AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883078

作品紹介・あらすじ

脳科学とコンピュータの融合が私たちの常識を覆す!

自動運転車、ドローン、ロボット兵器、
雇用・産業構造、医療・介護、芸術……

「自ら学んで成長する能力」を身につけた
次世代ロボットは、
人間社会をどのように変えるのか

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AIが「人類を滅亡させる」のは本当か?
いまそこにある「日本衰退」の危機とは?

「ルンバ」などのお掃除ロボット、
グーグルが先鞭をつけた自動運転車は、
掃除機や自動車などの姿を借りた次世代ロボットであり、
おそらく今後、あらゆる製品で同じようなことが起こる。
つまり、家電や自動車をはじめとする多くの既存製品が、
一種の知性(AI)を帯びたロボット的な製品へと
生まれ変わるのだ。

AIと次世代ロボット技術は、今後、
私たちを取り巻く全ての産業を塗り替えてしまう。

日本の産業界がそれに気づかず、
この分野でグーグルなどに後れを取ると、一体どうなるのか。

これを今こそ、日本の産業界はよく考えないといけない―。

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【本書のおもな内容】

第1章 最新AIの驚異的実力と人類滅亡の危惧
――機械学習の光と陰
第2章 脳科学とコンピュータの融合から何が生まれるのか
――AIの技術と歴史
第3章 日本の全産業がグーグルに支配される日
――2045年「日本衰退」の危機
第4章 人間の存在価値が問われる時代
――将棋電王戦と「インダストリー4.0」

感想・レビュー・書評

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  • audiobook.jpにて聴いた。
    AIの過去、現在、未来について書いている本。新書なので、コンパクトにまとまっていると思う。タイトルへの答えはnoというのが筆者の考え方らしい。
    ターミネーターの設定とか想像しちゃうとアレですが。

  • 将棋やチェスでAIが人間に勝つというトピックスから始まり、AIの現状、取り組みの歴史を解説する。新書らしくポイントを押さえた解説でわかりやすい。
    AIは人間に敵対するものではなく、人間とAIが協力して、人類が直面する難問を解決していくのだという未来図は、そうあってほしいという願いとともに、共感できる。

  • 面白い。自分達の存在否定にすらなりかねない、知能、意識を持ったAIを人類は開発するのか。これまでの人類史を見る限り、開発すると著者は言う。そして、それこそが人類の最後の砦、知能を超えた何か、未知へのチャレンジというか、包容力というか、先見性というか。脳科学とコンピュータの融合により今後ますます面白くなってきそうだ。ROSで遅れをとる日本。相変わらずだが、巻き返しを期待したい。ようやく日本のベンチャーも面白くなってきている。引き続きこの領域は要チェック。

  • 人工知能の未来について書いた一冊。

    2015年出版だけど、それほど古さは感じず。

  • AIと人間の関係について公正な視点で見たい人におすすめ。

    【概要】
    ●AIにできることをすべてAIにさせるとしたら、どのような課題が浮き彫りになるか
    ●AIの技術と歴史。新しいものの情報では、スパイキング・ニューラルネット
    ●日本の企業が持つべき危機感
    ●人間は、どこに存在価値を持つべきか。

    【感想】
    ●AIが発展するに伴う危機感、所謂「シンギュラリティ」到来のような内容もあれば、冷静に捉えた内容もある。
    ●人間を超越し人間に危機を及ぼすAIの存在が技術的に可能になったとしても、あえてそのようなAIを開発しないという選択肢もある。
     すなわち、最終的には危機が起きるか否かは人間が判断できるということであり、人間に勝るAIの開発の要否を見極めることが重要であると思った。

  • 1.ディープマインド AI倫理委員会 人間性の萌芽を示す シンギュラリティ 技術的特異点 付和雷同 フレーム問題 医療への活用humsn longevity. 大鉈を振る
    2.視覚と脳の機能をモデル化したものであり、パターン認識を行う。シンプルな ネットワークでありながら学習能力を持つ。 排他的論理和を理解できない  ペッ パーはトロイの木馬
    探索能力と評価関数は読みと大局観
    存在価値を奪われながら新しい価値を見つけていく ホフスタッター エミー 人間がコンピュータのように創造する 

    3.ジョブズもアシモフも述べている 創造性とは異なるものを結びつけること
    ダーウィンはマルサスと人口過剰と経済的弱者の淘汰を読み、進化論を導いた
    マルサスの人口論とダーウィンに進化的視点を求めるとすれば、むしろ「生存闘争」の圧力を緩和する道徳と「慎虜」の習慣の発展を彼が重視したところに注目すべきである
    マルサスは、現世における闘争を通じて、その精神ないし心霊が発展させられる諸個人は、より高い状態で生き残るであろうが、そのような精神的成長のない諸個人は生存しなくなるであろう、と説いた。
    知識が最後の砦ではなく、その叡知と包容力が最後の砦

