138億年の音楽史 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
3.19
  • (4)
  • (4)
  • (8)
  • (2)
  • (3)
本棚登録 : 173
感想 : 12
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062883818

作品紹介・あらすじ

「われわれは、どんな過去にさかのぼっても音楽に出会う」。
ビッグバンから始まった「宇宙の音楽」の歴史では、ベートーヴェンもビートルズもちっぽけな砂の一粒に過ぎない。鳥や鯨の「作曲術」から人体という「楽器」が奏でる音楽まで。ピタゴラスの天球の音楽からアボリジニのソングラインまで。「音」と「調和(ハーモニー)」をキイワードに壮大なスケールで描く、これまでにないユニークな書。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「振動」、天球の音楽、「礼楽」、ラーガ、ピュタゴラス、リベラル・アーツ、ケプラー、アウシュヴィッツ…。宇宙の開闢から音楽の起源を説き起こす、驚くべき博識に裏打ちされた、壮大なスケールの音楽史。【「TRC MARC」の商品解説】

    関西外大図書館OPACのURLはこちら↓
    https://opac1.kansaigaidai.ac.jp/iwjs0015opc/BB40241434

  • 【宇宙という音楽】
    原始大気の振動=音楽
    →宇宙の誕生を探る手がかり

    宇宙マイクロ波背景放射
    ゆらぎ を捉えることができる

    ヒッグス素粒子 神の素粒子
    観測データが音符に変換 ヒッグ粒子ミュージック

    古代インドのナーダ・ブラフマー
    「世界は音である」

    老子 人籟・地籟・天籟らい
    荘子 「詩は人の心を語るもの、書は昔の事蹟を語るもの、礼は人の実践を語るもの、楽は世界の調和を語るもの」

    琉球の三線 天・地・人

    インド ラーガ
    古代ギリシア ハルモニア
    音楽療法士ピュタゴラス
    音楽学者ケプラー 『宇宙の調和』

    【神という音楽】
    グレゴリオ聖歌

    【政治という音楽】
    礼記 「声音の道、政と通ず」

    古代エジプトの壁画
    音楽によって労働させ政治課題を

    【権力という音楽】

    【感情という音楽】
    歌舞伎 傾くかぶく

    デカルト処女論文「ムジカ・コンペンディウム音楽大要」
    →「情念論」

    【理性という音楽】
    マックス・ウェーバー遺稿「音楽の合理的社会学的基礎」

    【芸術という音楽】

    【大衆という音楽】

    【自然という音楽】
    ドイツ詩人アイヒェンドルフ
    「すべてのなかにひとつの歌が眠っていて
    すべてのものは夢をみつづける
    おまえが呪文を唱えることさえできれば
    世界は歌を歌い出す」

    【人間という音楽】
    細胞

    血液
    音楽療法

  • 水は答えを知っているという話が出たときはえ?と思ったけど、圧倒的な知識を背景に音楽とは何なのかということを書いていて大変勉強になった。宇宙、神、政治、権力、感情、理性、芸術、大衆、自然、人間のそれぞれという音楽。
    自分にとって当たり前になっているCDなどのメディアを通じて音楽を聴くことが最近になってのことであって、歴史の中ではほんの少しの期間でしかないこと。

  • vol.337 圧倒的教養としての驚きの書。誰かと差をつけたいならこの一冊で決まり。http://www.shirayu.com/letter/2016/000743.html

  • 【由来】
    ・図書館の新書アラート。講談社からのメルマガでも。
     その後、hontoで限定価格+30%割引で購入。

    【期待したもの】
    ・面白そうじゃない?

    【要約】


    【ノート】
    ・82ページに「神々の沈黙」が!

    ・【内容紹介】
    人類の歴史も超え「ビッグ・バン」から音楽の起源を説き起こす、壮大なスケールの音楽史。

    【担当者コメント】
    「われわれは、どんな過去にさかのぼっても音楽に出会う」。音楽は、ビッグ・バンによる宇宙の振動から始まったのではないか。本書では、そんなユニークな仮説から音楽の歴史が説き起こされてゆきます。

    最近の「スーパーストリングス理論」でも、宇宙を構成する無数の紐状の構造体は常に振動していると考えられています。原初の振動が互いに響き合い、「ハーモニー」となる。事実、人間も、古えには音楽とは秩序だった響きのことだと考えてきました。ギリシアの哲人ピタゴラ
    スは、天をめぐる星々は妙なるハーモニーを奏で、その大宇宙の響きは小宇宙である人間に深い影響を及ぼしていると考えました。孔子も政治を司る手段として音楽を重視しました。なぜなら音楽とは、秩序だった世界のあるべき姿そのものだったからです。

