縮小ニッポンの衝撃 (講談社現代新書)

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感想 : 71
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884365

感想・レビュー・書評

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  • これはホラー以上にホラーですが創作ではなく、これから日本という国自体が直面する問題を真正面から描いた絶望ジェットコースターの姿図です。2025年に団塊の世代が一斉に後期高齢者になる。これから人口減少の断崖絶壁を目隠しした状態で降りていかなければならない僕たちは、そこから目を逸らして東京オリンピック迄の景気のいい話でごまかしてはいないだろうか。一時的なカンフル剤として日本国内にあるお金をぐるぐる回して好景気だと言っているだけなのではないか。既に始まっている地方の自治体の消滅の危機に対応するのは結局現地での自助努力でという事になりそうだし、都市部で吸い上げたお金を地方に配分する現システムも、日本の人口減少によって機能しなくなる事は明白のようであります。
    最近TVで良くやっている「日本の技術凄いぜ万歳万歳」というものもそろそろ止めて、これからどうしたらいいのか真摯に考える時期に来ている気がしました。
    相当なパンチ力のある本で、これからの先行きがどんどん不透明になっていく中でどれだけ希望見いだせるのか。もう綺麗ごとや右から左へお金を動かして誤魔化すことは不可能な段階に来ている事がよく分かります。
    大都会の大都市である豊島区が消滅可能性都市になっている事を示し、既に破綻したレアケースとなっている夕張市に破綻後の日本国の未来を見せ、地域での組織運営の良モデルケースとしての島根県雲南市で未来の日本の在り方の一端を垣間見せる。
    最終的に答えなんていうものは未来にしかないし、一市民としては自分の家族やその周囲の人達と協調しながらなんとか乗り越えていくしかない事態です。怖い未来ですがオカルトではなく純然たる事実です。知らなくても未来は来てしまいますが、みんな読んだ方がいいと思います。

  • 自衛隊増強だの、オリンピックだの、お金をかけるよりも、女の人が、子供を産みやすい環境を整えて、人口増加を図るあらゆる政策をすべきだと思う。待った無し。日銀がどんなに金利上げようと思っても、貯蓄に走りたくなると思う。不安だから。安心してお産できる環境を!

  • 人口減少と超高齢化社会
    そんなに遠くない未来に
    今さらどうやっても逃れられないんでしょう
    地方ではすでにそれが始まっていて
    自治体や住民の取り組みも取り上げられている
    これからの自治体や住民にとっては
    参考になりえるんだろうなと

    もう縮小は止められないんだろうな

  • 単純に「人口が減る」ということをそこまで深刻に考えていなかったが、自治体の存亡にかかわるような、大きな問題であることがよくわかった。このようになる前になにか手を打てなかったのだろうか・・・団塊ジュニアがアラフォーとなってしまったので手遅れですが。衝撃をうけるべきは国家を運営している人たちなんだろうけど・・

  • 人口減少が本格化する日本の中でも特に特徴的な地域を丁寧に取材されていることが分かる。
    23区で唯一消滅可能性都市となった豊島区、財政破綻した夕張市、地域運営組織の優等生の島根県雲南市、それを模倣する同益田市。
    いずれの事例も示唆に富むものであり、読み応え抜群だ。
    なかでも雲南市の鍋山地区の秦さんの考え方が印象的で今後重要になるのではないか。
    「人口が減るから、…都会から誰か来てほしいと、人口が減ってはいけないという働きかけみたいなものが全国で行われています。…言葉が悪いけど、よそから来た人に50万円だとか、片付けに5万円とか、そんなお金を出すなら、瓦が落ちて、困っているおばばの家でも直してあげてよと思うんです。…国のやり方、雲南市のやり方を批判するわけではありませんが、新しい人を呼び込むだけでこの鍋山地区が、人口が増えてすみよい地域になるとは思っていない。」

    国は交付金を用意したから、あとは地方が知恵を絞ればよいという姿勢を改めて欲しいと思う。

  • 人口減少の深刻さが改めて理解できます。
    政府は言及しませんが人口減少は出生率の低下が原因ではありません。
    戦前戦後の後先を考えない政府の人口政策が主因です。

