- Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
- / ISBN・EAN: 9784062883597
作品紹介・あらすじ
新型インフルエンザやエイズなど、人類を脅かす感染症を伝播する存在として、忌み嫌われるウイルスだが、自然界には宿主に無害なウイルスも多い。それどころか、宿主のために献身的に尽くすけなげなウイルスたちも多い。実は、私たちのDNAの中には、ウイルスのような遺伝子配列が多数存在し、生物進化に重大な貢献をしてきたことが近年の研究でわかってきた。ウイルスは私たちの中に、生きていたのだ!
成毛眞氏 絶賛!
生命科学というパンドラの匣の中には、
ぎっしりとウイルスが詰まっていた。
果たしてかれらは生命なのか?
人間は幾多の謎を解明できるのか?
生命というミステリーの幕が開いた!
感想・レビュー・書評
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ウィルスは自己増殖しないので生命ではない、と言われているが、生命とは何かを改めてよく考えると、実はウィルスも生命ではないのか、と問いかける本。
蛾の幼虫に卵を産んで寄生する蜂(カリヤコマユバチ)の、寄生幼虫が寄主を巧に操るようすは、実はウィルスが関係しているとは、なんということか!
生命進化は伽藍(整理され主導された環境)かバザール(種々雑多なものが入り交じっている環境)かなんていうのも、興味深い内容であった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ウイルスの基本的な構造や性質を紹介すると同時に、ウイルスを含んだ新たな生命観について考察した本。
ウイルスは時に人類とは対立する存在となってしまいます。しかし、本書で紹介されている胎盤形成の例のように、長い目で見れば、ヒトを含む生命は多くのウイルスからの恩恵を受けて進化してきている事を理解しました。
生命はそれぞれ独立した存在ではなく、長い年月をかけて他の生物との合体や遺伝子の交換を経て進化し、育まれてきたことを教えてくれる良書でした。 -
面白い!
新型コロナウイルスがこうも人間を翻弄しているのはウイルス自身に何等かの意志があるのでは、という疑問から本書にたどり着いた。
ウイルスは生きているのか 生物か物質か
専門的な解説ではあるものの、分かりやすく、論点が整理されている。
少なからず、ウイルスは生きていると思った。
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【講談社科学出版賞(第32回)】我々はすでにウイルスと一体化しており、ウイルスがいなければ、我々はヒトではない。それでは我々ヒトとは、一体、何者なのか? ウイルスをめぐる、新たなる科学ミステリー。【「TRC MARC」の商品解説】
関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40238352 -
230509〜230514
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難しい、単語が専門的なので頭に入ってこない…
テーマはとても興味深い。
ウイルスと他の生物との違いを、例えで説明する部分はわかりやすかった。
哺乳動物の胎盤が果たす役割に、ウイルス由来のタンパク質があることも驚いた。
また、ウイルスが宿主となって寄主に引き起こす、操りとも思える現象にはこわい気さえした。
人は、人格としては他から独立した個体と言えるが、腸内細菌など元来ヒトが持っていないものとの共生によって、生を営んでいる。その観点からは、生物の個体とは曖昧で、様々な生物が長い歴史の中で混ざり合って生きており、独立などしていないと言える。
利己的な遺伝子、また読まなければ。 -
ウイルスが生物の進化にかなり関わっているというむちゃくちゃ興味深い事実
腸内細菌も人にとって重要であることはよく知られてるけど、ウイルスは細菌に感染して細菌のDNAを変えているなんて知らんかった -
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人間は新型コロナを駆逐しようと躍起になりコントロールしようとしているが、新たな変異という「ジャンプ」を引き起こすだけで、もしかしたら余計なことをしているのかもしれない。
生命はゆらぎのようなもので独立している生物という物はない。混じり合って存在しているカオス。
これは仏教にも通じる概念だと思った。
だから他人を病原体とみなして攻撃したり恐怖に駆られて人の夢を奪う社会は、ひとときのゆらぎに生きている私たちにとって健全であるとはいえないですね。
生命を一段高いところから俯瞰して見せてくれる本。 -
【配架場所】 図・3F文庫・新書 講談社現代新書 No.2359
【OPACへのリンク】
https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/volume/412626