孤独死のリアル (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062882644

作品紹介・あらすじ

2015年には独り暮らし高齢者600万人、「最期は家で独りで」の時代が始まる。そのために知っておきたい現実…。例えば、遺体の検視は?2,3日以内に発見されないと? 葬儀、遺品、部屋、遺骨などはどうなる? 男性のほうが孤独死しやすい? 多少でも財産があれば親族が現れるって本当? 悲惨でない孤独死とは? 政府が「自助」を唱える時代にどうすればよいのか? もはや他人事ではない孤独死問題への必読の書。

感想・レビュー・書評

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  •  看取る人もなく、ひとりで死ぬ。このような事態がどれほど、どこで、どんな環境のもとで発生し、それがどうしてなのか、どう捉えて対処すべきなのか、について書かれた本。
     いろいろなデータが示されていて、それはそれで納得のいくものだけれど、孤独死、もしくは孤立死が増加したのは、何よりまず病院で死ねなくなったからではないのだろうか。もちろんだからと言って病院で死ぬことが必ずしも肯定されるべきではないけれど、「医療」という立場が「死なせたら負け」というような勝負事としての捉え方である限り、この状況は変わらないと思う。
     それから、この数十年で一番変わったのは一人の人間の生きる範囲の拡大であるように思う。親の世代は故郷を一歩も出ないことが珍しくなかっただろうけれど、今は故郷どころか国を出てしまう場合だって珍しくもない。高齢者が単身取り残されるというのは当たり前のことなのだ。孤独死は別に異常ではない。ただ、それが「発見されない」ことが異常なだけだ。それについて著者は「死の社会化」が必要だと説いている。おそらく、ごく最近まで「死」はコミュニティで共有する事象だった。高度経済成長期だけが例外的な時期だったのだろうと思う。もう一度コミュニティを再編して、新しい形で弔いを共有することは確かに必要になってきているのだろう。

  • 「孤独死を結局ゼロにはできない」という冷厳な認識には同感。ただ、行政の肥大化に無頓着であるかのような考え方には賛同しかねる。

  • もと公務員(ケアマネージャー)の著者が、自己の体験に加え、孤独死をめぐる現場の現役の人々(医師、民生委員、現役公務員、新聞販売所経営者、団地住民等々)からの豊富な聞き取りをもとに、この問題の現況を描き出した本。まさしく、タイトルそのままの内容である。
    変に理想論的だったりすることなく、現場を疲弊させない提言を心がけているあたりも非常にリアル。著者自身は読者に宛てて「時に身も蓋もないとお感じになることもあろうが」と書いているが、そう感じた人のほうが、己のお花畑ぶりを心配すべきだろう。
    職を離れてのちまでこのような本を書くほど、たいそう親身に職務に当たったと思われる著者が、末尾近くで「周りとのコミュニケーション能力など、『生きる力』が加齢によって低下した人・あるいはもともと低い人が、孤独死を迎えることが多いように思う」と独白のようにつぶやいているのが印象に残った。

    2014/12/7〜12/8読了

  • ケアマネ背景の人が書いた本。
    学問としてこの問題に取り組んでいることがわかる文章だった。

  • 現場でケアマネージャーをされていた方の著作なので、タイトルどおりリアルだ。イメージどおりの内容ではあるが、数字と生の現場の様子を織り混ぜて語られるので、なんというかゾッとしてくる。
    ■男は孤独死しやすい。社会とのつながりがないから。
    ■多少でも遺産を残していると、死後に家族や親族があらわれる可能性が上がる。やな話だな。
    ■民生委員さんはありがたい。民生委員さんが死体を発見することがしばしば。キツいなあ。
    ■葬儀や遺品整理などのリアルな「処理」も詳細に語られていて、なんだか切なくなる。

  • 配置場所:2F新書書架
    請求記号:367.7||Y 97
    資料ID:C0035868

  • 孤独死というものに対する考え方を大きく変えざるを得ない一冊。

    学校教育の1つとして、時間を設けて話されるべき内容もあった。

    他人のためだけでなく、自分のために「自分の終わらせ方」をしっかりと見つめておく必要があると気づかされました。

  •  マスコミの報道だけを見ていると、「孤独死」イコール「寂しい死」というイメージを抱きがちだが、必ずしもそうとは限らない。確かに、そのようなケースも多いのは事実であるが、むしろ根本さんのように病棟で医療関係者のみに看取られ、悼む人もなく、最後は「無縁仏」として葬られるといったケースのほうが、よほど寂しい死と言えるだろう。
     孤独死について、「寂しい」「切ない」「無縁社会」といった負のイメージを前提にしてしまうと、問題の本質や背景について、理解しにくくなる。(pp.134-5)

     筆者は、「まわりの助けを借りながら『自助』を育む」というふうに考えている。
     特に、孤独死で亡くなる方々は、一部を除いて政府の言うところの「自助」機能が弱い、あるいは低下している人であり、まわりからの支援がなければ助からない、もしくは生きていけない人であったと、これまでの自分の経験から思う。
     はじめから(政府の言うところの)「自助」能力が低い人に、「自分で頑張ってください」と言っても、それは突き放しただけであり、政府の公的責務を回避したに過ぎない。(pp.203-4)

  • いつから、近所付き合い、家族・親戚づきあいが煩わしい風潮になったんだろう。世の中が便利になり、一人でできることが増えたことの弊害?なのか。身につまされる。

  • 1人暮らしの親の介護の関係で読んだ。
    現状の分析と筆者なりの提言が盛り込まれています。
    孤独死の予防の観点、事後の観点からも書かれており、具体例もいくつも出ています。
    決定打となるものはないので、この本をベースに考え、行動していく必要があると思います。

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著者プロフィール

淑徳大学総合福祉学部准教授

「2012年 『介護福祉産業論 市場競争と参入障壁』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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