精液に精子がなくても、精巣内にあれば、顕微授精ができる。
顕微授精は、体外受精よりも確率が高いため、確実に受精卵ができる。100%顕微授精という国もある。生殖医療の費用が高いため。
凍結融解技術の進歩。生殖医療の4分の3は凍結保存されていた胚を融解して子宮内に戻すことで生まれている。
凍結技術は水分が固まるときの膨張によって細胞が壊れることが問題。冷凍食品と同じ。融解は急速に加温する。凍結胚を37度の融解液に漬ける。
凍結は、プログラムフリーザーによる緩慢凍結用に代わり、ガラス化法(液体窒素を使う)に代わっている。何万年でも保存できる。
凍結胚を使うと卵子を得るために排卵誘発剤をつかっていないので、自然胚移植よりも子宮外妊娠の可能性が低い。早産率も低くなる。
体外受精の成功率を上げるために複数の胚を戻すと多胎妊娠の可能性が高まる。凍結胚なら防げる。
体外受精では、卵子と精子は37度の培養器に入れられる。受精すると48時間後には4細胞、72時間後には8細胞になる。4~8に分割した胚を子宮内に移植する。着床は5~6日目になる。2~3日では着床能力はないが、それ以上は培養できない。それ以上培養するためには、培養液を改良する必要がある。改良した培養液で胚盤胞移植するクリニックもある。どちらがいいかまだ結論は出せない。
精子バンクは、がん患者が治療の前に自分の精子を預けることから始まった。アメリカ政府がエイズをきっかけに、人工授精には精子がエイズに感染していないことを確認するために、凍結融解精子を使うように求めた。これがきっかけで精子バンクが普及した。凍結精液はその他のウイルス検査も可能になった。
現在は、提供精子による人工授精は減っている。顕微授精ができるようになったため。
液体窒素はタイムマシン。死後生殖が可能になった。法整備が追い付かない。
提供精子はデンマークから輸出されている。デンマークでは匿名精子と非匿名精子を供給できる。独身女性の85%は非匿名精子を希望する。将来子供が出自を知りたくなった時に対応できるから。
精子提供希望者でも遺伝要因の検査をすると10%程度しか提供できない。
スウェーデンの人工授精法は、子供に18歳の時点で出自を知る権利を与えた。その結果精子提供者は減少した。実際に請求は少ないため、両親が精子提供の事実を子供に告げていないケースが多いと考えられる。
体外受精の卵子は、自分のものでなくても子宮に移せる。生殖には免疫系は働かない。
ガンサバイバーは、卵巣切除や卵子がなくなってしまうことがあり、第三者の卵子を必要とする。あるいは、加齢により自分の卵子で妊娠できない場合、費用のことを考えると提供卵子で人工授精したほうが確実という面もある。
卵子の種は生まれる前に作られている。母体とともに年を取る。卵子が老化すると染色体異常が発生しやすくなる。
未受精卵子の凍結保存が可能。技術的には難しくない。卵子バンクもある。価格は凍結精子の5~20倍。卵子提供者は20代に限る。
イギリスは卵子バンクはボランティアのみ。そのかわり自分の卵子を凍結保存する費用を免除している。
医学的凍結ではなく、社会凍結(自分の妊娠の時期を選ぶ)がどのくらいいるか、はわからない。
遺伝子の性=性染色体の性、性腺の性=性腺が精巣や卵巣になるときに、まれに食い違う、見かけの性=ホルモンの働きによって外性器が形作られる。それぞれに食い違いがおきると数多くの例外がおきる。
11月8日はインターセックスの日。自殺した最初の性同一性障害患者の誕生日。
ロキタンスキー症候群では性染色体はxxで女性。膣と子宮が欠損する以外は正常な女性と変わらない。思春期に月経がないことで産婦人科を受診して初めてわかる。通常は造膣術が行われるが、子宮はないため妊娠はできない。子宮移植をすれば可能。
子宮移植は、経産婦からの移植が望ましい。免疫制御剤を使用するが、お産が終われば子宮摘出をするので腎臓移植の際よりも問題は少ない。費用と、提供者への侵害の問題がある。
現代は遺伝子レベルの生殖医療に踏み入れつつある。
ミトコンドリア置換=胚の中のミトコンドリアは母親由来のもの。ミトコンドリアに異常があるミトコンドリア病は、根本的治療ができないが、卵子の段階で第三者のミトコンドリアを導入すれば防げる可能性がある。体外受精の前後に、移植する。複数の卵子から生まれることになる。
IPS細胞から作った人工配偶子でマウスが誕生した。
農産や畜産の分野では、ゲノム編集は実用段階に入っている。品種改良は突然変異を人為的に起こすだけで同じことをしているともいえる。
スウェーデンでは女性は独身でも養子をとれるが独身男性では許可していない。代理懐妊を使って自分の子供を持てる。
日本では代理懐妊には消極的。抵抗感が強い。第三者の子宮を借りる点が構造的に他の生殖医療と異なる。
代理懐妊は1000万円以上かかる。インドでは女性の労働として捉える考え方もある。単純な禁止は、ビジネスが
地下に潜るだけ。出産までの間に離婚したらどうなるか。
多くの国で代理懐胎に消極的なのは他の生殖医療にはないリスクがあるから。家族を持ちたいという願いとの葛藤。
着床前診断は体外受精で可能になる診断。命の選別にならないか。産む自由がない。着床前診断と着床前スクリーニングが無制限に拡大することへの危惧がある。