  • 創造性すらAIの範疇という考えが印象的だった。最後には役に立たない、非効率なことが残るのだろうか…。

    また、脳の働きを分子レベルで解明する、や、猿の脳の動きの調査方法など、瀬名秀明著のbrain valleyの世界へと現実がシフトしつつあることも印象的だった。

    "つまり、創造性とは全くのゼロから何かを生み出すことではありません。むしろ、幅広い経験を通じて目撃したり学んだりした様々な事柄
    つまり一見すると無関係な事柄の間に他者が気づかない関連性を見出し、これに基づいて別々の事柄を一つにつなぎ合わせる能力です。"

  • 文系人間にはまさにタイトル通りの衝撃。今取り巻くあらゆる産業の構造を塗り替えると実感。ネーションではなく企業に支配される時代か。しかも人間ならではの創造性すらもAIコンピュータが凌駕する未来。人間とは何かが問われる世紀になる。

  •  人工知能の最大の特徴は、人間とコンピュータの強みを足し合わせたところにあります。私たち人間の脳が持つ最大の強みは「何かを学んで成長する能力」です。脳科学の成果を取り入れた「ディープ・ニューラルネット」のような最新鋭のAIは、この学習能力を備えているのです。これは「機械学習」と呼ばれます。(p.6)

     問題を解決するために必要な「何かに気付く」という能力こそ、これまでのAIに欠如していたものです。この限界を突破したことで、ディープラーニングはAIにおける永遠の難問とされてきた「フレーム問題」さえ解決する、との見方も出てきました。(p.120)

     製造業から始まる、このAIロボット化のトレンドは、その川下にあるすべての産業へと波及するはずです。たとえば自動運転車は単に自動車メーカーだけでなく、タクシー業界や運送業界にも計り知れない影響をもたらすでしょう。また軍需産業に端を発するドローン(無人航空機)は、単に運送・宅配業界を変えるのみならず、油田の探索や不動産物件の空撮、映画産業における特撮など無限の応用が考えられます。(p.178)

    「とにかく製造業が戻ってくれば、そこに新たな雇用が生まれる」というのが米国政府の基本的な考え方です。たとえば工場の製造ラインの仕事はロボットに任せるにしても、「製品設計」や「工程管理」、さらには「製品の販売」や「マーケティング」など、高付加価値の雇用が新たに創出されると見ているのです。(p.210)

    「クリエイティブ担当者にこれ(筆者注・創造的作品)はどうやったのかと訊けば、彼らは少々罪悪感にとらわれる。実際には何もしていないからだ。彼らはただ見ただけだ。見ているうちに彼らにははっきりする。過去の経験をつなぎ合わせ、新しいものを統合することができるからだ。それが可能なのは、彼らがほかの人間より多くの経験をしているから、あるいはほかの人間より自分の経験についてよく考えているからだ」(スティーブ・ジョブズの流儀)(p.235)

    「(創造性とは)一見異なる領域に属すると見られる複数の事柄を、一つに結び付ける能力を持った人から生まれる」(アイザック・アシモフ)(p.235)

     ある能力において自分よりもすぐれた存在を創造し、それを受け入れる私たちの先見性と懐の深さです。蒸気機関からコンピュータ、そして産業用ロボットまで、私たち人間はあえて自らの雇用や居場所を犠牲にしてまで、人類全体の生存と繁栄を促す新たな技術を開発し、それを受け入れてきました。これは単なる「知能」という言葉では表現しきれないほど大きな「何か」です。このように将来を見据えることのできる叡智と包容力こそが、私たち人類に残された最後の言葉なのです。(p.242)

  • AIという言葉だけがどんどん広まりに、なんとなくわかったような、なんとなく置いていかれたような気分を友人に話したら勧められた新書です。なるほどAIの歴史と現状がコンパクトに把握出来たような気をなりました。「ベイズ確率」や「フレーム問題」など知らなかったこともいっぱい。AIを現代の錬金術のマジックワードとしての思考停止的過大評価過小評価からは逃れることは出来たかも。ただグーグルとかアマゾンなどの情報産業の見ている世界に改めて恐怖感も感じたりしました。ニューラルネットのディープラーニングという昔から構想はあってもなかなか実現出来なかった技術がここに来て一気に加速して、われわれ人間は「人間とは何か」をディープに学ばなければならなくなっています。

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著者プロフィール

1963年群馬県生まれ。KDDI総合研究所リサーチフェロー、情報セキュリティ大学院大学客員准教授。専門はITやライフ・サイエンスなど先端技術の動向調査。東京大学理学部物理学科卒業、同大学院理学系研究科を修了後、雑誌記者などを経てボストン大学に留学、マスコミ論を専攻。ニューヨークで新聞社勤務、慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所などで教鞭をとった後、現職。著書に『AIの衝撃 人工知能は人類の敵か』『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃』『仕事の未来 「ジョブ・オートメーション」の罠と「ギグ・エコノミー」の現実』(以上、講談社現代新書)、『ブレインテックの衝撃 脳×テクノロジーの最前線』(祥伝社新書)、『「スパコン富岳」後の日本 科学技術立国は復活できるか』(中公新書ラクレ)など多数。

「2022年 『ゼロからわかる量子コンピュータ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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