情報参謀 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883771

作品紹介・あらすじ

これが新時代の情報戦だ! 

2009年の下野からわずか4年で政権を奪還した自民党。その水面下では、テレビとネットのメタデータを縦横無尽に駆使した政治情勢分析会議が行われていた。1461日間、自民党をデータ分析で導いた人物が初めて明かす、政権奪還の深層。

・政敵の悪評を逆利用し、政党CMの効果を極大化させる方策を練り、尖閣ビデオの流出のような危機管理の失着があれば24時間体制で即応する。
・ツイッターやニコニコ動画など新しいチャネルで果敢に情報発信を仕掛け、リスク要素は事前に調べ上げる。
・初ネット選挙の参院選では候補者全員がタブレットで勝つためのデータを共有した――。
政治はカネや情実ではなく情報で動く。政治とネット、テレビが手を結ぶ新時代の情報戦略を描く!

感想・レビュー・書評

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  • 自民党が野に下ってから政権を取り返すまでの間、テクノロジー(と人海戦術)を活用した世論分析において自民党をサポートした会社(パースペクティブ・メディア)の社長さんが書かれたもの。面白かった。
    今となっては政党がネットメディアをフルに活用しているのは普通だけど、野に下ってゼロベースで色々考えねばならぬ立場に自民党がなったからこそ、ここまで民間の力を活用できたのでしょう。実際、民主党の方がメディア戦略については先行していた時期もあったようだし。

    この本を読むと、政治家が選挙でいかに勝つかを常に考え、有権者が何を望んでいるかを把握することに全力投球していることがわかります。
    まぁ、それが必要なのは否定しませんが、自分の信念に基づく政策立案もやってほしいよねぇ。
    ・人海戦術でかき集めたメタデータを元にした分析
    ・「悪名は無名に勝る」。認知されていないのが一番ダメ
    ・ほどほどの努力では、ほどほどの幸せもつかめない

  • 09年に自民党が政権を失ってから13年の参議院選まで、同党のネットを含めた情報分析、メディア戦略がテーマ。著者は情報分析のベンチャー企業の経営者で、この情報戦略を担当していた。
    TVでの報道やネットでの書き込みを分析、速やかに対策をとって次の発信に活かしていく。TVでは分かり易いワンフレーズが繰り返し報道され、一般人がネットで簡単に書き込みができる時代には、必至の動きなのだろう。確かに政党のネットの使い方・情報の発信は大きく変わっている。
    本書は政治を舞台にしたケーススタディなのだが、一般企業が置かれた状況も同じだと感じた。

  • やれビッグデータだ、IoTだとバズワードが飛び交う世の中ですが、データは使いこなしてこそ意味がある。2009年に下野した自民党が与党に復帰するまでの4年間を「情報参謀」としてサポートした記録であるこの本を読んで、まず感じたことです。
    情報を使いこなして、政権政党への復帰を果たすまでの流れはキャッチーで、かつ普段触れることのない政党の内輪の光景を覗いているようで新鮮で、そういう意味でも面白かったです。

    4年間を選挙などの節目で4つのフェーズに分けているのですが、フェーズ毎に実際の情報分析の手法が徐々に進化していくのが面白いです。佳境の第3フェーズや第4フェーズでは、イベントを企画したり、議員の言い振りにも影響を与えたり。
    とは言え、ここまで本で書いてしまうのは、イマイチ失点が多い野党に「これくらいやってみたら?」と敢えて手の内をチラ見せしているのかな、と思ってしまうくらい。
    個人的には、ニュースやデータは切り取り方やモノサシ、見せ方が大事なんだろうなぁと思っているので、一例として非常に勉強になりました。例えば、政治ニュースだけに特化して分析するのではなく、報道全体の中での位置づけを知る/予測することは、文句なしに重要なこと。

    ちなみに、手動でテレビ映像のメタデータを入力する、というのを読んで「その仕事大変そうだなぁ。。」とちょっとゲンナリしました。AIがもうちょっと賢くなればいけるんだろうか。
    ITが変えていく政治の世界。ひょっとすると、汗をかいて、たくさんの人と会って、という昔ながらの選挙戦のスタイルも、今後ネットワークが変えていくのかもしれない、なんて思いました。

  • ここまで赤裸々に裏側を明かしてくれるのかというのが正直な感想。あれだけ高齢者が多い(失礼!)政党において、SNSをこれだけ重視して、戦略的にアプローチしていたという事実は恐るべきものがある。
    政治というものが、程度差はあっても一つの劇場であることは間違いのないことなのだと思う。舞台の上にたつには演出家による振り付けと、役者自身の鍛錬が必要である。橋本元大阪市長が、政治家時代はどんなに酔っていても、夜中の2時でも横断歩道を青信号になってから渡ったというエピソードを話していたが、まさにそうした意識が求められるのだと、この本を読むとまざまざと感じさせられる。恐ろしい監視社会になったものだ。

  • 自民党が民主党に政権を取られたときから政権奪取を実現するまでの4年間で自民党の広報戦略を参謀さながら陰から支えたよという本

    テレビやネット、SNSの情報を人力・システムの両面で総チェックをかけ、報道やネットの話題を逐次追跡。自民党の広報戦略として深い分析や示唆を与え続ける。

    平田、小池、平といったなんとなく見聞きしたことある政治家の方もちらほら。

    インプット、プロセス、アウトプットの全肯定にビジネスの特異性・専門性を感じるセクシーさがある。
    ・あまりにも泥臭く他では入手できないデータ生成(交代制で担当者をつけてテレビを24時間ウォッチ)
    ・過去のデータ収集・分析結果の蓄積で醸成された分析パターン
    ・多忙な政治家のニーズに応える臨機応変さ、意思決定を後押しするエッジの効いた示唆


    "ほどんどの不安は、情報的な自分の現在地がわからないことから生じている"
    "「わからない」ときは、なぜ「わからないのか」と一歩引いて考えてみること。これはメタデータの考え方"

  • 加藤陽子「歴史の本棚」より

  • 野党時代の自民党のメディア分析と戦略を綴った手記。マスメディアの内容分析とインターネットの検索結果などを分析し、政治戦略に繋げた事例を垣間見ることができる。

  • いやぁ、面白かったなぁ。
    あとがきにもあるけど、これはプロジェクトに関わった事自体がとてつもなく面白かったろうなぁ。

  • 政治の世界で、タイトルに相応しい仕事をして来た著者の
    回顧録かな。
    書いてあることを見ると確かに自民党が野党に下ってから
    野党に返り咲くまでの期間に政局においても情報戦略の比重がだいぶ変化したと感じた

  • 自民党が野党になった際に、どうやったら自民党が政権与党になれるのか、について情報面から支えた人の話。現代においては、選挙に勝つのは情報戦だという認識はあったけど、思った以上に情報を活用して選挙戦を戦っていたんだな、というのがよく分かって面白かった。この当事のノウハウが未だに使える面もあるだろうし、今現在においては全く使えないノウハウもある気がするし、この手の話は日々進化しているんだろうな、と言うことを考えたりした。

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著者プロフィール

一九六一年生まれ。慶應義塾大学卒業後、株式会社コスモ・エイティ、日経BP社ニューヨーク支局特派員、日経E-BIZ編集長、日経ベンチャー(現日経トップリーダー)編集長などを経て、二〇〇七年、株式会社パースペクティブ・メディアを設立。代表取締役となり、現在に至る。情報分析と情報表現のコンサルティングを手掛ける。ほかに株式会社エム・データ取締役など複数企業の役員を兼務。

「2016年 『情報参謀』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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