    じつは音楽が個人の感情の表現と見なされたのは、ごく最近、近代になってからのことに過ぎません。音楽と人間の関わりは、普段われわれが考えているよりも、はるかに広く深いのです。

    ビッグ・バンから始まったこの音楽「全史」にあっては、ベートーヴェンやビートルズといった偉大な芸術家でさえ、ちっぽけな砂の一粒に過ぎません。もしかしたら、鳥や鯨の「作品」のほうが、この二者のものよりも、はるかに複雑かつ高級なのかも知れないのですから。

    本書は、「音」と「調和(ハーモニー)」をキイワードに、宇宙のはじまりから音楽の歴史を説き起こした、これまでにないユニークな書です。(YH)


    【目次】

  • 2016-8-24

  • 宇宙が誕生した瞬間から、「原大気」というべきものがあり、音が存在していた。
    だから、人間だけが音楽を生み出したと考えるのは傲慢ではないだろうか、という問いかけから、この本は始まる。
    なんとも壮大な話。

    古今東西のさまざまな音楽と社会について、神、政治、権力、理性、芸術、大衆、自然などを切り口に俎上に載せていくのだが…。
    例えば、音楽と政治。
    取り上げられたトピックを拾ってみよう。
    古代中国の「風」、つまり、民謡の採集と、そこから為政者が世情を読み取るという思想に始まり、西洋中世の軍楽隊、古代ギリシャの劇場文化、旧ソ連の音楽家の政治利用、現在のショパンコンクールの政治性、そして平安貴族の「楽」のたしなみ。
    個々の話は興味深いものもあるけれど、話が拡散していくばかりで、音楽への理解が深まっていく感覚が得られない。

    きっと著者の本領は、西洋近代の芸術概念の発生とその変遷のあたりではないかと思う。
    そのあたりだけを、もう少し深く、体系的に書いてくれたほうがうれしかったのに。

    江本勝の『水は答えを知っている』が、特段の注意もなく、無批判に引用されていたりするのをみると、他の部分の記述の信頼性についても不安になってくる。

  • とにかくスケールの大きい音楽史の本が新書にまとまっています。帯にも書いてあるとおり「圧倒的教養」という言葉がふさわしいと思えてしまうほど。なぜなら、人類の音楽史の本ではなく、この宇宙が誕生したときからの音楽史を語るものであるから。ビッグバンによりこの宇宙が誕生したときにも音があったという驚きから始まり、神の音楽から世俗的な政治や権力の音楽、さらには芸術としての音楽の解説、人間の細部における音楽の可能性まで、とにかく音楽が語りつくされています。すごく楽しく読めました。音楽がもっと好きになりそうです。

  • 古今東西、音楽にまつわるエトセトラ…逸話のオムニバス…というか寄せ集め。

    まあ、宇宙の波動や分子の運動など、振動である以上は「音」に置き換えられる、すなわち「音楽」であるという発想(筆者のアイデアというわけじゃないけど)は面白い。

  • 新書に「圧倒的教養」とか、このタイトルとか、見た時点で地雷かなと思ったら、思った以上に地雷だった。ここまで参考文献を書くなら、挙げ方が残念だし、ここまで調べたら代替医療を安易に肯定しないで欲しい。

全12件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1961年生まれ。文筆家・文化芸術プロデューサー。一般財団法人欧州日本藝術財団代表理事。代官山未来音楽塾塾頭。サラマンカホール音楽監督。フランスを拠点に作曲、音楽研究活動に携わったのち帰国。三井住友海上しらかわホールのエグゼクティブ・ディレクターを経て、現在、浦久俊彦事務所代表。多彩なアーティストのオリジナル企画を手がけるほか、文化芸術のナビゲーターとしても全国で活躍している。著書に『フランツ・リストはなぜ女たちを失神させたのか』『138億年の音楽史』『ベートーヴェンと日本人』など。2021年、サラマンカホール音楽監督としての企画で、サントリー芸術財団第20回佐治敬三賞を受賞した。

「2021年 『「超」音楽対談 オーケストラに未来はあるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

浦久俊彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮下奈都
村田 沙耶香
エラ・フランシス...
リンダ グラット...
佐々木 圭一
田中正人
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×