    戦前を富国強兵策、戦後は労働力確保の名目で「人口をいじった」からです。
    日本の他にドイツが、この政策を行いました。
    だからドイツは人口構造を維持するために、移民を積極的に受け入れ、今移民問題が発生しています。

    狭い国土の日本でなぜこれほどの人口(世界10位)がいるのか?それは戦争と経済に勝つためです。
    しかし、それが今、この国を衰退させる主因になっています。

    多くの有用なレビューが書かれています。
    多くの人は、人口減少社会によって、

    ①自分や家族の生活が、どのようになるのか?
    ②自分はどうすればいいのか?

    が非常に気になると思います。
    この問いに答えることは、自分が置かれた状況によって、
    異なります。「こうした方が良い」という正解もありません。
    個人、個人で考えて行動を起こすしかありません。

    ここで、日本の①人口推移 ②働く人(生産年齢人口比率と人口) 
    ③1人当たりのGDP(政府希望数値)
    を記載しておきます。
    これを見れば、一目で日本が置かれた厳しさがわかります。

    【結果から】
    ①日本は2030年までに人口が現時点での2000万人近く減る
    ②日本は2030年までに働く人が1300万人近く減る
    ③日本政府は、成長戦略として、欧米並みの生産性を実現するとしている(成長戦略)。
     実際は、財源確保が理由で、裏の理由は、既得権益の維持です。
     毎年2%以上の実質GDPの成長をすると
     という仮定で、1人当たりGDP434万→630万にしようとしている。

     では、GDPが増加すると、私たちの生活は豊かになるでしょうか?
     答えは否です。あくまで企業活動の効率化を徹底させるだけで、世帯所得が増加することはありません。
     誰も指摘しませんが、日本はこの20年で平均世帯所得が2割近く(100万以上)減少しています。

    2018年 1億2663万人 60.7%(7700万)  1人当たりGDP 434万(政府希望)
    2020年 1億2400万人 59.2%(7340万)  1人当たりGDP459万(政府希望)
    2025年 1億2000万人 58.7%(7044万)  1人当たりGDP523万(政府希望)
    2030年 1億116万人 58.1%(6483万)   1人当たりGDP 630万(政府希望)

  • 読みやすいです。
    人口減少、超高齢化が進行する日本の行く末について、非常に不安に駆られる内容でした。
    この本を読み終わり、ふと顔を上げてみると、そんな危機に瀕しているとは全く思えない日常があり、あっという間にそんな不安は忘れてしまいそうです。
    だからこそ怖いのかもしれません。
    考え続けなければならないと感じました。

  • 人口減少によって、地域社会が立ちゆかなくなる日本の未来を、現状の夕張や豊島区から考察した本。"これを読むと日本全体が「撤退戦」となるのも時間の問題だと思う。今まであれば、60~70になれば年齢で死んでいくので「撤退戦」にそこまで付き合わなくても死んでいくのだが、どうも我々の世代は、60~70になっても働かなければならない。"実際に、この本で「撤退戦」をしている人達は70歳以上がほとんどだ。これほどの年代になっても働いて、地域の撤退戦をしなければならない。こういう議論になると「移民」の話が出てくるのだけど、そもそもその頃の日本は移民の皆さんに選んでいただける国になるのかどうかも不安だ。

  • レビュー省略

  • 根本的な解決には子育て支援、税制改革など何より人口が維持できる政策が大事なのに、それをなおざりンしておいて日本の中でパイを奪い合っているのが現状。縮小を前提にした対策を考えるのが現実的か…。人口が減っても国力を失わない方法ってないかなあ

著者プロフィール

長年「ひきこもり」をテーマに取材を続けてきたメンバーを中心とする、全国で広がる「ひきこもり死」の実態を調査・取材するプロジェクトチーム。2020年11月に放送されたNHKスペシャル「ある、ひきこもりの死 扉の向こうの家族」の制作およびドラマ「こもりびと」の取材を担当。中高年ひきこもりの実像を伝え、大きな反響を呼んだ。

「2021年 『NHKスペシャル ルポ 中高年ひきこもり 親亡き後の現実』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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