炎の牛肉教室! (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784062884563

作品紹介・あらすじ

いま、日本に空前の牛肉ブームが訪れている。にもかかわらず、私たち日本人は牛肉のことをあまりに識らなすぎる。

 例えば、皆さんがふだん食べている牛肉は、なんという牛の品種かご存じだろうか? 「松阪牛」や「飛騨牛」といった、いわゆるブランド名ではなくて、「和牛」や「国産牛」としてパッケージに入っている牛肉の品種のことだ。
 また、「神戸牛」や「米沢牛」などブランド和牛の名前はよく耳にしていても、では「そのブランド牛の特徴は?」と聞かれた途端に、困る人も多いのではないだろうか?

 牛肉の「美味しさ」についてはどうだろう? 焼き肉店に行けば、「A5の和牛」「最上級の黒毛和牛」というようなキャッチフレーズで、高級な肉が提供される。A5という評価を獲得した牛肉は、文句なしに美味しいものと思っている人も多い。

 しかし実際には、A5という規格は美味しさを保証するものではない。牛肉を専門とする流通業者は、「自分が食べるとしたら、A5の牛肉は選ばない」と口々に言う。

 「赤身肉」というキーワードにしても、いったいどんな肉が赤身肉であるかがとてもあいまいで、「これは霜降り肉じゃないか!」というものまで、「赤身」を謳っているケースが多い。

 話題の「熟成肉」についても、2010年あたりから「熟成肉」の看板を出す店は増えたにもかかわらず、単に腐敗に近づいた肉を「熟成」と称して提供する店が相当数あるようだ……。

 いかがだろうか? 

 本書を読めば、牛肉に関する誤解が消え去り、正しい知識をぞんぶんに学べる。美味しい牛肉とはどんなものか、どこに行けば出会えるのかもすっきりと理解できるに違いない。

 巻末には、筆者が厳選した「美味しい牛肉を食べられる販売店・飲食店リスト」も付いている。
 
 本書を読み終える頃には、牛肉を食べるあなたの舌は確実に肥える。本当に美味しい牛肉だけを食べて、一生を豊かに楽しく暮らせるように成熟するのだ!!

感想・レビュー・書評

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  • グルメ番組などで、
    A5ランクの牛肉をほめる番組を見ることあるが、
    このランク付けの由来、黒毛和牛が希少なのかどうかなど、
    読んでおもしろかった。
    肉を食べて、口の中で溶けるというのは触感としておもしろいだろうけど、本当においしいのかなとは感じていたので、なるほどと思えた。まあ、A5ランクの肉なんて食べたことないのだがw
    経済動物に対し、感情移入をしていたら肉など一切食えなくなるし、
    僕自身はこれからも肉を食うが、
    また、牛の育て方などを読むと、アニマルウェルフェアについて考えさせられた気がする。

  • <目次>
    はじめに
    第1章  牛肉の真実
    第2章  美味しい牛肉の方程式
    第3章  牛肉のおねだん~体験ルポ・ぼくは牛を飼ってみた
    第4章  美味しい牛肉をめぐって~日本の「あかうし」篇
    第5章  美味しい牛肉をめぐって~アメリカ・オーストラリア・フランス篇
    第6章  ほんとうに美味しい牛肉を食べるために
    巻末付録  美味しい牛肉を食べられる販売店・飲食店リスト

    <内容>
    「神戸牛」「松阪牛」…「和牛」と呼ばれる日本の牛肉は、「さしが入り(脂が過度に入り)、焼いても柔らかく、口の中でトロける感じ、というのが定番だ。しかし、著書は「それは違う」という。旨みのある赤牛や短角牛も十分美味しい。しかしこれらはマスコミや飲食店の口コミで否定されている(自分の舌の味わいでなく、他人の評価を読むだけで決められたもの)。本当にそうなのか?食のジャーナリストが切り込んだ。海外では、赤身のほうが美味しいとなるらしい。なれば、日本の牛肉は脂濃くて食べられないに違いない。和牛を海外に売り込みたいなら、そういう海外の常識を確認しないといけない。

  • 牛肉事情が現場の話からわかる。
    アメリカンビーフの評価は納得。

  • 「炎」とあるだけに熱い熱い新書です。赤身肉ブームの仕掛人(本人は否定していますが…)が描く、知らなかった牛肉の世界。A5神話や黒毛和牛神話がガラガラと崩壊します。なにしろ自分で牛のオーナーになって、生まれた子供「さち」を出荷し食べるという体験までしています。これはすごい。で、結局、うまいステーキ食いたくなる本です。

  • 恥ずかしながら、牛の種類も育て方も良く知らなかった。更には格付けは味だと思っていたのも事実。基礎の基礎から良い勉強になりました!早く個体識別調べて、牛肉食べた〜い!!"

  • 【由来】
    ・図書館の新書アラート

    【期待したもの】
    ・牛肉についての基礎知識を仕入れると、おいしい牛肉に出会える格率が上がるかも。

    【ノート】
    ・ここ数年ばかり、牛肉を食べると脂肪に胸焼けするようになってきた。知り合いに言わせれば加齢によるものだそうだが。なお赤身ステーキは全然まだいけます。

    ・本書を読むと、牛肉の流通の構造や大体のコスト、生産者や販売者の言い分などが見えてくる。著者による実践、銀の匙(産まれた時から育てて、肉にして販売まで行う)もなかなか面白い。

    ・前に読んだうなぎ本でもそうだったが、とにかく安いものに盲目的に流れるのではなく、意識してきちんとおいしいものを食べるということも大事ということ。

    ・ちなみに帯にある「おいしい肉と出会うには?」の具体的な手法というのは、肉のパックに表記されてる生産者のバーコードで知調べるというもの。スマホで可能ではあるけど、ちょっとハードルが高いかと。

    ・なお、おまけ的に巻末においしいお店リストが掲載されているが、残念ながら北海道のお店はなかった。

  • 第1章「牛肉の真実」は輸入自由化に伴って日本の牛肉格付けがどのように変わったのか、それが生産者にどのように影響したのか、結果として現状がどのようになっているのかがまとめられていて興味深い。そこからは「おいしい牛肉」を求めて、その方向性をどう考えるのか、実際に牛を飼って売ってみた結果、米欧濠の生産事情など。「格付け」に惑わされずにおいしい牛肉を食べるためには、知識が必要ということがわかった。

  • 赤身の肉が食べたい。

  • 牛肉は奥深い。テレビの話を鵜呑みにしてはいけませんね。

  • ここまで実直にやられているひとはなかなかいない。
    貴重な情報。
    特に飲食やるなら識っておきたい。

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著者プロフィール

1971年、愛媛県に生まれ、埼玉県で育つ。1992年、慶應義塾大学環境情報学部在学中に、畑サークル「八百藤」設立。キャンパス内外で野菜を栽培する。同大学院修士課程修了後、(株)野村総合研究所、青果流通の(株)シフラを経て、2005年、(株)グッドテーブルズ設立。農産物流通コンサルタントとして活躍中。ブログ「やまけんの出張食い倒れ日記」。著書に『日本の「食」は安すぎる 「無添加」で「日持ちする弁当」はあり得ない』(講談社)など多数。

「2022年 『エシカルフード』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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