の世界にどっぷり浸ることができた。

  • 最終章の日本文化と漢字との関係性は,日本史好きの僕には興味深いが,筆致として漢字の(特に日本文化に於ける)未来に触れられていないのは残念である.

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著者プロフィール

1963年、長崎県佐世保市生まれ。大東文化大学文学部中国文学科教授。中国山東大学客員教授。博士(中国学)。大東文化大学文学部卒業後、同大学院、フランス国立高等研究院人文科学研究所大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員などを経て、現職。専門は、文献学、書誌学、日本語史など。著書に『心とカラダを整える おとなのための1分音読』(自由国民社)『文豪の凄い語彙力』(さくら舎)ほか多数。

「2020年 『語感力事典 日常会話からネーミングまで』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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